- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167123048
作品紹介・あらすじ
出生にまつわることで、母がかくし続けた秘密をさぐる。躊躇しながら休みなく。その結果みたものは。亡き母への熱き愛と鎮魂を描破した菊池寛賞受賞作。(野坂昭如ほか)
感想・レビュー・書評
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ごめんなさい、読み切れませんでした。
他の人の感想は、おもしろいとか書かれてたので頑張ろうとは思いましたが
おもしろいに、なかなか辿り着くこともなく…
諦めました。
NHKでやってる、ファミリーヒストリーだ!とか書かれてましたが
全く興味がないと言うか…
テレビはファンなんですがね。
この作者さんのことを詳しく知らないので
この方のおじさんだのおばさんだの話を読んでも何とも思わず…
ってことで、ごめんなさい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
心に引っ掛かていたことがあった。それは、空襲で失われて
しまった1冊のアルバムだった。
早稲田大学の角帽をかぶった父、その父の上半身裸の後ろ姿を
写した写真。あと数葉、父の写真が続き、唐突に赤ん坊の頃の
著者の写真が貼られていた。
両親共に社h新好きだった。なのに何故、ふたりの結婚式の写真
がないのだろうか。家には母が「遠縁」としか説明しなかった
人たちの出入りがあったが、母は一切の昔話をしなかった。
子供の頃に耳にした、母と兄との諍い、父方の祖母が母に言い
放った「柏木田の女のくせに」という言葉と、自分に向けられた
憎しみさえ込められた視線。
父と母の結婚には、何かいわくがあるのではないか。芸事に優れ、
社交的で美しくもあった母は、一体、何を隠していたのか。
著者は少ない手がかりを元に、母の半生を、両親の結婚にまつわる
エピソードをかき集め、自分のルーツを辿ったのが本書である。
NHKの「ファミリーヒストリー」は、番組制作側がゲストのルーツ
を調べ上げる番組だが、著者はそれを自身の手と足で行っている。
今のようにインターネットでなんでも調べられる時代ではない。
地域紙の縮刷版や、母の生地と判明した場所にある警察に保存
されている資料を漁り、当時を知る土地の人たちに直接質問を
ぶつけながら、そのルーツを確かめて行く。
その合間には自分の生年月日にまつわる謎、家族の思い出、自身が
抱えていた鬱屈した思いが綴られ、最終章で父方のルーツを訪ねる
旅で大団円を迎える。
母方のルーツが判明するまでがミステリーのようでもあり、読み手
にもところどころで辛さが伝わって来るだけに、最終章を読み終える
と「ああ、こういう結末でよかった」と安堵さえ覚えた。
家族の過去を掘り起し、知ることの恐怖さえある作品でもあるが、
著者の母への愛情が感じられる良書である。 -
こんな背景持ってたら人格形成に大いに影響があるはずで、著者の徹底した自信のなさ(謙遜?)と絶対的な母への賛辞はその結果なんだと思うと悲しい気もする。当時の時代背景の描写といろんな著名人が出てきて面白い。昭和ってすごい時代だったんだ。
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桜庭一樹の個人的な文庫オールタイムベストテン
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淡々と自己の出生の真実について迫っていく描写は、ジャーナリズム的な私小説として迫力があった。問題提起→解明という構成もうまく一気に読ませる。
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烏兎の庭 第二部 箱庭 4.29.06
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto02/diary/d0604.html -
松本健一が推薦。
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前半山口家縁者のエピソードが続き、人間関係の複雑さと濃さに戸惑ったけれど、山口瞳氏の美しい母の過去の一端が垣間見られてくるごとに、母の並々ならぬ思いが汲み取られてくる。口を閉ざすこと、過去と隔絶すること。それでいながら、断絶はできない人間関係があること。
父の故郷の温かい描写が、ほっとさせるとともに、母の故郷の「濃い血の塊」の哀切を際立たせるよう。 -
とても読みやすい本だった。
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母の死後幾年が経ち、50歳過ぎにして自分の出生のルーツを辿る山口瞳。徐々に解き明かされていく母の秘密。恐怖に躊躇いながらも真実を追い求めていく筆者の複雑な心情が悲しい。父方の故郷を訪ねるラストが素晴らしい。名作。