新装版 武将列伝 戦国揺籃篇 (文春文庫) (文春文庫 か 2-54)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167135546

感想・レビュー・書評

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  • このシリーズをばらばらの順番で読みだし、3冊目。
    本当は2冊目。
    武将により、面白いと感じたり、感じなかったり。
    好きな人物だったり、派手な人物でも面白いと思わなかったりするので、へーと思える前知識の量にもよると思われる。自分の好きな武将が悪く書かれていないか、少し読む前はドキドキしてしまう。
    でも、丁寧に綴られているので、悪くはないと思います。

    著者が評判が悪いが、そうでもないとかばっている楠正儀。。。すいません。名前も初めて聞いた。正成の息子らしい。

    なんだか優しい人で、十分魅力は伝わった。
    興味深いエピソードとしては、敵方の佐々木道誉が自分の屋敷に酒肴を置いて、清潔にしていったことに対し、お礼の品を置いて立ち去ったこと。どちらも気持ちいい。
    戦も巧み。提案した策が用いられずとも、万死を覚悟して、忠義のため挑む姿勢もなかなか。

    信長の賢さにも感心した。
    義昭を奉じている間のこと、義昭が最低限暮らしていけるように、京都の街に米を借入させ、利子を義昭に払わせる方針をとった。賢い。。。そんなの思いつけない。

  • 足利尊氏からはじまり、毛利・武田と戦国武将の有名どころを経て、織田信長、豊臣秀吉で締める戦国武将列伝。そこに記載されている武将たちは、百科事典や教科書では見ることのできない生々しい人間だ。喜怒哀楽もあるし、生理現象もある。著者の歴史家としての豊富な知識と、小説家としての想像力が歴史上の人間の意外な一面を照らし出す。

    この本で一番有名なのは、やはりノブナガ&ヒデヨシ。しかし、この二人はあまりに知られすぎているせいか、著者ならではというインパクトは薄い。オススメは、足利尊氏編。

    足利尊氏という人物を説明するなら、鎌倉幕府を滅ぼし、後醍醐天皇を追放し、再び武家政治を始めた文武両道の室町幕府創設者というところ。しかし、著者曰く、尊氏はそんな切れ者ではない。それどころか良い家柄で何不自由なく暮らし、お人好しで決断が鈍いボンボンだとバッサリ。では、なぜそんな人が天下を治めることができたのか。それは、鎌倉幕府後の後醍醐天皇の新政があまりにお粗末だったこと。さらに、尊氏の実弟、足利直義が見事なバックアップをしていたことだ。この現実主義者直義の存在が大きい。陽の尊氏、陰の直義。アメの尊氏、ムチの直義。兄弟ゲンカもしたけど、互いに未熟な点をカバーしあう絶妙な名コンビだった。「足利尊氏」とは、尊氏&直義の兄弟舟による創作物なのだ。

  • 面白いが、読むと眠くなるので図書館の貸出期限内に読みきれず返却。残念。

  • 足利尊氏、楠木正儀、北条早雲、斉藤道三、武田信玄、織田信長、豊臣秀吉を論じる。特に面白かったのは、戦国時代の先駆けである『北条早雲伝』。

    旅浪人の身から、40過ぎてようやく城主となり、80過ぎても戦争に精を出す早雲。一方で、領内では善政を施し早雲後100年渡る北条氏の基礎を築いた。筆者の海音寺氏は早雲は年齢を重ねていたからこそ、思慮深く行動し政治でも戦争でもその手腕を発揮できたという。年齢を重ねるにつれてその能力を高めていった早雲の生き方は、今の日本人が正に学ぶべきだと思う。

    『豊臣秀吉伝』では、なぜ秀吉があんなに遮二無二仕事に取り組んだか論じられている。秀吉の懸命な生き方や、気配りからも学ぶことは多い。


    海音寺氏がこのように多くの武将の生涯を記録しておいてくれた事は必ず日本の財産になるでしょう。

  • 海音寺さんの本、読んだことなかったと思って拝読。
    知ってる内容だったからつらかった。。
    (作者のせいではないが)

    なので北条早雲とかおもしろかったな〜。
    あまり知らなかったし。80歳台まで
    いきたんだね。

  • 鎌倉などを舞台とした作品です。

  • 収穫は楠木正儀。板挟みで可哀想な子。後は概ね馴染みのある子達。

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著者プロフィール

(かいおんじ・ちょうごろう)1901~1977。鹿児島県生まれ。國學院大學卒業後に中学校教諭となるが、1929年に「サンデー毎日」の懸賞小説に応募した「うたかた草紙」が入選、1932年にも「風雲」が入選したことで専業作家となる。1936年「天正女合戦」と「武道伝来記」で直木賞を受賞。戦後は『海と風と虹と』、『天と地と』といった歴史小説と並行して、丹念な史料調査で歴史の真実に迫る史伝の復権にも力を入れ、連作集『武将列伝』、『列藩騒動録』などを発表している。晩年は郷土の英雄の生涯をまとめる大長編史伝『西郷隆盛』に取り組むが、その死で未完となった。

「2021年 『小説集 北条義時』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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