徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす 社会的損失40兆円の衝撃 (文春新書 1092)
- 文藝春秋 (2016年9月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166610921
作品紹介・あらすじ
6人に1人の子どもが貧困という日本社会。他人事だと放置すれば、43兆円が失われ、政府負担も16兆円増える――!「現在15歳の子ども1学年だけでも、社会が被る経済的損失は約2.9兆円に達し、政府の財政負担は1.1兆円増加する」という衝撃的なレポートが、日本財団より発表されました。貧困によって学ぶチャンスを奪われた子どもたちは職業選択の自由を奪われ、回りまわって国の税収入は減ってしまいます。社会保障の「支え手」と期待されている若者たちが、「受け手」になってしまえば、日本国の予算は益々悪化してしまうでしょう。子どもの貧困は「かわいそう」などという感情的な問題だけではなく、私たち一人ひとりの生活を直撃する重大な社会問題なのです。本書では、すでに発表された経済的インパクトに関するレポートを丁寧に解説することに加え、新たに調査対象である生活保護世帯、児童擁護施設、ひとり親家庭の当事者たちへインタビューを行いました。国内外での取り組み事例の紹介、日本が取るべき対策にまで踏み込みます。
感想・レビュー・書評
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図書館の本 読了
内容(「BOOK」データベースより)
6人に1人の子どもが貧困という日本社会。
他人事だと放置すれば、43兆円が失われ、政府負担も16兆円増える――!
「現在15歳の子ども1学年だけでも、社会が被る経済的損失は約2.9兆円に達し、政府の財政負担は1.1兆円増加する」という衝撃的なレポートが、日本財団より発表されました。貧困によって学ぶチャンスを奪われた子どもたちは職業選択の自由を奪われ、回りまわって国の税収入は減ってしまいます。社会保障の「支え手」と期待されている若者たちが、「受け手」になってしまえば、日本国の予算は益々悪化してしまうでしょう。
子どもの貧困は「かわいそう」などという感情的な問題だけではなく、私たち一人ひとりの生活を直撃する重大な社会問題なのです。
本書では、すでに発表された経済的インパクトに関するレポートを丁寧に解説することに加え、新たに調査対象である生活保護世帯、児童擁護施設、ひとり親家庭の当事者たちへインタビューを行いました。
国内外での取り組み事例の紹介、日本が取るべき対策にまで踏み込みます。
児童養護施設にかかわった経験があるので、この問題を語るのは難しいんでは?と思いつつ手に取った本。
当初の予想に反してしっかり踏み込んで書いてくれたなぁと言うのが感想のひとつ。
お金だけあっても、貧困になるんですよ、子供は。
その辺まで踏み込んでくれていたのは満足。
ジブンゴトにするのは難しいのですよ。でもね、子供のお手本となり、子供の話を聴けるオトナにはることはどんな人でも可能だと思うの。
話を聴いてあげれる余裕のあるオトナが目指すところかも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現代の日本社会を舞台に、「子供の貧困問題をジブンゴトに」と訴えた本です。
私自身もかなり啓発され、こうした日本の社会課題をよく知り考えるきっかけになりました。
貧困から生まれる悪循環が社会全体に大きな影響をもたらす、子供がいなくとも国民それぞれに被害が生じる、と日本の貧困問題を考える大切さを学びました。後半では今ある教育制度や支援活動の他、今後改善に向けどうしたらいいのかにも言及しています。
日本人として、多くの人が手に取り『子供の貧困問題』について考える機会となればいいなと思います ! -
・内閣府のデータ 大学進学率は、全世帯平均で73.3%に対してひとり親家庭は41.6%、生活保護は32.9%となっている。世帯収入は、学力の差になり、学力の差は学歴の差になる。学歴の差は収入の差になる。
・学力が伸びる子どもとそうでない子どもの差は、子ども時代に大人と安定した人間関係を築いてこれたか。生活保護のこどもが大学進学をしない理由は、経済的理由だけではなく、周囲との関係や職業感にあることが多い。
・福祉は風俗に負けている
・ヘックマン教授らは統計的な分析の結果、認知能力を通じた影響(子どもの将来の所得や就業状態)はとても小さく、非認知能力を始めとしたその他の要因が大きい
・親向けプログラムが非認知能力に与える効果は、リスクの高い世帯ほど大きくなる。親の所得が平均以下の世帯や、母親の年齢が若い世帯では、親向けプログラムが非認知能力に与えるえいきが大きくなる。
・貧困の連鎖の正体の一つは、社会的相続の欠陥。お金、学力、非認知能力についてを正しく大人から学ぶことができていない。信頼できる第3者との出会い・ふれあいによって自身を取り戻すこともある。
・日本国内において、どのような貧困対策がどのような効果を持っているかを、継続的に学問的に検証した例は皆無と言って良い。海外では、RCTを活用した実験である、ペリー就学前計画・アベセダリアンプロジェクト、シカゴ幼児ハイツセンターがある。幼児期に非認知能力を正しく身につけることで、大学進学率が向上して年間収入に大きな影響を与えることが分かった。教育プログラムによって生まれる公的部門に対する投資対効果は約16倍。 -
元同僚が関わっており、買わなくては、と思っていたのだけれど、謹呈を受ける。
一読して、自分ごとにする、という本書の目的は達成されたとおもう。
定量、定性、海外研究のレビューなどバランス良く感心。
自分も頑張らなくては!
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貧困状態の子供→中卒、もしくは高校中退→就職困難→さらに貧困者増える→税収が減るという図式だそうだが、どうも腑に落ちない部分もある。難しい問題。
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親の責任論には共感するところが多いにある。
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興味深い記載が多かったが、分析が甘かったり論理の飛躍があるように感じた。また、子どもの貧困の定義のフォーカスが絞れていない点も気になった。包括的な支援よりも個別の課題を再定義・再整理して分析すべきだろう。
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貧困の連鎖から抜け出すためには
資力
学力
非認知能力
が必要と言われます。
資力は子供自身では如何ともしがたいものがあります。
また非認知能力は家庭の影響が大きいのでこれまた難しいかと。
ただ学力は比較的自分の力でつけられます。
本書は大学進学を是としてますが高専や工業高校商業高校に進む方が理にかなっると思います。
社会的相続
自立に必要な力を親だけに期待できない場合周囲の大人がどうやってフォローするか。
資力、学力、非認知能力をどうやって授けるか
本書は批判的に読めば確かにツッコミどころは満載です(苦笑)
でもこの課題はホンマにちゃんとしなAI化時代にえらいことになります。
せやから理屈抜きになんとかせなあかんと僕自身やれることをやろうと思います。
最後の方に出て来る実例はホンマに参考になりますので一読の価値ありやと思います。 -
タイトルほど衝撃的な内容ではない
子供の貧困を放置しているとどのくらいの社会的損失になるかを推計し、海外の取り組みを紹介
日本の取り組みを紹介しつつもっと公的資金を投入すべしと提言
読者にもジブンゴトとして関わるよう呼びかけている
子どもの年齢における早期対策が有効とは古市憲寿の「保育園義務教育化」でもいっていた。 あちらの方が読み物としておもしろくわかりやすかった