大世界史 現代を生きぬく最強の教科書 (文春新書 1045)
- 文藝春秋 (2015年10月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166610457
感想・レビュー・書評
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池上彰氏と元外務省職員の佐藤優氏による、世界史から現代を読み解くという作品。
主にイスラム諸国の歴史から、現在話題となっているAIIBやアメリカ大統領選挙などのテーマについて、歴史というタテ軸をベースに分析している。
本書を読んで初めて知ったのだが、パキスタンやカザフスタンなどスタンという名の付く国は、もともとオスマントルコ帝国の領土であり、チュルク(トルコ)系の民族意識がいまだに強いらしい。
十数年前サッカー解説の松木安太郎氏が、アジア予選の際にあの辺の国を「スタン系」と一括りにしていたのが、あながち間違いではなかったのだと改めて感心してしまった。
女性の識字率と出生率の関係、ビリギャルの学歴ではなく「入学歴」の話など、興味深くて会話のネタになりそうな話題も多く面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
途中ついていけない部分もあって、自分の知識不足を感じた。世界史を丸暗記するのではなく、起こった事象と現代とを関連付けて考察していき、未来予測に繋げる。深い洞察力と思考力を身につけられたらなぁ。
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現代何が起きているかを知るには、その背景である歴史を知る事が、遠回りのようで一番有効なアプローチになる。本書では昨今話題のトピックが取り上げられているが、その分析や解説にはやはり歴史的知識が必要な為、必然的に歴史を学ぶ事の重要性が伝わってくる。それを意図したのが本書で、出来事が時系列で述べられるのが「歴史」だと認識している人には特に読んで欲しい。
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中立でいようとする池上さんと、若干左巻きな佐藤さんの対談のお湯加減が面白かった。内容は勉強になったが、ある程度の世界史と時事問題の基礎知識がないと、ついていくのが難しいかも。
ドローンが無人戦争のために開発されたものだとは知らなかった。先進国が戦争を避けるのは人命の価値が高いから。でも戦死者を出さずして戦争が成り立つドローンが誕生してしまった。また、イスラム国などでは、聖戦という概念を持ち出すことにより人命のコストを下げることに成功してしまった。戦争のあり方が今ねじれているらしい。そもそも平和ボケしてるから、「戦力ダウンのためには殺さない方が得策」といった戦場の経済学という概念も初めてで、戦争の見方が少し変わりそう。 -
世界史じゃなくて、国際情勢の時事放談が殆ど。基本的に知識披露の場になっているので、この分野なら池上氏も佐藤氏と会話が成立しているように思える。面白かったのは10章で、「ビリギャルが話題になるのは日本だけ」というのが印象に残った。勉強法の11章も役に立つかな。
代理経験としての歴史の必要性は理解しているが、世界史は苦手というか殆ど知らない。どうしても興味関心が日本史寄りになってしまう。まずは世界史Aの教科書からやるしかないか。 -
中東情勢の解説が面白かった。
イスラム国がかつてのイスラム帝国の復活を目論んでいるという話は、ニュースで散々報道されているので周知の通りだけど、イランやトルコも同じように、かつての帝国を目指しているとはビックリ。その行動原理は個人の幸せではなく、イスラームの共同体の原理に根ざしていると知り、さらにビックリ。IT全盛のこの時代に、こんなアナクロな話が現実に起きているということに、本当に驚く。むしろITを活用してジハードを行っているとなると、現代の科学技術と1300年前の思想を持った集団ということになるので、まともなコミュニケーションが取れる気がしない恐ろしさがある。
かつての帝国を志向するという文脈で、中国の対外拡張政策のモデルを明としているけど、これはちょっと強引と思った。明の時代に拡張的だったのは永楽帝の時代だけで、拡張的なのは唐帝国の方向性に近い気がする。漢民族の国じゃないから、アナロジーとして不適切だったのか? -
なかなか頭に入らない中東のことが,本書を読んで少しは理解できました。
世界史は学生時代あまり自分が勉強してこなかったことから,世界史関係の本は偶に読んでいますが,なかなか頭に入らないのが正直なところです。
この本はそんな私でも理解しやすく,歴史を学んで,活かすことの一端を知ることができます。
世界史をもっと学生のときに勉強しておいた方がよかったとも思いますが,受験と関係ない今だからこそ,より大局的に学べそうな気がします。
世界史の受験参考書にチャレンジしてみようと思います。 -
今まで気付かなかった、目からウロコの歴史観満載。
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読み易く非常にためになりました。お二方の見識の高さに感服しました。