新装版 坂の上の雲 (4) (文春文庫)

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著者 : 司馬遼太郎
  • 文藝春秋 (1999年1月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105792

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新装版 坂の上の雲 (4) (文春文庫)の感想・レビュー・書評

  •  旅順攻撃が中心となる4巻

     印象的なのは旅順攻撃の際の日本軍のグダグダっぷり。

     旅順の要塞に無策の正面突破を繰り返し、多くの兵士たちを犬死にさせながらも、攻撃方法や作戦を一向に変えようとしない、大将の乃木とその参謀、伊地知の頑迷さ、無策っぷりに呆れかえりました。

     そして彼らの更迭案を何度も出しながらそれを実行できない大本営にも読んでいてイライラ。こういう上層部のグダグダや無理解で被害を被るのは現場の人間、この場合は兵士たちなのですが……。太平洋戦争の際もそうですが、いつの時代も日本軍は兵士たちを駒としてしか見ていなかったのかもしれないなあ、と思いました。

     ロシア軍も日本海軍に恐れをなして、イギリスの漁船を間違って攻撃してしまうという、とんでもない失態をしてしまう場面が描かれます。

     戦争という極度の責任や恐怖がのしかかる局面になると、その人の本当の姿が表れてくると思います。そしてそれが大将だとか将軍だとか、責任のある立場になるとなおさらそうです。

     乃木・伊地知やイギリス漁船を攻撃してしまったロジェストヴェンスキー提督は、そうした状況の中で周囲の状況が見えなくなったり、冷静な判断が出来なくなった人間の姿だと思います。その姿は愚かと言ってしまえばそうなのですが、そうした状況下で冷静な判断が出来なくなってしまう人の哀しさ、というものも少し感じてしまいました。

     また日露戦争を続ける上での海外からの資金援助に苦労する日本軍の上層部や、人種問題から日本に援助するユダヤ人の存在など日本が対外的にいろいろ動いている姿も印象的でした。

     そして資金援助を得るために戦争の結果を海外にアピールしたり、人種問題の存在を実際に肌で感じたりと、日本が海外に出ていく中で新たな価値観にぶつかっていく姿も読んでいて面白かったです。

     こういうのは教科書では全然教えてくれないところなので、こういう裏側的なところが読めるのが歴史小説のいいところだよなあ、と改めて思いました。

  • 3巻と比較して、戦況に大きな変化がなかったためか、人間味のある話題が少なかったためかわかりませんが、極端に読むスピードが遅くなりました。6日かかりました。

  • 司令官 乃木希典は尊敬する人物だったのに日露戦争でこんなにも無能だったと初めて知った。
    参謀長 伊地知幸介はさらに輪をかけた人物。

    無能であることをわかりながら交代させない大本営は無責任。
    人命の尊厳さを無視している愚かな人々。

    絶対服従するしかない兵士にとって上層部がどんな方針をたてるかがいかに大事か。

    陸軍は太平洋戦争でも同じ過ちを犯した。
    学習していない。

  • 4作目。
    主に日露戦争の話。
    非常に興味深く、いかに激戦であったかが伝わってきた。
    続きが早く読みたい。

  • いよいよ本格的に日露戦争に突入。最初から最後まで戦場でのおはなし。司馬さんの視点は比較的マクロ的かつ上から(将校)のものであるため下士官を単なるコマとしてしか扱ってないように少しかんじた。実際そうでもしなければ耐えきれないほどの内容であるとは思う。コマとして描いているだけでも十分に悲惨さは伝わってきた。
    今回は陸軍についての記述が特に多いのだが、陸軍編成や地形を知らない自分にとって読むのは今までよりかなり骨が折れた。
    また、例の司馬史観の一つといわれる乃木さんに関する批判的な記述が大半を今回は占めていた。実際によんでみると乃木司令官に対してはフォローをたびたび行っているがその参謀長伊地知に対してはいっさいのフォローがなく批判的であった。彼ら二人が主だって行っていた旅順攻めに対する戦闘の記述が最も激しく悲惨さが感じ取られた。
    そしてその中においても下士官達は逆らう事なく命令に従った(100%死ぬ事がわかっていても)明治軍人たちの心というものが今からすれば異様なものにしか感じ取る事ができなかった。
    その中でロシアを含めたリーダーの葛藤というものも描かれていた。
    命と士気が天秤にかけられていたのが印象的だった。

