タイムマシンに乗れないぼくたち

著者 :
  • 文藝春秋
3.32
  • (38)
  • (144)
  • (219)
  • (51)
  • (10)
本棚登録 : 1893
感想 : 179
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163914978

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 人によって苦しみも痛みも違うように、願いも祈りも違う。
    だから支えになるものも人によって異なる。
    それは鞄の中に入れているお菓子であったり、いつも通う博物館だったり、だいじな人だったりする。
    そしてそんな大切なひとは同時にやっかいな存在でもある。
    この人となら分かり合えると勝手に盲信し、伝わると思って言葉にしたら、全く伝わっていないときの悲しさ。
    分かり合えない居心地の悪さを、寂しさを、孤独をみんな抱えているから伝わらないのは当然で、それでも大丈夫と思える小説だった。

  • なんとなく好きな話があったり、よくわからないまま終わった話などがあったり。これもまた短編集のおもしろさのひとつかな。
    表題作の「タイムマシンに乗れないぼくたち」の雰囲気がとても好き。
    「夢の女」もよかった。視点を変えれば、違うことも見えてくるし、自分のことを見てくれている人もいる。

    自分らしく生きることだったり、きみはひとりじゃないよ、と優しく包んでくれる一冊。

  • なかなか不思議な本だったかな。寺地さんの本好きだったけど不思議なふわふわ感のある話だった。いい意味でもふわぁ~ときえるというか。

  • 寺地さんの本に出てくるので多いのが、世の中の「普通」に沿って「普通」に過ごしたいだけなのにそれが叶わない、という人たちが描かれていること。
    もれなく私もその一人。だからこそ、これだけ寺地さんの世界観に共感できるんだと思った。

  • うなずける事が多かった。

  • 寺地はるなさん初の短編集。

    『ひとりぼっちだと思っていた…でも』

    その後に続く言葉は皆違う。
    人の数だけ人生があって、人の数だけ、でも…に続く生き方や人生、物語がある。

    人は皆ひとりぼっちなのかもしれない。
    確かなのは、それぞれの人生を抱える読者に優しく寄り添う寺地はるなさんの世界がどの物語にも広がっている。

    勢いで読んでしまったが、何度でも読みたくなるし、その日の気分で読む物語を選ぶのも良いかもしれない。

  • 短編集。なんとなく生きづらさのような気持ちを抱いている人たち。最後は、ポッと明かりが灯るような終わり方だった。

  •  寺地はるなさん。

    初めて手にしました。

    素敵な作家さんですね。

     他の作品も手にしたいと思いました。

  •  他人と馴れ合うことが苦手で、周囲と一線を引いて生きざるを得ない不器用な人たちを描くヒューマンドラマ短編集。全7話。

          * * * * *

     諦念と言ってよい心境で世間と折り合いをつけ生きてきた主人公たち。そんな彼らが、ふとした出会いをきっかけにして心の世界を広げていく。その描写が興味深かった。

     特に印象深かったのは1話目の『コードネームは保留』。
     ああ何となくわかる、その感覚。6話目『灯台』でもそうだったのですが、感覚を共有できる人はきっといるはず。その人との距離は遠く離れているかもしれない。でも……。

     また、表題作と5話目で描かれる、少年や少女の密やかな成長譚も胸を打ちます。さりげなさがいい。

     寺地さんらしい、心にじんわり効いてくる7作品です。やっぱりいいなと感じ入りました。

  • 寺地はるな初読。
    7編の短編集。

    世間的には少し弱くて、自分にはちょっと厳しくて、他者を切り捨てることのできない優しい人たちの物語。

    「ひとりはなるほど気楽で、すこしさびしい。でもさびしさを埋めるために誰かと一緒になるのは、それこそわがままではないのか。」(「コードネームは保留」)p25
    A型じゃないかな、この人(笑)

    「世界と自分とがくっきりと隔てられている。~なんだか分厚い透明ななにかに隔てられている。~透明の仕切りごしに彼らを観察しているだけ、というポーズでどうにか顔を上げていられる。」(「タイムマシンに乗れないぼくたち」)p52

    この2作品。
    そうなの、わかる。私も同じ、と作者の手を取りたい気持ち。

    大人になった今でも、「設定」の中で日々を生きていたり、「ポーズ」を取ることでどうにかその場に踏みとどまれたり、ということがよくある。
    私もきっとタイムマシンには乗れないんだろうな。


    好きだなと思う作品。
    「コードネームは保留」
    「口笛」

全179件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

寺地はるなの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×