新装版 青葉繁れる (文春文庫) (文春文庫 い 3-27)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167111267

感想・レビュー・書評

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  •  主人公達の通う高校の卒業生として読みたいと思っていた。井上ひさしは大先輩として高校に通っていた時から名前は何度も聞いていた。作中で出てくる応援歌一番!自分が通っていたころはもうこの小説とはだいぶ雰囲気も変わっていたが受け継いでいたところもたくさんあり小説を読みながら懐かしくなった。特にチョロ松(校長先生)が…一高生には涙もの。
     今だと大問題になりそうなこともあるが時代が時代ということだろう。それがいいというわけでもないが、今の方がいいとも一概には言えない。

  • なんだろうか、この痛快な青春小説の後ろにある得体のしれない闇は。大人に噛みついたり、大人のだらしなさを笑い飛ばしたり、大人を真似て酒を呑んだりしながら、戦後の混沌としたモラルが透けて見える。性的なものに関する少年たちの憧れを描きながら、一方で現実には性風俗の暴力的な描写が挟まれている。切ないが、それを笑い飛ばすような乾いた笑いが主人公たちにある。

  • 若さという強さと弱さを、惜しげもなく、そして恥ずかしげもなく押し出したThe青春小説。それをただの「青い話」で終わらせないのが井上ひさし氏の日本語の巧。特に終盤の描写は、それまでの流れを全て収斂し、不思議な涙を誘います。

  • いい大人がいると子供はよく育つのかな

  • のびのびとした空気感と素朴さとユーモアのつまった青春小説。
    繰り広げられる悪さにも、いい意味で、心根の単純なおバカさんぶりが感じられて、おかしくてちょっと哀しい
    校長先生の言葉と、その立ち姿が心にしみた。
    そして哀愁も。

  • やる事なす事ハチャメチャ。まあ時代なんでしょうね。現代であれば、親の呼び出し、謹慎、退学となるのでしょうが。寛容な校長の姿勢にはジーンとした。

  • いやいや痛快痛快。盛りを過ぎたオジさんの話だから嫌味もなく楽しめた。いちいち思い当たる節があり、想像恋愛 自家発電やりまくりのわが身を思いだし大笑いしながら読んだ。稔たち五人万歳。チョロ松乾杯。
    これは小説と言うより、エッセイである。

  • ムッシュ・カマヤツが歌う"下駄を鳴らしてヤツが来る~♪"って曲が聴こえてきそう。バンカラの時代の素晴らしい大人たちと大人になりかけている少年たちの日常が、いきいきと描かれている。こんなめちゃくちゃは、現代では許されないなぁ。古き良き時代。でも人の気持ちは変わらないはずだよね。

  • 井上ひさしの初期作品。

    冒頭から笑いがこみ上げてくる。女生徒を見ると自分を主役にした妄想劇が繰り広がる旧制高校生。

    チョロ松の色紙『熟慮断行』の4文字が必要な若者たちの蛮行の数々。

    楽しく読める作品。

  • 面白かった。主人公達は秀才なはずだがどこか抜けていて憎めない。そんな彼らの珍事件を追う物語。面白おかしいはずだけど、どこか切なさや虚しさを感じた。
    10代の時は大小過ちを犯して育っていく。それを可能にしてくれるのが大人だと再認識させてくれた。
    現代では面白おかしく書けない内容があるので注意が必要です。

著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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