  • 日露戦、黄海海戦、旅順の攻防など。著者の旅順戦に対する参謀伊地知へのこれでもかという批判はややくどいという感を持つ。

  • 日露開戦初期、両国の総司令官および各級司令官を丁寧に対比している章。

  • 黄海、遼陽、沙阿、そして旅順。激戦に次ぐ激戦。物資が枯渇する中生命をふりしぼって多くの兵士が大陸に倒れていく。どんどん辛くなってきました第4巻。それにしても旅順の乃木隊には苛立つ。平和時であれば無能は罪悪にはならないが、戦時や緊急の場では罪悪であり害悪であることが強く感じられます。今現在の無能な政府を思い返さずにはいられません。すぐれた小説は多くを学ばせてくれるものです。

  • 国の明暗を決めるトップの決断の重さと、その決断に従って任務を全うする兵隊の勇敢さ。一方では自分の立場ばかり気にする官僚。自分は前者のような志高い人間になりたい。

  • ひたすら日露戦争のお話。
    日本の陸軍の旧態依然さにところどころイラッとしてしまうし、
    秋山兄弟はあまり出てこないし・・・
    考えさせられはするけれど楽しんで読んではいなかったと思う。
    戦争はいやだな。

  • 5月22日読了。日露戦争が本格化、真之はロシア旅順艦隊を湾内に封鎖すべく戦闘し、好古はコサック騎兵を引きつけつつ陸戦を繰り返す・・・が、この巻の主役は日本の第三軍を率いる乃木希典と参謀・伊地知幸介か・・・?後半は辟易するほどに旅順で築かれる死体の山と乃木らの無謀さ、日本軍の体力の弱さが強調されるが、あまりに悲惨かつ滑稽すぎて却って現実味を感じるくらい。混乱の渦中にいるものが、後世に生きる小説家のように状況を俯瞰して把握することなど無理なのかもしれない・・・。「智謀湧き出るがごとく」と何度も褒め称えられる真之や児玉源太郎が大ポカをしたり。まあ天才ほどリスクをとるもので、失敗したときの結果も大きくなってしまう、というものなのかもしれない。

  • 驚くべき指揮官たち。日本にしてもロシアにしてもそれぞれ事情があったのですね。とてもダメダメな指揮官が描かれています。

  • 本巻では日露戦争の遼陽大会戦から旅順総攻撃までが描かれている。司馬先生が意図したか否かは分からないが、本巻のテーマは「ダメな指揮官」なのではないかと邪推したくなるくらい、ダメな指揮官が描写されている。勿論、日露両国とも。

    日本陸軍は第二軍司令官の乃木希典とその参謀長の伊地知孝介、ロシアはバルチック艦隊司令長官のロジェストウェンスキー少将である。
    乃木と伊地知は大本営から戦略的利点から散々「203高地を攻めよ」と命令を受けているにも拘わらず、あーだこーだ理由をつけて動かない、そのくせ全面強行突破などを強いて貴重な兵隊を無駄死にさせる、自らは危険な前線には出ようともしない、縁起がいいという理由で毎月26日を攻撃日に設定し敵将ステッセルに読まれている…等々。ダメ経営者、ダメ上司の典型である。それでも自分の死が勝利への道につながると信じ勇敢に戦い、死んでいった麾下の兵隊が不憫でならない。当時の師団は出身地域ごとに構成されており、その上に司令官や参謀長等の幹部が就任する形であるので、まさに現在のサラリーマンと同じく「上司は選べない」。藩閥政治のしがらみ(乃木は長州藩出身、伊地知は薩摩藩出身)で任命されており、現在の企業でいうと、無能にも拘わらず経営者の同族を幹部に据えるダメ会社といったところか。

