タイムマシンに乗れないぼくたち

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 179
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163914978

感想・レビュー・書評

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  • 生きずらい世の中だけど、『みんな違ってみんないい』って言葉を思い出しました。
    『自分らしく生きること』にエールを送ってくれてるような感じが、寺地さんの読みやすい文章から優しく伝わってきました^_^

    短編集でしたが、私はどのお話もとても好きでした!!

  • ・コードネームは保留

    わ、わかる〜〜〜!!!私も設定ごっこで現実逃避というかライフハックすることある〜〜〜!!!
    古川さん、近くにいてほしくはないけどかわいい人だな。すばるは…なんか良い人なんだけど、良い人なだけに勘違いさせられそうで近くにはいてほしくないかも…(笑)

    ・タイムマシンに乗れないぼくたち
    文ちゃんとの軋轢(というほどでもないか?)マジでおなかがキューっとなってしまった。何も言えないまま強制的にお別れになったのがまた、区切りというか踏ん切りというかをつけ損ねていつまでもしこりになってしまったんだろうなあ…実際ずっと一緒にいたら区切りをつけられたのか、という問題はさておき…
    さしあたって草児に杉田くんという友達ができてよかった。

    ・口笛
    み、美姫…!!!!
    最初は挨拶も満足にできねえクソかわいくない子どもだな…と思ってたら美姫めちゃめちゃかわいくてかわいそうで健気で泣けてしまった。美姫はかわいい、ほんとうにかわいいよ…
    それにしても初音の兄貴は人としてひどすぎないか。何様やねん。そんなに信用できないなら娘を預けようとすな。

    ・夢の女
    めっちゃ切ないラブストーリーやん…
    現実から逃げ出したかった夫の、逃げ出した先の夢に拒絶されて傷ついていたら「律ちゃんとお母さんには、ぜったいこんな目に遭ってほしくないな」ってものすごい愛の言葉じゃん…
    あとユーコオバサンめちゃめちゃいい人で泣いた。おはぎも炊き込みごはんのおにぎりも、これやったら食えるやろかって今までの会話で好きって言ったような気がするもの片っ端から作ってきてくれたんだろうな。

    ・深く息を吸って、
    すごい、リバー・フェニックスの名前は出てないのに絶対リバー・フェニックスのことってわかる話だ…(いや川って意味の名前、とは出てたけど)
    お話そのものより、きみはこのあとリバー・フェニックスのその後をどう受け止めるのだろうってことが心配になってしまってヒヤヒヤする。
    それにしても「きみ」って名前の女の子だと思ってたけど(キミコとかそういう系の)もしかしてYouの意味でのきみだったのかな?

    ・灯台
    親しくなるに従って呼び名が変わっていくのを「鰤みたいにわたしの呼び名は出世していった」って書いてるの好きすぎる。
    「つねに中立。永世中立国。そう、わたしはスイスみたいな存在なのだ」「やさしさATM」とか寺地さんの筆が乗ってるなー!ってすごいニコニコしてしまった。お話そのものもだけど、こういうノリのいい文章が好きで寺地さんを読み続けてるとこある。

    ・対岸の叔父
    マレオさん、こうして読者としてみていたり史みたいに微妙に外側の身内としてなら悪い人ではないんだろうけど、確かに映見ちゃんみたいな目に遭ってたら私もマって呼んで嫌うかもしれないな…という絶妙な迷惑おじさん。
    ていうかヌートリアって実在するんだ!?ツチノコ的ななにかだと思って、読み終わったあと調べてびっくりした。

  • 表題作を含む短編集。
    これくらい短くても、「寺地さんの本だぁ~」というホッとする感じがある。

    「深く息を吸って、」なんて、涙なくしては読めない。
    何も事件は起きないけど、情報もない田舎(おそらく時代も平成10年代くらいかなと予想)で暮らす少女が、外国の映画(おそらくスタンド・バイ・ミー)を見て、出演している俳優を好きになり、世界の広さだったりを少しだけ知るという、それだけの話なのだけど、とにかく泣ける。
    自分とこの少女が重なる部分が多分にあるのだ。
    勝手な妄想ですが、これは寺地さん(77年生まれ、佐賀県出身)が自分の少女時代をモデルに書いたものではないのだろうか?なんて思ってしまった。

