ベートーヴェン 音楽の革命はいかに成し遂げられたか (文春新書 1290)
- 文藝春秋 (2020年11月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166612901
感想・レビュー・書評
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面白い伝記を読んだ後は、別の人生を追加で味わったような気分になってお得感がある。
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ベートーヴェンの生涯と作品について、簡潔に書かれた新書。しかし、あまりに簡潔に書かれすぎていて、情報に乏しい。特に作曲の経緯や背景などの情報が弱い。ベートーヴェンを全く知らない人が読めば、そのことには気づかないかもしれないが、ベートーヴェンの生涯を描いた本を何冊か読んだことのある人は、物足りなさを感じることだろう。
本書を読んで、一番驚いたのは、不滅の恋人の正体を”近年、ヨゼフィーネ・ダイム夫人が有力視されている“と書いてあったことだ。
確かに、一時期は不滅の恋人=ヨゼフィーネ説も提唱されたようだが、それは20世紀後半の話で、近年では、アントニーエ・ブレンターノが最有力候補である。今世紀に入って書かれた書物の中では、不滅の恋人=アントニーエ以外は目にしたことがなかったが、2020年の出版物でまさか、ヨゼフィーネ説が出てくるとは思わなかった。著者に何かこだわりがあり、ヨゼフィーネ説を書いたのだとしたら、併せてアントニーエ説も書くべきであった。
ちなみに、不滅の恋人=アントニーエ説は、不滅の恋人研究をライフワークとしていた、青木やよひ氏の著作、「ベートーヴェン・不滅の恋人」などに詳しい。
中野氏の著作は何冊も読んでおり、親しみを感じてはいるが、残念ながら、本書はベートーヴェン入門書としては、ちょっとお勧めしにくい。新たな情報があるわけでもなく、著者独自の視点から新たな見方を提示しているわけでもないので、中級者以上には全くお勧めできない。
89歳という高齢で、これだけの文章を書かれたのは、尊敬に値するが、純粋に本の内容だけを評価した場合は評価が低くなってしまう。 -
2020年はベートーヴェン生誕250年でした。
彼が生まれた1770年には、モーツアルトも
ウィーンで活躍し始めているらしく、まさし
くクラッシック音楽の揺籃期と言えるのでし
ょう。
さらにフランス革命も発生しており、その後
に登場したナポレオンを顕彰して作られたと
いう交響曲第3番変ホ長調「英雄」などもあ
り、世界史と切っても切れない関係にありま
す(現在ではナポレオンと「英雄」の関係は
否定されているらしいです)
そんな不世出の作曲家ベートーヴェンの生涯
を綴る一冊です。 -
ベートーヴェンの入門書。 2020年は、ベートーヴェン生誕250年ということで、様々な行事が行われる予定だったが、コロナの影響で多くがキャンセルされた。 ファンにとっては残念な一年になってしまった。 この本は、ベートーヴェンの生涯と代表的な曲について考察したものであり、ざっくりと知りたい人には良い入門書だと思う。 自分もベートーベンの生涯については 、ロマンロランの本で読んだことはあるが、その後の研究で随分人物像が変わってきたらしい。 バッハやモーツァルトの時代と違って、より自分が作りたい音楽、大衆受けする音楽が求められ、その期待に応えたのがベートーヴェンだった。 この本には、自分が知らなかった事実や考察が簡潔にまとめられていて面白く読めた。 本文中で紹介されている曲は、ぜひ聞いてみたいと思う。
ちなみに初めて聞いたクラシックの生演奏は、ベートーベンの交響曲第3番だった。 九州大学管弦楽団の演奏で、その時のことはよく覚えている。本物の音をワクワクしながら聞いた。 弦楽器で弦が動いて音が出るのを初めて見てとても感動した。 -
ベートーヴェンの生涯と作品の数々についてだが、特に強調しているのがベートーヴェンが音楽を消費の対象から芸術へと昇華させたこと、そしてクラシック音楽のあらゆるジャンルで後世の作曲家に立ちはだかる至上の傑作を創り出していること。
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ベートーベンの生涯を知り、作品の解釈や作曲の背景を理解し得た。ジャンル別の代表曲の紹介が興味深かった。
交響曲9曲、ピアノ協奏曲5曲、弦楽四重奏16曲、ピアノ三重奏曲7曲、ピアノソナタ32曲、ヴァイオリン・ソナタ10曲、チェロ・ソナタ5曲等 -
ベートーヴェン生誕250年となりいろんな本が出版され、いくつか読んでいるが、この本は同じことを繰り返して書いており、わかりやすかった。またベートーヴェンの死因について詳しく書いてあり、当時の社会の模様を感じさせられた。今も変わらない気はする。