プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争 (文春新書 1359)

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  • / ISBN・EAN: 9784166613595

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  • 陰謀論の現場でいま起きていること~国際ジャーナリスト山田敏弘さんに聞く - 井上威朗|論座 - 朝日新聞社の言論サイト
    https://webronza.asahi.com/culture/articles/2022090300001.html

    文春新書『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』山田敏弘 | 新書 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166613595

  • 米・露・中の三国を中心とした、サイバー戦を含めたコンピュータ・セキュリティを解説したものです。

    本来、情報共有のための先端的な技術であるインターネット上で繰り広げられるサイバー戦。
    それは、非合法で、超大国のネゴがぶつかり合う情報戦争の場である。
    サイバー技術を持たない国々(含む日本)は、これらの超大国の支配下にのみこまれていく。

    前半は、露・中のサイバー技術の紹介と実戦の解説を、後半は、アメリカトランプと中国習近平とのやり取りを中心とした米中の変容を描いています。

    気になった点は次の通りです。

    ロシア軍は、ジョージア、クリミア併合、ウクライナと、フェークニュースの配信を含めたサイバー戦を実働部隊の投入の前に行っている。
    ロシアのサイバ部隊の創設は、もともとアメリカ軍のサイバー侵略の脅威に対抗するため。
    それが、2016年のアメリカ大統領選挙でのサイバー攻撃を行うまでに成長してきた。
    ロシアのサイバー攻撃はより直接的で、インフラの破壊や、ランサムウエアをつかった身代金の取得などです。

    中国は、長い間潜伏して、コンピュータから情報を抜き取っていく戦略だ。
    それが、2010年オーロラ作戦としてアメリカの知るところとなり親中政策を大きく変換させることとなった。
    それまでに中国は、国内に潜伏していたCIAのスパイを特定し、アメリカに打撃をあたえてきた。
    中国にとっての、サイバー攻撃の対象は、台湾で、8割のサイバー攻撃は中国からのもの。
    中国は、国家安全法をつかって、国民や企業へスパイを強要。一方で、千人計画で中国への協力者獲得のためになりふりかまわない人材の獲得を行っている。
    さらに、ファーウェイをつかってインターネットより、違法に情報を収集しようとしている。

    習近平とトランプの確執、トランプ時代に情報機関は中国情報戦に後れをとった。
    バイデンのブレーンは、対中強硬派、中国に対峙するために、アジアにて、中国包囲網を形成しようとしている。
    それが、日本が提唱しているクアッドで、日・米・豪・印の4か国による包囲網だ。
    中国のデジタル・シルクロードと、一帯一路構想から、欧州が離れ始めている。
    ファーウェイの採用拒否、オーストリア、ドイツの対中ビジネスの縮小化、ベルギーの中国スパイの摘発

    日本では、ウクライナ戦を機会に、大規模なサイバー軍を創設すべきであると主張する。

    結論は、

    インターネットが、国家運営に重要で不可欠なインフラとなった今、そのセキュリティは国の統制・支配そのものであり、安全性を維持しようと躍起にあるのは当然である。
    ネットインフラをベースとして、中国主導の地域と、中国を排除した西側主導の地域とが分断される可能性は小さくない。そのとき世界は、新しい二大勢力圏に分断されることになるだろう。

    です。


    目次は次の通りです。

    はじめに

    第1章 プーチンの戦争とサイバー戦
    第2章 中国は技術を盗んで大国になった
    第3章 デジタル・シルクロードと米中覇権
    第4章 中国に騙されたトランプ
    第5章 アメリカファーストから「同盟強化」へ
    第6章 日本はサイバー軍を作れ

    おわりに

  • 【どこにいても高速インターネットが利用でき、世界中の電子機器や部品、ソフトウェアなどをすぐに手に入れることができる。その優れたサイバー環境にあることを、なぜか日本人が一番、気が付いていない】(文中より引用)

    ロシアと中国が進めるサイバー分野での工作・オペレーションに焦点を当てた一冊。ロシア・ウクライナ戦争でも確認されたサイバー戦争の内幕を暴いていきます。著者は、『ゼロデイ』等の山田敏弘。

    サイバー分野においてはもはや「平和」という観念が成り立たないのではないかと思わされるほど、熾烈に熾烈を極める大国間の競争が生々しく記述されていました。日本版NSAという問題提起もなされており、議論の土台としても活用できそうな作品です。

