奔流の海

著者 :
  • 文藝春秋
3.69
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感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163914916

作品紹介・あらすじ

1968年、静岡県千里見町に近づく台風は、五十年に一度とも百年に一度とも言われる豪雨をもたらしていた。。住んでいるところが危険区域に指定された有村一家は、小さい赤ん坊がいることもあり、親戚の家に避難を決めるが……。

それから20年後、千里見町で『清風館』という旅館を営む清田母娘の前に、坂井裕二と名乗る大学生が現れる。坂井は約一年ぶりの客だった。
『清風館』の主だった清田勝正は、一年前に交通事故で亡くなり、そのため旅館も開店休業状態だったのだ。娘の千遥は母と二人暮らしをしていたが、それは父が急死したためだった。東京の大学に合格していたが、上京して母を一人にするのがためらわれたのだった.

そこに現れたのが坂井裕二で、彼の存在が千遥の大学進学への思いを後押しすることになる。また裕二は過去に何か事情があったらしく、その謎に千遥は惹きつけられていく。

裕二の過去には何があったのか? 千里見町の20年前の豪雨がもたらしたものとは? 濁流に押し流される人間の運命が慟哭を呼ぶ、愛と哀しみの青春ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • はい!現れましたクズ野郎!
    伊岡作品のクズ野郎登場です!
    クズ野郎というより鬼畜野郎ですね
    クリティカルヒットです!

    この鬼畜野郎の父親のせいで壮絶な幼少期を過ごすことになる裕二

    裕二の母親は身体を悪くし亡くなり、鬼畜野郎の父親も車にはねられてあっけなく死亡

    裕二はある出来事で知り合った坂井隆に引き取られ「里親」の関係となる
    裕二はそこから何不自由のない生活を送ることとなるが、矢木沢了、大橋香菜子と出会ってからまた少しずつ変化し始める

    裕二の父親となった坂井隆の正体
    また彼が行っている道義的に許されることではないこと
    そして、裕二自身の過去、本当の正体

    様々なことが分かり始め読む手が止まらなくなる
    すべてが分かり、繋がったときに驚きと感動がやって来るだろう!

    • ゆーき本さん
      当たり屋系クズの話なら芦沢央さんの「夜の道標」もそうだったよ。
      当たり屋系クズの話なら芦沢央さんの「夜の道標」もそうだったよ。
      2023/11/20
    • みんみんさん
      最新刊はNO鬼畜です笑
      最新刊はNO鬼畜です笑
      2023/11/20
    • 1Q84O1さん
      なんかクズ&鬼畜情報がばんばんやってきます!
      みなさん情報提供ありがとうございますw

      たまにはノー鬼畜も入れないとメンタルが保たないですね...
      なんかクズ&鬼畜情報がばんばんやってきます!
      みなさん情報提供ありがとうございますw

      たまにはノー鬼畜も入れないとメンタルが保たないですね…
      2023/11/20
  •  伊岡瞬さんの作品としては、なんかいい感じのエンディングだったので、ちょっとした違和感を覚えました(って、かなり決めつけてるとこがあるけれど)。でも、読みやすく次の展開が気になって仕方なかったです!

     序章は1968年に静岡県千里見町を襲った台風の影響から、避難を決めた有村一家のことが描かれている。本章はその20年後、大学生の「坂井裕二」と休館している旅館清風館の娘である「清田千遥」が主要登場人物…。「酒井裕二」は悲惨な家庭事情のもとに育つも、現在は資産家の養子。「清田千遥」は1年前に実父を交通事故で亡くしたことから、母のことが心配で母のもとを去れずにいた…。そんな「坂井裕二」が、「清田千遥」の清風館を訪ねてる…。

     一見関係なく思える、有村一家と「坂井裕二」「清田千遥」…でも、読み進めるとこれがまたつながっていくんですねぇ…!ふたりと清風館の明るい未来が、容易に想像できます。泣くことはできなかったけれど、結構素敵な作品です。