    片やロシアのバルチック艦隊司令長官ロジェストウェンスキー少将の記述は抱腹絶倒ものだった。臆病極まりないのだ。「日本の駆逐艦がデンマーク海峡で待ち伏せしているらしい」「日本の水雷艇がヨーロッパ北部の海に待ち伏せている」などと妄想し、ビクビク怯えながら航海し、揚げ句の果てにはイギリス漁船群を日本水雷艇と勘違いし激しく攻撃してしまう…。
    リーダーにはある程度の慎重さは求められるだろうが、度を越している。作中、司馬先生はこう言う。「恐怖心の強い性格であることは、軍人として必ずしも不名誉なことではなく、人間の智恵は勇猛な性格から生まれるよりも、恐怖心の強い性格から生まれることが多い。古今の名将は、それを自分の胸中に閉じ込め、身辺の配下にさえ知られぬようにした。それが統帥の秘訣である」
    まぁこのお陰でバルチック艦隊はあちこちで足止めを喰らい、極東への到着が遅延し、日本軍はそれに助けられた。日露戦争における日本の勝利は、こうしたロシアの自滅による原因が大きい。勿論、日本軍も先に挙げた乃木&伊地知といった無能なリーダーにより危険な部分は有ったのだが、自滅の面でロシアが上回ったということだろう。
    これは戦争のみならず、仕事やスポーツ等でもあてはまるものだ。企業間競争を例にとれば、他社との売上合戦に精を出しても自社内で内部分裂が勃発していれば他社に抜きん出るどころか自滅するのが関の山というものだ。テニスでもそう。相手の弱点を攻めようとしても、そもそも精神的プレッシャーに負けてダブルフォルトを続けていては勝てない。これも自滅。受験生時代によく先生から「敵は他人でなく自分の弱い心だ」と叱咤激励を受けたものだが、嘘ではないということか。

    今まで本作品では見習うべきリーダーが描写されていることがほとんどだったが、本巻においては「反面教師」を見ることが出来て興味深いものであった。

  • 下瀬火薬がロシア軍艦の甲板を吹き飛ばす描写に燃えてしまう黄海海戦、日露陸軍がついに本格的な決戦を繰り広げる遼陽会戦、著者が繰り返し指揮官の無能を批難する旅順砦攻撃、そしてついに大回航するバルチック艦隊・・・と、若干秋山兄弟は影薄いが読みどころ満載。両軍沙河をはさんで冬営が避けられぬ段になったとき、兵站経理部長の機転で日本軍はいち早く木炭を集めることができたというエピソードがわずか1頁で紹介されているが、この赤尾清穆というような無名の人々の知恵が多くの命を救いそして今日がある。東北の震災でもきっと誰かによって誰かが救われているに違いない。一人で生きている命などないのだな、と改めて思わされる。

  • これまでとはちょっと違って、「この人にはついていきたいくないなぁ」と思わされるリーダーたち。
    特に戦場でなんて、とてもとても志気が上がらなかっただろうな。
    大本営の苦悩もわからなくない。
    この巻は特に、リーダー論というか、どんなリーダーが望ましいか、
    ということについて考えさせられた。
    人を動かすということ、どんな人についていけるか。

    それから、藩閥のことも出てきたり、
    相変わらず海軍も出てくるのだけれど、
    海軍は、海軍精練所で早くから準備が進められていただけ
    組織としてしっかりしていたのだなぁと感じた。
    「龍馬伝」の知識(史実と異なる部分が含まれていると言われていても)で日本史がつながってみえる。
    歴史がつながってみえるという経験はひょっとすると初めてかもしれない。

  • 知らなかった。1ページぐらいでしか記述がない日露戦争に、こんなにもドラマがあること。そのほとんどが苦悩だということ。勝ったから◯、負けたら×なんておかしな話だと思う。どの戦争が良いも悪いもない。
    ただ、この時代にいたら、戦争は避けられなかったのかもしれない。
    占領されたら困る。国を守るために、苦渋の想いで行った決戦だったのだ。
    だから、戦争をやった日本は無能だ、なんて言えない。
    何も知らずに、語っちゃいけない。

  • 戦争って滑稽である。
    やってる本人達は命を賭けて何かたいそうな大仕事をやってるつもりなのだろうがそれがまたどうにも阿呆らしい。
    派閥の仲間だから誼で登用しちゃえ、的な発想は明治の頃から治っていないようである。