    私は常々思うんだけど、田舎の閉塞感とか、少ない情報や手段の中で欲しい物が手に入ったときの喜びとか、今の若い世代にはわからないんだろうな、と思う。
    だから「深く息を吸って、」が刺さるのは、私のような携帯電話のない青春時代を過ごした地方の田舎出身者だけかもしれない。
    でも、そういう人は、確実に、日本中にたくさん存在するんだよね。
    大げさかもしれないけど、寺地さんにそんな自分の少女時代を見つけてもらったような・・・自分自身でもそんな時のことすっかり忘れていたくせに都合いいんだけど、そんな切ない気持ちになりました。
    寺地さんの本は、やっぱり優しい。
    すみっこで、ただ誠実に生きていこうとする人へのエール。
    主役にはならない人を主役にして書いた物語、好きです。

    寺地さん、もっと売れてほしいし、もっと多くの人に知って読んでほしい。
    原田ひ香さんのようなマネー系とかグルメ系の「売れるタイトル」の小説書いても絶対に上手いと思うんだけど、御本人がそういうのは興味ないのかな。
    そもそも、寺地さんの本のタイトルは売れ線狙ってないような。おそらく寺地さんの本の中で売れている部類であろう「水を縫う」だって、タイトルから本の内容がわかるものではないしさ。
    寺地さん独自の広まり方というのが、「国語のテストに採用される」(これも多分水を縫うが多いのだろう)というもので、ちょっと教科書的なのかな。
    テストに採用された結果、抜粋部分を読んだ受験生が「この本もっと読みたい」と思って若い読者が生まれるのは喜ばしいけど。
    普段本は読まないとか、優等生じゃない人にも、読んでほしい作家さんだし、読んだら好きになる人がきっと多いはずだから、もっと知られてほしいんだよ。
    寺地さんファンのぼやきでした。

  • 生きにくさがふっと軽くなるような話の短編集。
    他者と比較するでなく、自分軸で生きよう。
    ひとりぼっちではないのだから。
    読後、そんなあたたかな自信にも似た気持ちにもなれた。

  • 「社会」という群れに馴染めないのは、おかしいことでも悪いことでもないんだよ!と教えてくれる作品です。と同時に、人を自分の枠組みで判断してしまっていることにも気付かせてくれました。
    読むと優しい気持ちになることができます。

  • 日常の中の静かな話。
    誰も一人なんかじゃない。
    最後の2つのストーリーが良かった。

  • 自分の居場所がなく、周りと馴染めずに孤立する。
    そんな人たちへの居場所の拡張のような、
    行き止まりの抜け道のような、
    息苦しい空間にふと隙間が生まれ、
    広がっていくように心が和らぐ、初の独立短編集。

    孤独に打ち勝つのではなく、
    孤独の輪郭をなぞって、
    それをそっとほぐしてくれるような、
    温かく優しい7つの物語。

    やわらかく届く光に口角が自然と上がり、
    背筋をちょっと伸ばして
    「自分を生きよう」
    そんな風に思える作品です。

  • 自分を守るための設定や妄想や逃げ場所。そこから外に飛び出すも良し、また逃げ出すも良し、というお話。

  • 目立つこともないけど、孤立してるわけじゃない。
    その他大勢だけど、その中にも入れていない。
    誰といても居心地が悪い。
    それを誰にも言ったことはない。

    この「絶妙なひとりぼっち」に、馴れ合うことじゃなくて、容認される安心感を求めていたのかもしれないと気付く。

    こんなにたくさん人がいるのになんで私は1人なんだろう、本当に自分をわかってくれる人はいない。そう思ったことのある人に読んで欲しい。
    劇的に変わる事はないけど、あなたのことをちゃんと見てるよって、優しく見守ってくれているような1冊でした

  • 自分の中に普段の自分とは違う役割を与えたり自分はこうならないと思ったりして生きにくい世の中を生き抜いている。でも、あるキッカケで自分を理解してくれる人がいることに気付く。ほんの少し勇気を出したり違う角度から物事を見ると途端に目の前が明るく開けてくる…そんな感じの物語なのかな?と思った。うまく書き表せない…( ; ; )

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著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

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