新装版 翔ぶが如く (5) (文春文庫) (文春文庫 し 1-98)
- 文藝春秋 (2002年4月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167105983
感想・レビュー・書評
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前半は日清間の外交交渉が主に描かれる。5巻は大久保メインで西郷はほとんど登場しない。清国のプライドの高さは今も昔も同じ。西郷の征韓論をつぶした大久保が奇しくも同様の外征策にうってでることになる。後半はルソーに感化された壮士たちが、新聞社や学校を根城にして反政府組織になっていく過程が描かれていく。江戸幕府を倒して、とりあえず作ってみました的な太政官政府の不安定さ、少しの刺激でくずれてしまうような危なげな感じがよく描かれていると思った。新しい国を作るというのはこんな感じなのか。
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大久保の交渉力、というか気合いというか力技ですね。
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大久保は火消しに大忙し
従道は台湾で我慢大会
八郎はルソーに触れる
西郷さんは.......畑仕事?
ゆっくりと濃密に流れる明治7年から
徐々に反政府気分の地鳴りが高まる明治8年へ
みんな必死なのに上手く行かないのがもどかしい。 -
明治7年、大久保利通が清国で繰り広げた外交劇は非常に印象的だ。平行線の交渉の場をあらゆる手段を用いて粘り強く挑むその姿には感動を覚える。どのような辛い立場であっても糸口を見つけるために頑なに挑み続けている一面を劇的に描いている。
外交に限らず交渉において妥協をせずに自分の目標・目的に少しでも近づけるように努力することの大切さをしみじみと感じた。 -
16/1/2読了
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・2/19 読了.
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大久保の、台湾出兵に関する交渉が中国と行われ、非戦の結果となる。彼の交渉能力は抜群である。この結果を良しとしないのは、清との戦争を期待していた士族たちであり、彼らの鬱憤はたまるばかり。政府との軋轢は徐々に大きくなっていく。
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大久保利通がはるばる清国までいって李鴻章と談判する巻。<br>もしかしたら清と戦争になっちゃうかも?ならないかも?やっぱりなっちゃうかも??果たして大久保利通の腹のうちは如何?教えて、大久保さん★ 大久保さんの寡黙さが周囲に不安を与えまくっている様子が可笑しい。<br>結果から言えば戦争にはならなかったわけですが、台湾の先住民が日本人を殺害した件で清国(台湾の宗主国)から賠償金をゆすり取ろうとしてるヤクザな日本は無茶。<br>木戸孝允は「清と戦争になったら日本は大挙して北京を攻撃できたとしても、その地にずっと拠有できるワケないよ」ということを仰っていますが、これは見事な予言です。のちの太平洋戦争までこの予言は常に的中することになるのですから。<br><br>陸軍では谷干城が登場。台湾出兵にホイホイついてった宮崎八郎との邂逅。ルソーの思想の蔓延・社会主義に沸騰の兆し。中江兆民デターーー!!変人!変人!!
「明治八年・東京」の章では…大阪会議がおもしろすぎる!!必死に木戸孝允を政府へひっぱり込もうとする大久保さんが可笑しい。伊藤博文は媒酌人。木戸さんは良い迷惑。「大久保に待受けられ、直に突入、是には随分困り申し候……例のねばりづよく……」のコメントには爆笑した。 -
幼馴染みであった西郷隆盛と大久保利通。その西郷は薩摩藩士をいたく可愛がり、大久保利通は新政府の明治政府を大切にし、その二人の思想の違いが二人を引き裂いたという感じでしょうか・・・。下手なドラマを見るより、二人の苦悩が感じ取れるこの本はとてもよく出来ています。