太平洋の試練 レイテから終戦まで 下

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (621ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163915227

作品紹介・あらすじ

かつてない太平洋戦史トリロジー、いよいよフィナーレへ。
緻密に積み重ねられていく無数の人々のエピソードが、私たちの知る戦史にまったく異なる奥行きを与え、ドラマは終戦へとなだれこんでゆく。

連戦連勝の虚報の裏で、特攻隊の悲劇がはじまり、日本国民の士気は失われてゆく。一方、銃後のアメリカは未曾有の戦時景気に湧き、大量の飛行機が生産されていた。

日本を降伏に追い込むには、これらの飛行機で本土を直接空襲し、戦意をさらに削り取ることだ。だがそれには本土までの飛行を可能にする飛行場が必要だ。かくして、硫黄島の地獄の攻防戦がはじまった。

その少し前、マッカーサーがメディアアピールのために早々に奪回を宣言したマニラでは、残存日本軍が狂気の殺戮を繰り広げていた。
本土空襲は可能になったもののいまひとつ成果があがらないなか、この残虐行為がルメイの夜間無差別爆撃への転換を正当化し、東京大空襲が実行された。

そしてついに沖縄上陸作戦がはじまり、日本海軍は名誉のためだけに最後の艦隊を出撃させる。援護する航空兵力も皆無、なすすべなく海の藻屑と消える巨艦大和。敗北が不可避なことは日本軍高官の誰もがわかっていたにもかかわらず、曖昧な権力構造が合理的な決断を妨げていた。

果たして日本をどう降伏させればいいのか。実はトラブルの連続で薄氷を踏むように投下された長崎の原爆、そして野望をむき出しにするソ連とのポツダム会談。軍事的には事実上勝敗は決していたが、アメリカ内部では終戦に向けていよいよ様々な思惑が渦巻いていた。

両国の指導部、軍高官のみならず、あまたの無名の兵士たちや一般市民たちの思いを丹念に描いて、物語は終幕へ。

なぜ、負けたのか。
日米双方が体験した、太平洋の試練とは何だったのか。
アメリカ人著者だからこそ渉猟できた膨大な米国側資料から、私たちにまったく新しい視点を提示し、大いなる問いを投げかける巨弾戦史が、沖縄返還50周年の年に完結する――。

感想・レビュー・書評

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  • 東京大空襲等、アメリカ側の視点から初めて読んだことが多く、面白く読めた

  • 9年に及ぶ大作。やっと読み切った。
    戦争を終わらせるのは難しく、負けたほうだけでなく、勝ったほうにも大きな傷を残す。
    硫黄島や沖縄では日本軍は目論見通り時間稼ぎをした。だけど時間稼ぎは、結局、日本人の苦しみを長引かせたに過ぎないのではないか。
    それにしても、なぜフィリピンの人たちは戦後日本に寛容なのだろうか?

  • 太平洋戦争の3部作の完結。今回も上下巻合わせて1,000ページを越す大作だった。太平洋戦争全体の流れ、米軍内の政治闘争、戦後を見据えた国家間の緊張、無名の多数の人物の思い。これが一体となった読み物にはこれからも出会えそうにない気がする。
    前作では米軍の圧倒的な物量が印象に残るが、急速な技術の進展、経験の蓄積によりさらにすごみを増している。1944年の段階で既に勝利を確信し、軍用機が余り始めたことや供給過剰の恐れから生産調整に乗り出していたとは驚いた。
    日本軍の戦死者はサイパン陥落後が圧倒的な多数だと聞いたことがあるが、米軍の損害も目を見張る。日米ともに何のためにこんな犠牲を払ったのだろう。
    15章に「合理的決断を妨げる日本の権力構造」という小見出しがある。終戦の決断だけでなく開戦の決断も同じ。変わらない日本がむなしい。

  • 感想は上巻に記載。

  • 第九章 銃後のアメリカ
    じり貧の日本・大量の飛行機生産の米国
    第十章 マニラ奪回の悲劇
    マニラ奪回宣言→狂乱の悲劇
    第十一章 硫黄島攻略の代償
    米軍の圧倒的火力・栗林中将の防衛戦術
    第十二章 東京大空襲の必然
    ルメイ着任→夜間焼夷弾攻撃への大転換
    第十三章 大和の撃沈、FDRの死
    沖縄への上陸作戦
    第十四章 惨禍の沖縄戦
    10万人近い民間人犠牲
    第十五章 近づく終わり
    一億総玉砕 曖昧な権力構造→合理的決断を妨げる
    第十六章 戦局必ずしも好転せず
    原爆投下 宇垣提督
    終章 太平洋の試練
    日本の破壊的な失敗は最初から運命づけられていた

  • ふむ

  • 【なぜ、負けたのか。巨弾太平洋戦記フィナーレ】マニラ市街戦、硫黄島、東京大空襲。歴史の奔流が人々を飲み込む。日米双方の「太平洋の試練」とは何だったのか。三部作ついに完結!

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