新装版 夜明けの星 (文春文庫) (文春文庫 い 4-85)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167142865

感想・レビュー・書評

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  • 池波正太郎さん(1923~1990)の作品、ブクログ登録は21冊目になります。

    で、本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    江戸で父の敵を探しつづける浪人・堀辰蔵は、空腹のあまり逆上し、煙管師を斬殺してしまう。父と二人暮らしだった煙管師の娘・お道は天涯孤独となった。近隣の人々に見守られながら気丈に生きていくお道と、闇の世界の仕掛人となった辰蔵の凄絶な半生。二人の運命のふしぎなもつれあいを円熟の筆で描いた名品。

    ---引用終了


    それから、本書の解説を書かれている方は、重金敦之さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。

    ---引用開始

    重金 敦之(しげかね あつゆき、1939年(昭和14年)4月18日 - )は、日本のエッセイスト、食味評論家。

    ---引用終了

  • 「池波正太郎」の長篇時代小説『新装版 夜明けの星』を読みました。

    時代小説が続いていますね… 「池波正太郎」作品は、昨年11月に読んだ『新装版 幕末新選組』以来です。

    -----story-------------
    越後の国を出て十六年、江戸の町で父の仇敵を探し続ける浪人「堀辰蔵」。
    飢えて疲れきった「辰蔵」はある日ささいなことで逆上し、見知らぬ煙管師の頸すじに斬りつけてしまう。
    父と仲良くふたり暮しだった煙管師の娘「お道」は、これで天涯孤独の身となった。
    近隣の人々に見守られ、気丈に生きていく「お道」と、仇討ち転じて闇の世界の仕掛人となった「辰蔵」の凄絶な半生。
    折にふれ、奇妙にもつれ合う「お道」と「辰蔵」の運命を、「池波正太郎」が円熟の筆で描いた名作。
    -----------------------

    週刊誌「サンデー毎日」に半年間連載され、1980年(昭和55年)に刊行された作品です、、、

    闇の世界の仕掛人の道を歩み始める男「堀辰蔵」と、「辰蔵」に父を斬殺された娘「お道」… 悪夢のような一瞬が決めた二人の運命をしみじみと描く時代長篇でした。

     ■夢魔
     ■豪雨
     ■若松屋お徳
     ■玉子焼
     ■土蔵の中
     ■若松屋お道
     ■歳月
     ■雪の朝
     ■橋の上
     ■星の瞬き
     ■解説 重金敦之

    越後は新発田藩の足軽の息子で、江戸で父の敵を探しつづける浪人「堀辰蔵」は、空腹のあまり逆上し、煙管師を斬殺してしまう… 父と二人暮らしだった煙管師の娘「お道」は天涯孤独となった、、、

    「お道」は、深川黒江町の御用聞き「佐吉」が営む料理屋「万常」に女中として身を寄せ、やがてお客である浅草の小間物問屋「若松屋」のお内儀「お徳」に見込まれ、女中として「お徳」に仕えることに… 「お徳」は「鬼婆」と噂されるほど癇性が強い女で、この上なく厳しく口うるさい人だったが、それでも「お道」は懸命に奉公する。

    一方の「辰蔵」は、煙管師を殺めた後、自己嫌悪と飢えから行く末に絶望し悲観、自棄から死を覚悟するが、流れ流れて行き倒れる寸前に拾われた謎の浪人「三井覚兵衛」の縁で、暗黒街に足を踏み入れ、金で人殺しを請け負う凄腕の仕掛人になってゆく… やがて「お道」は、「若松屋」の一人息子で厳しい母親のせいで嫁に逃げられてばかりの「芳太郎」に強引に関係を結ばされ、子どもをもうけ、そして「芳太郎」の妻・「若松屋」の若い内儀となってゆく、、、

    「辰蔵」は、人殺しを重ね、虚無的な日々を送り、やがて「羽沢」の「嘉兵衛」を暗殺した「三井覚兵衛」とも確執を深めてゆく… 「辰蔵」の前にも後にも、もはや何もない幾星霜があるだけ。

    「辰蔵」が「お道」の父を殺して25年の月日が流れたとき、二人は互いにそうと知らずに相まみえる… 行き倒れになりそうだった「辰蔵」を「お道」が助け、「辰蔵」は「若松屋」で厄介になることに、、、

    しかし、死期が近付いていることを悟った「辰蔵」は、密かに「若松屋」を離れ、この世の名残に鎌倉見物を目指す… 「辰蔵」が両国橋にさしかかったところで、「お道」の娘「お光」が四人の浪人に絡まれているところに出くわし、自らの命を懸けて浪人に向かっていく。

    切ないラストシーンでしたね… 人間の運命の不思議さ、悪事を重ねた末に己が生きた証を立てる男の生き様、弱い者に優しい江戸の市井の人々の姿が印象に残りました、、、

    「辰蔵」が「お道」の父を殺した際に落としてしまった蜻蛉を刻り込んだ銀煙管… 二人をつなぐ小道具として、もう少し出番があるかと思いましたが、期待ほどの出番はなかったですね。

  • 空腹で理性を失って、何の関係もない煙管師を殺した堀辰蔵と、殺された煙管師のひとり娘お道のそれぞれの人生を描いたお話。
    辰蔵は自分の罪と向き合わないし、お道は物語が進む中で幾重にも犯罪被害者になっていて、でも何だかうやむやと受け入れているし、現代的なモラルからすると正直すごくモヤモヤが残る…
    倫理観とか人権感覚をいったんリセットして読めたら、また違った印象で味わえたのかもしれないけれど。

  • 浪人の死に方

    薄い?