    それにしても司馬氏の物言いは笑ってしまうほど辛口でいい。

  • 日露戦争の描写がえぐくなっていく。。。だよね、そう描かないといけないんだよねと。戦争は、悲惨で、とても騎馬戦のようなもんじゃない、体が木っ端みじんになって死んだり、腕や足がもげたり、体が縦に割れて死ぬ、大量の人間が死ぬ世界。それぞれに、親が必ずいて、人によっては、子もいただろうに・・・
    戦艦対戦艦じゃない、大砲の数や火薬の強さでもない、悲惨さ。見ようとしなければ、見なくていい部分が戦争にはあるんだなということがわかる。

    そして、旅順攻略において指揮をとった乃木とその参謀に対して、相当の紙幅を使って、これでもかと痛罵している。

    色々な立ち位置、見方ができると思うが、指揮系統の混乱、現場から離れた所で指揮、戦術的な検討の不備、相手に予測された定期的な攻撃、多数の死者、戦争の悲惨さへの筆者の怒りが巻末に向けて増していっていることを感じた。

    乃木については、wikiなどで調べると違う側面がある事も分かる。多数の死者を出した事への悔恨もあったようだが、自死によって幕を閉じた人生は、否定したい。





  • 遼陽、旅順、沙河、旅順第三次総攻撃。白襷隊が壊滅したところまで。
    大沢界雄!

  • 日露戦争の勃発から旅順の本格攻略本までを描く本巻。秋山兄弟の出番は少なく、大本営総帥の山県有朋、陸軍総大将、大山巌参謀総長、児玉源太郎次長、一軍大将黒木、二軍大将奥、三軍大将乃木希助四軍大将野津と、それぞれの参謀達のドラマが展開する。
    日本の今日独立して先進国となっているのもこの戦争で活躍した武人のおかげだと痛感しながら読み進める。

    徹底して描かれる旅順攻略における乃木将軍と参謀、伊地知孝介の作戦のまずさと酷さが際立ち、読んでいて憤り、残酷な描写に気分が悪くなるほど。見る人によっては評価が分かれるとのことだが、作者は少なくとも徹底して悪者扱い。緻密な取材のあとがうかがわれることで説得力があり、史実として受け取りながら次巻以降も読み進めます。

  • 歴史に明るくない自分でも名前くらいは知っていた乃木将軍。てっきり優秀な人だと思っていたのに、まさかここまで真逆だったとは。
    更には伊知地参謀長の輪をかけた酷さ。
    司馬氏は相当許せないようで、何度も何度も繰り返し無能な作戦による悲惨な戦の様子を描いている。
    小説とはいえ先人達の尊い命が無為に失われてゆくシーンを延々と読み続けるのはキツいものがありました。

  • 2017.03.30読了。

  • 遼陽、沙河、旅順

  •  全編日露戦。黄海海戦、遼陽会戦、旅順攻略戦(未達)、沙河会戦。

     其処彼処に後年の日本に悪影響を与えた陸軍への批判が目白押し。小気味いいくらいである。
     著者が一番嫌いなのは、恐らく失敗をすることではない。失敗を糧にして工夫し、あるいは思考を巡らせて改善を図る、そういう過程を軽視・無視・実行しない者なのだろう。
     旅順攻略軍の伊地知参謀への痛罵がそのことを実によく伝える。


     本筋とは全く関係ないが、陸軍長州閥を毛利家の家紋から採って一品会とした点はトリビア。が、旧家意識が強すぎて気持ちが悪い。

     そもそも日露戦は薄氷。少なくとも戦術的には勝利ではなかったというのが相応しいと思っていたが、それと同様な印象を著者も持っていたのかなあという印象を強くする。
     一方、戦後、これを陸軍の保身と無謬性確保のため、勝利だと喧伝するべく情報介入していき、極限まで行き着いたのが戦前昭和なんだな、と容易に想像しうる叙述だ。


     全8巻中の4巻目。

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明治三十七年二月、日露は戦端を開いた。豊富な兵力を持つ大国に挑んだ、戦費もろくに調達できぬ小国…。少将秋山好古の属する第二軍は遼東半島に上陸した直後から、苦戦の連続であった。また連合艦隊の参謀・少佐真之も堅い砲台群でよろわれた旅順港に潜む敵艦隊に苦慮を重ねる。緒戦から予断を許さない状況が現出した。

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