    情報戦の概念は常時更新が必要そうで☆5つ

  • ロシア、ウクライナ、中国、台湾、アメリカ。サイバー戦争の時代に日本はついていけるのか。

  • 第一章 プーチンの戦争とサイバー戦
    現在の情報戦
    フェイクニュース
    ロシアのスパイ組織
    ランサムウェア
    偽旗作戦
    プロパガンダ戦争
    第二章 中国は技術を盗んで大国になった
    オーロラ作戦
    半導体の奪い合い
    アメリカのハッカー対策
    中国スパイの実態
    チャイナ・イニシアティブ
    第三章 デジタル・シルクロードと米中デジタル覇権
    第四章 中国に騙されたトランプ
    第五章 アメリカファーストから「同盟強化」へ
    第六章 日本はサイバー軍を作れ
    中途半端な日本
    ファイブアイズ
    サイバー防衛もアメリカ依存
    日本のサイバー能力
    日本版N

  • 中国のハッカー集団は知的財産や軍事機密を盗むことに特化している。ロシアは電力網や金融機関、政府機関など国家の機能を妨害するようなサイバー攻撃を行っている。

    2017年に制定された中国の国家情報法では、個人や組織は政府の情報活動に協力しなければならないと書かれている。

    AIを進化させるのはプライバシー関係なくデータを吸い上げられる中国型が優位。
    中国ではそもそも政府の監視が強いかrあプライバシーの意識はない。そのため国内で反対運動は起きない。

  •  書名の通りロシアと中国が民主主義諸国に対抗すべく、サイバー攻撃や技術上幇の盗み、情報技術インフラ技術の輸出(情報を盗むため)、要人の抱き込みなど敵対行為を行っているかが網羅的に描かれている。
     報道されているように米国大統領選もロシアによるサイバー攻撃(情報操作等)が行われ、トランプの当選を後押ししてしまった事実には背筋が凍る。
     しかし、これは始まりであって、今後、サイバー攻撃技術の進展により、我々がサイバー上の攻撃を受け個人資産を含めとんでもない損失を被ること、また、民主主義体制を揺るがされてしまう日がくることが現実のものとなっても不思議ではないと感じた。

  • アメリカも中国もロシアもそれぞれサイバー空間でうごめいている。
    そしてサイバー空間は情報にも深く結びついていて、情報を制するためにもサイバー空間は非常に重要である。
    色々と専門用語も出てくるがちゃんと解説してくれるのでありがたい。専門用語というか様々な組織名が頻出するが特に気にしなくても読み進められる。

  • まあタイトル通り。まさか、ロシアとRPCがサイバー戦争してるって言ってると思って読む人はいないと思うけど。
    前半ロシアで、大半はRPCの、知的財産権、情報資産「戦争」を論じる。
    そんな目新しいことはなかった。あっさりしていて、多分、仰っていることは正しいが、だから?え?となるんではないか。
    初心者向けの、興味を持ってもらう本と思えば、そういうことなのだ。

    日本は何なん。
    左つばさくんと、不愉快な仲間たちの「おかげ」で、勧めるべき国防システムすらままならないわけで。

  • ロシア、中国、アメリカ(トランプ政権、バイデン政権)のサイバー戦の動向と、日本への提言。
    中国はやばいな。
    ひとり何もしてない日本。

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著者プロフィール

山田 敏弘(やまだ としひろ)
岐阜大学教育学部国語教育講座教授。博士(文学・大阪大学)。国際交流基金派遣日本語教育専門家、富山国際大学講師、岐阜大学助教授を経て、2013年より現職。専門は、日本語学、岐阜方言研究。主著に、『日本語のベネファクティブ―「てやる」「てくれる」「てもらう」の文法―』(2004、明治書院)、『国語教師が知っておきたい日本語文法』(2004、くろしお出版)、『国語教師が知っておきたい日本語音声・音声言語』(2007、くろしお出版)、『国語を教える文法の底力』(2009、くろしお出版)、『日本語のしくみ』(2009、白水社)、『その一言が余計です。―日本語の「正しさ」を問う―』(2013、筑摩書房)、『あの歌詞は、なぜ心に残るのか―Jポップの日本語力―』(2014、祥伝社)、『日本語文法練習帳』(2015、くろしお出版)など多数。

「2020年 『国語を教えるときに役立つ基礎知識88』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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