新装版 翔ぶが如く (6) (文春文庫) (文春文庫 し 1-99)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105990

感想・レビュー・書評

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  • 砂を噛むような思いとは、こんな感じかなと改めて感じる。この作品を読む時の味わいである。通常読書はワクワクと楽しむものであるが、本書はまさに苦行。如何せん面白くないのだ。
    本巻ではまだ西郷は立たない。と言うか、まったく登場しない。明治初期の不平士族による反乱である、神風連の乱、秋月の乱、萩の乱のいきさつとその決起が事細かに描かれており、それらに関わる人物の思いがふんだんに描かれている。
    特に萩の乱首謀者の前原一誠のページの割かれ方は顕著であり、彼の生い立ちから人間関係まで事細かに描かれている。しかもあまり魅了的な人物でもない。警視庁が放ったスパイに自らの決起計画を漏らしてしまい、数ヶ月経過してようやく気付くエピソードなど、ちょっと抜けている点が多い。かといって憎めないキャラでもない。
    思うに、この時代は戦国時代などに比べて各人が遺した日記など資料が克明なだけに、ノンフィクションで作ろうとするとついつい引用なども多くせねばならず、長ったらしくなってしまうのではないだろうか。
    まだまだ折り返し地点を過ぎたばかり。しばらく苦行は続きそうだ。読書そのものに嫌気がささないためにも、平行して色んなジャンルの書を読んでいるのが救いである。

  • 巻末のほうで神風連の乱が起きる
    廃刀令が追い込んだ
    神前の「くじ」で行動を決定する宗教的集団。
    襲撃には鉄砲も使わない。

    鎮台司令長官、妾2人同居、一人斬殺
    も一人は「ダンナハイケナイ、ワタシハテキズ」の電報

    この乱の制圧に児玉源太郎が能力発揮

    一方前原一誠(軽は、政府の密偵に騙されて妥当太政官の証拠を握られる)は
    神風連決起の2日後に兵を挙げる約束をする
    第七巻はその辺の話になるのだろう

    毎度書いているが、長い長い

    11 西本願寺、勤王派。会津藩や新撰組にいじめられる。東本願寺は佐幕
    19 久光の側近、大山綱良、有能で闊達
    24 薩摩藩、富農がいない。搾取した

    34 土佐人、白黒を明快にしすぎる
    39 きつね飴売り、コスプレ
    52 久光、国家から優遇されたが業績皆無

    74 大久保の板垣軽視
    77 官、長州人の9割9分支持。名誉、金銭、権力
    85 西郷が嫌った堀次郎。面罵し「刺せ」とも

    95 君主に責任ナシ。勅じょう。部下が手紙書く
    106 西郷は桐野に乗せられた、という見方
    112 西郷、論旨や考えを明快に述べる

    131 大久保新居、印刷局の写真を撮って「贅沢」と非難させた
    147 嫉妬深い木戸、前原一誠をねたんだ
    215 前原と山県らの大喧嘩

    217 長州奇兵隊幹部、金に汚い
    230 長州人、秘密が保てない
    253 官費で札幌にビール醸造所

    257 肥後の思想好き
    260 ワシントン、独立革命後4年隠遁→大統領
    262 熊本洋学校の生徒、洗礼

    272 神風連、行動はくじ「うけひ」で決定
    321 警察と鎮台の不仲。情報つたえず
    326 暴力の崇高視

    335 軍人起用・長州=技能者が軍人。土佐は身分卑しくないもの。薩摩は戦国武将タイプ。
       長州人は金をほしがり、薩摩は女をほしがる、勝海舟

    344 西南戦争、熊本城攻めは無意味だった説。神風連の成功に倣ったが・・
    349 児玉源太郎が神風連の乱の指揮

    352 薩摩系軍人、勇気や能力>>長州系
    356 クソチン、くそ鎮台

  • 神風連の乱までのストーリー
    あっけなさが伝わるようにこのシーンは数10ページで完結してしまったが…
    ここまできたのでなんとか読み切りたいが、勉強になると思いつつ少し単調…
    坂の上の雲で出てくる児玉源三郎や乃木希典とか出てきたのがおっ!ってなったくらい

  • 神風連の林桜園は、徹底的な攘夷論者の神道家。外国人と戦い勝って、その後どのような国を作るかは考えず、戦いそのものに意義を見出だした。師弟は、横井小楠、吉田松陰、大村益次郎、真木和泉、宮部鼎蔵(新撰組により殺害)、河上彦斎(るろうに剣心主人公のモデル)など。政治は神事より劣るものとし、政治に走る師弟を否定した。「兵は怒なり」負け続けようともゲリラ戦をひたすら続け、経費がかさんで侵略国は和議を言ってくるという思想。また西洋は火(銃火器)を使うから、日本は水で応戦しろと説いた。これの解釈に弟子は困った266

    萩の乱首謀者前原一誠は、反乱首謀者の器量が無く、スパイにやられ、政府に命乞いをして過ごしていた。その時ノイローゼになり「全身震動、頭浮クガ如ク、飛ブガ如ク」と日記に書いた。こちらは「飛ブガ如ク」である286

    廃仏毀釈で十津川ではほとんどの寺が壊され、仏像が川に流された303

    神風連の奇妙さは、自他を殺すという暴力そのものが神聖だということ。このような不思議な団体が出来上がるというのは、民族的性格と民族文化に根ざしているのかもしれない。日本人の病理的性格の一端をあざやかにのぞかせている。325

    神風連の乱では、熊本鎮台司令官種田政明が自宅で殺された。その妾、小勝も受難し傷を負った。彼女は命がらがら逃げて東京の両親に電報を打った。
    「ダンナハイケナイ ワタシハテキズ」
    これを新聞が取り上げ、流行語になった

  • 「尊王攘夷」のスローガンで始まった筈の倒幕運動から、明治維新が為ってみたら、幕末からの開国方針が何も変わっていないという、この歴史の流れが、長らく釈然としなかったのだが、これを読んで、漸く腑に落ちたというか――当時の士族達も釈然としなくて、だからあちこちで士族の反乱が起きて、最終的に西南戦争に至ったのね、と。しかし、旧支配層の武士は既得権益を取り上げられ、庶民は税金やら兵役やら負担が激増した、この明治維新という大改革が、よく破綻・瓦解しなかったものだという、新たな疑問が湧いてきた。

  • やはり5巻、6巻がある意味で山場だった。なんとか登頂した。

  • レビューは第1巻に

  • p.257
    「おれの説が変わったのではない。進んだのだ」

    意見がコロコロ変わると言われたら、この言葉を使ってみようと思います。

  • 上巻に同じ

  • 「翔ぶが如く(6)」(司馬遼太郎)を読んだ。
    『要するに、神風連ノ乱は日本における思想現象のなかで、思想が暴発したという点では明治後最初のものであった。』(本文より)
    と言われてもなあ。そもそも「神風連ノ乱」そのものを知らずにこれまで私は生きてきたのだよ。
    西郷どんいまだ動かず

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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