    • かなさん
      ヒボさん、そうなんです!
      原田マハさんの作品は、未読なんですよねぇ…
      いつか読む日が来るはず、と、積読コーナーに(^-^;
      でも、読み...
      ヒボさん、そうなんです!
      原田マハさんの作品は、未読なんですよねぇ…
      いつか読む日が来るはず、と、積読コーナーに(^-^;
      でも、読みたい気持ちは強いので
      さほど、遠くないうちに読めると思います。

      睡蓮といえば、モネですね!
      チケットは無事に入手できましたか??
      「黒い睡蓮」ですね、おすすめ、ありがとうございます(^O^)/
      2023/09/21
    • ヒボさん
      マハさん作品、いつか、きっと、そのうちに...語り合いましょう♪

      遅くまでありがとうございました。

      もう少し読んでから寝ま~す( ˘ω˘...
      マハさん作品、いつか、きっと、そのうちに...語り合いましょう♪

      遅くまでありがとうございました。

      もう少し読んでから寝ま~す( ˘ω˘ ) スヤァ…
      2023/09/21
    • かなさん
      ヒボさん、こちらこそ
      ありがとうございます♪
      私も、もう少し読んで寝ますね。
      おやすみなさい…(つ∀-)
      ヒボさん、こちらこそ
      ありがとうございます♪
      私も、もう少し読んで寝ますね。
      おやすみなさい…(つ∀-)
      2023/09/21
  • 久しぶりの一気読み。

    序章だけでは辿り着けないような、全く予想もつかなかった流れに困惑した。

    ひとりの大学生が、背負ってきたものの大きさは想像もできない。
    非情なほどの幼少期から小学生の頃、そして家族愛と呼ぶには遠く距離感がある養父との生活。

    ただ決して卑屈にならず、逃げ出さす、道を外れることもなく、何に諍うこともなく生きてきたことに驚きと感動を覚えた。

    終章で星座に興味を持った意味を知る。
    そのことに血の繋がりを感じた。
    決して諦めなかった母の愛は、なによりも尊い。

  • まぁとにかく先が気になる構成です。
    序章として1968年に静岡に凄まじい台風が襲い、ある夫婦が赤ん坊と共に避難する出来事が語られます。
    第一部、第二部とも1988年のバブル期の話になり、静岡の旅館の娘「清田千遥」と東京から来た宿泊客の青年「坂井裕二」の話に変わり、いったいどんな繋がりが台風と関係あるのか?千遥にも裕二にも何かしら影があり、なんだか不穏な予感。
    裕二は父親に当たり屋として虐待された過去がありますが、今は資産家の養子となって不自由なく暮らしています。

    とにかく先が気になる。伊岡瞬作品なんで裕二がとんでもない事にならないか、また不幸のドン底か?
    と気になって気になって仕方がない!
    不幸な生い立ちではあるけれど過去がどんどん解明されて繋がる快感は気持ち良い(〃ω〃)

    そして悲しい事もありつつのハッピーエンドに!!

    虐待などの描写もほとんど無くて私的にはそれも良かった〜‹‹\(´ω` )/››

  • 爪痕のように残る一冊。

    警察小説じゃない伊岡作品も良い。

    大型台風の緊迫感溢れる描写で幕が開ける。

    時を経て一人の青年の生い立ちを主軸にゆっくりと追う時の流れ。

    その流れの裏で見え隠れするのは憤り、ざわつき。

    関わる人との繋がりは果たして彼にとっての光なのか否か、増す不安感。
    そして次第に見えてくる幾つもの絡みあった運命は時に暴風雨ように心に吹き荒ぶほど。

    時は戻らない、そのやるせなさが爪痕のように心に残る。

    誰の人生にもきっと羅針盤のような輝く導き、出会いがある、思わず信じたくなる読後感が良い。

    爪痕を優しく撫でるよう。

  • 男子大学生と旅館の一人娘、二人の視点から交互に語られる物語。

    さすが伊岡瞬さん、不穏な空気で読者をぐいぐい引き込んでいくのが巧いです。
    主人公の壮絶な幼少期にハラハラ。
    時系列を変えてあるので、どこで繋がっていくのか気になり一気読みでした。

