リサーチ・リテラシーのすすめ 「社会調査」のウソ (文春新書 110)
- 文藝春秋 (2000年6月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166601103
作品紹介・あらすじ
世の中に蔓延している「社会調査」の過半数はゴミである。始末の悪いことに、このゴミは参考にされたり引用されることで、新たなゴミを生み出している。では、なぜこのようなゴミが作られるのか。それは、この国では社会調査についてのきちんとした方法論が認識されていないからだ。いい加減なデータが大手を振ってまかり通る日本-デタラメ社会を脱却するために、我々は今こそゴミを見分ける目を養い、ゴミを作らないための方法論を学ぶ必要がある。
感想・レビュー・書評
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読みやすいし、この分野の最初の1冊には良いのではないでしょうか。
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母集団がはっきりしない調査,抽出した集団に偏りがあるデータ,質問事項が有る方向に答えを誘導しているような調査,そもそも選択肢が変な調査など,この世の中にはびこる世論調査というものに鋭くメスを入れ,それにだまされない方法を素人にもわかりやすく書いてあります。と言っても,「やはりだまされるだろうなあ」という気もします。自信がないのだ…トホホホホ。
「右」のデーターも「左」の調査も,変なものは変と言っているところは,小気味よい。
この本の最終・第5章で,著者は「リサーチ・リテラシーのすすめ」と題して,「その社会調査が本物かどうかを見分ける力を身につけてほしい」と書いています。本書の目的も,「そこにある」と言うことです。
今回の小泉内閣の支持率にしても,新聞紙上で「8割から9割の支持率」とテレビで報じていましたが,「なんで新聞の調査によって1割も差があるのかなあ」と思いました。「選択肢や調査対象がちがうのかな」「朝日新聞が一番低かったのには,何かあるのか」なんて,ちょっとだけ気になったのです(ただ,今回の場合は,そんな違いより,前の森内閣との違いの方が大きいので,たいして問題にはならないけどね)。
これから,ますます「改憲に賛成する人・しない人」とか,「自衛隊に賛成する人・しない人」などという世論調査がたくさん出てきそうです。だまされないようにしないと,未来の方向を誤ってしまいます。くわばらくわばら。 -
大学時代に読んだ本を再読。
当時は新聞を始めとする報道メディアに日々触れる中での自分の判断を確かなものとするためのリサーチリテラシーを身につけたたい、と思って手に取った本だった。今でもその思いは変わっていないし、10年以上ぶりに読んで、その間にいくつか統計学の本を読んだりもしたけど、リサーチリテラシーの基本的な思想はこの本を読んで身につけたことが多いように感じる。
一方で現在はNPO等の公益活動の支援に関わることが多く、その中で社会調査を実施する機会も少なくないので、自分自身が本書でいう「ゴミ(社会調査の体を成していないにも関わらず身勝手な分析結果を撒き散らし、二次利用三次利用されて誤解を広げていく調査)」を作り出してしまう怖さを改めて感じた。
社会調査の基本を伝える術、間違いを指摘する術を身につけたい。
また、マーケティングやサービス開発においては行動経済学等人間の認知機能や脳機能をバックするような方法論が良くも悪くも進んでいるが、行きすぎた手法は倫理に悖るものであることを基本から理解する上で、多くのビジネスパーソンが基本知識としてリサーチリテラシーを学ぶべきだと感じる。
本書は(好みは別れると思うが)軽い語り口で読め、例題も豊富なので最初の一冊としてオススメ。 -
データを公開しない調査は嘘であるとよく分かった。
バカな調査をキチンとバカにしないと無くならないという筆者の考えにも同意 -
内容は、よいと思うが、あまりに攻撃的なものいいが少し合わない。
著者が言うように、反論の文書も読んでみたい。
調査は、しっかりみないといけない。
100名以下は意味がない。
回答率が書いてない。
粗探しすればなんでもでてくる。
一つの考えとして、知識としたい。 -
色んな社会調査はリサーチリテラシーにかける(著者曰くゴミ調査が多い)から鵜呑みすべきでない。ではどの点がオカシイか、をひたすら批判しまくる本。
社会調査は自然科学のように絶対的な理論が無いので、解釈次第でいかようにも結論を持って行きやすく、そこを利用したゴミ調査が多いとのこと。
まぁそうだよねーって事は理解しつつ適当に読み流せば良いかなと言う本。
社会調査の際は以下に気をつけるべきと言っている。
・母集団の提示、定義
・回答率
・仮説ありきの演繹アプローチであるべき(帰納的解釈はいくらでも出来る)
・誘導する質問はすべきで無い
・目的の明確化
などなど -
妙にトゲトゲしい本だな、と思いながら最後まで読んでみて、著者略歴でなるほどと膝を打った。『40歳からの知的生産術』の著者か!
道理で品がないはずだ。こんな人の著書を再び買ってしまうとは何とも不注意だった。
内容自体は可もなく不可もなくで、先日観たオイコノミアで大竹先生が説明されていた内容とほぼ同じ。 -
少々言葉は悪いが、データを診る目を養う良書である。この本が執筆された当時よりも、今はインターネットが普及し、玉石混合の「○○調査」の結果概要が手に入る。だからこそ、私たちは本質を見誤ってはいけないし、自分自身が「ゴミ」量産側に回ってはいけないと強く感じた。
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世の中に蔓延している「社会調査」の過半数はゴミである・・・と一刀両断。
マスコミによるものから、学者によるものまでさまざまなな「社会調査」について、行き過ぎた解釈や広報などの丁寧に暴いていく。
専門的な知識は必要なくても読めるて、非常におもしろい本だった。
副題にあるとおり、リサーチリテラシーを身につけるためにはもってこいだと思う。
幾つも実例(公表された調査)を挙げて、どのように批判的に読み取ればいいかが解説してあって、かなり勉強になった。
最後には、例題(と解説)まで用意されていて、自分のリサーチリテラシーについてテストされるわけだけども、本を読んだ上でも、なかなか・・・。
きっぱりと物言いする著者と、論理的な解説に気持ちがよくなる。
(ただの、イチャモン本ではない)
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【内容(「BOOK」データベースより)】
世の中に蔓延している「社会調査」の過半数はゴミである。始末の悪いことに、このゴミは参考にされたり引用されることで、新たなゴミを生み出している。では、なぜこのようなゴミが作られるのか。それは、この国では社会調査についてのきちんとした方法論が認識されていないからだ。いい加減なデータが大手を振ってまかり通る日本―デタラメ社会を脱却するために、我々は今こそゴミを見分ける目を養い、ゴミを作らないための方法論を学ぶ必要がある。
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【著者略歴 (amazonより)】
谷岡一郎(Ichiro Tanioka)
1956年大阪生まれ。
大阪商業大学学長、学校法人谷岡学園理事長。慶應義塾大学法学部を卒業後、南カリフォルニア大学行政管理学修士課程を経て、社会学部博士課程を修了(Ph.D.)。『ツキの法則』(PHP新書)、『「社会調査」のウソ』(文春新書)、『40歳からの知的生産術』(ちくま新書)など著書多数。
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【目次】
序章 豊かさ指標はなぜ失敗したか
第1章 「社会調査」はゴミがいっぱい
第2章 調査とマスコミ―ずさんなデータが記事になる理由
第3章 研究者と調査
第4章 さまざまな「バイアス(偏向)」
第5章 リサーチ・リテラシーのすすめ
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辛口だった。普通、辛口の論評は通常よりも面白く感じるはずなのだが、なぜか不愉快な気持ちになったし、それほど面白く感じなかった。それが自分自身に因する問題なのか、それとも筆者が問題なのか判断がつかない。