    あまりにも数奇な運命。
    クセの強い登場人物、小道具、海と山に挟まれた小さな町と東京の対比、天体観測と星の豆知識。
    これは何年かしたら映像化される予感がします。
    読後感も悪くなく、いい作品だと思います。
    少し惜しい★4.5

  • こんな厚い本、読めるのか?と思いながら読み進めた。
    旅館の娘の千遥と主人公裕二の話が交互に書かれてる。

    田舎の港町に休業状態の旅館に突然泊まりに来た裕二。
    その理由には悲しい過去が

    父親に当て逃げの手伝いをさせられて、幼少期の思い出がない。この父親が毒親すぎる。
    母親は優しいが病にかかり亡くなる。
    父親も事故で亡くなり、資産家の酒井の養子になる。
    酒井には隠された秘密があり、自分も幼少の頃に親の虐待に遭ってた。
    虐待に遭ってる子を救うため、実は親を殺して裕福な家庭に養子として斡旋していた。
    その事実を知り、酒井を問い詰め酒井は自首すると言った矢先に事故で亡くなる。

    裕二を虐待していた父親も優しかった母親も本当の親ではなかった。
    20年前に千里見の七夕崩しと言われた豪雨の際に、さらわれた子だった。

    最後は、実の親にも会えて話が全部繋がってスッキリ。

  • 父親に「当たり屋」をさせられていた裕二は父の死後、坂井隆の里子になる。大学生になった裕二は静岡の鄙びた旅館『清風館』を訪れ、旅館の娘清田千遥に出会う。
    ある時、裕二の前に坂井隆の正体を探る八木沢亨が現れ、裕二自身の過去が露わになってゆく。
    読み進めるのが嫌になるほど荒んだ人間関係が多く語られる中、裕二と千遥が星座を見上げながら寄り添う姿に救われる。

  • 1968年7月7日に静岡県千里見町を襲った豪雨。
    生まれたばかりの赤ちゃんを抱えて、避難する有村夫妻だったが、途中土砂崩れに巻き込まれ・・・
    20年後。
    千里見町で旅館「清風館」を営んでいた清田母娘の前に、坂井裕二と名乗る大学生が現れる。
    地質調査の為と言う裕二は、主を1年前に事故で亡くした「清風館」にとって、1年ぶりのお客さんだった。
    「清風館」の一人娘である千遥と裕二の二人のパートで、物語が進んでいく。
    不慮の事故で父親を亡くし、なかなか状況に踏み切れない千遥のパートは現在進行形で、裕二のパートは過去を振り返る形で、徐々に20年前の豪雨の時に何があったのかが明らかになっていく。
    この作家さんのイメージだと、どこか黒いものがあるのではないかと思ってしまうのだが、今作は今までにない形の青春の物語。
    読後も優しい気持ちになれるもので、「こんな作品も書けるんだ」と意外に思ってしまった。

  • どっぷり浸かりました!
    過去の台風で起きた『七夕崩れ』から、
    あんな人生ドラマが始まっていたなんて。
    映像化しても面白い作品になるんじゃないかと思います。

    ***ネタばれ***
    生みの母親と再会する描写がほしかったな・・・
    だけど読後感スッキリでした!

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』(『約束』を改題)で、第25回「横溝正史ミステリ大賞」と「テレビ東京賞」をW受賞し、作家デビュー。16年『代償』で「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、50万部超えのベストセラーとなった。19年『悪寒』で、またも「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、30万部超えのベストセラーとなる。その他著書に、『奔流の海』『仮面』『朽ちゆく庭』『白い闇の獣』『残像』等がある。

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