  • L

    渋い!やっぱい渋いぞ、池波正太郎!
    ハードボイルドじゃない渋さ、堪らないね。
    自分を見失って心無い殺人を犯してしまった侍と、父を殺され天涯孤独になってしまった娘。
    この仇の間柄になる二人な一生に何度かすれ違い、それでもお互い交わることなく人生を歩んでいく。
    なにがすごいって二人とも試練はあっても決して不幸じゃないってことかな。なんだか込み上げるものが。

  • 2015/04/20完讀

    出國仇討的武士堀辰蔵一時失心瘋,殺了煙管師開始逃亡,後來成為仕掛人。至於煙管師女兒お道,一開始去奉公處偏偏又遇上辰蔵把她主人殺了,後來御用聞き佐吉把お道帶回家,夫妻很疼愛她,但佐吉後來還是決定為了お道好,把她送到大店若松屋,在若松屋內儀的調教下,因緣際會成為下一代女主人,過著幸福的生活。後來佐吉即將過世,お道收下亡父殺害現場的煙管,但她說是為了記得佐吉的恩情(這一段寫得好棒)。後來她甚至把自己一手調教,早有打算的おしん送入万常當養女,這裡的義理人情的描寫實在很動人。不說太多,但早已想好,絕不忘記他人的恩情。裡面的人情與圓熟令人心嚮往之。

    另一方面辰蔵身為殺手因為殺掉香具師羽澤嘉兵衛,知道太多秘密也被追殺,他就和夥伴半次一起策畫終於把黑幕三井給殺掉報仇。但老了的他已不再願意沾染血腥,只想死得其所。後來他餓昏路邊尋死,又正好被お道撿回,最後想偷偷離開卻因為お道的女兒被浪人非禮,出手救助,但自己也受了重傷不治。最終以為辰蔵會說出自己殺害煙管師的往事,後來卻沒說。辰蔵的最期是心無罣礙的離開。或許沒說對雙方都是好事吧。但無論如何,人生的流轉絕無好壞可言,お道有著父親遭殺害的悽慘回憶,但是受到很多人的疼愛,最後甚至是成長為一個令人敬愛的人。至於雙手染血的辰蔵,到最後那些紛擾的過去其實也和他無關了,反而滿足地死得其所。佐吉終其一生未能找到兇手諒必很遺憾,但是面對死亡,其實這些事一點都不重要了。

    隔這麼久,在這裡又讀池波,心境上似乎已有微妙的不同,感覺現在讀他的小說又有另外一種味道。似乎開始了解到他說的人就是要正視死亡這件事,心態上都會不一樣。正視之後,當你知道某些事你帶不走,但你一定要離開的時候,你就會發現到底什麼對你是重要的。中國人總是成王敗寇,對罪人死後依然鞭屍,或者給敗者一個很糟的諡號。但這點我認為日本人的角度是較正確的,到最後,人面對死亡,那些事已經不再重要,人一撒手,都是仏様,沒有惡人也沒有善。對お道而言,身為活在當下女性她不需要復仇,父親死亡的當下,她應該也就死亡再重生,不須背負這一切痛苦地活下去。

    我想,自己拋棄了很多事,離開了台灣來到了京都,就好像經歷一個死亡重生的過程一樣。你知道你自己可以帶走的東西並不多,只能隻身孤獨地離開,但你也發現什麼東西對你最重要,讓你之後可以重新開始一個新的人生。面對一個新的人生,就是要讓過去死去的過程吧!就是逼自己放下一切放不下的事。念茲在茲的公司的事,手邊一直掛念操心的案子等等,反而都不再是重點。重新歸零的自己,就是全心專注著怎麼打造新的自己。

    固然讀了這本書有種陳腔濫調的[這就是人生。。。]的感覺,但結尾並未解謎,お道看著黎明閃耀的星星流下淚不知為何就說出「お父つぁん....」我反而覺得這是一個最好的結局。千言萬語盡在不言中,雖然是陳腐的一句話,實乃道盡一切。究竟對人來說什麼才是重要的呢?凝視自己的內心,斷然捨棄半推半就被逼著要捨棄的一切,努力地為當下而活吧。

  • 江戸の闇にうごめく殺し屋と数奇な運命に翻弄される市井の薄幸な少女の暮らしを描いた作品。本書は藤枝梅安や彦次郎こそ登場しないが、描かれるは「仕掛人」の世界である。

  • 煙草職人を惨殺して浪人堀とその煙草職人の娘のお道の話。

    最後の最後に堀はお道に償いをする。

    人生万事塞翁が馬。因果応報。

    世の中には生きていないほうがいい人間もいる。

  • 完本 池波正太郎 大成23にて読了。

    幼い頃に母を亡くし、またわずか13才で父も殺されてしまったお道。
    そして、お道の父親を殺してしまった堀辰蔵。
    この二人の数奇な人生。

    お道は、色々と辛い目にあいながらも佐吉親分始め周囲の人々の優しさの中、成長していく。
    後に奉公する小間物問屋・若松屋のお内儀のお徳は厳しいことで有名な人であったが、それも優しさ故のものだった。
    痩せっぽちの色黒の不幸な少女が立派な女性へと変わっていく姿が気持ちよかった。
    確か、「おせん」でもこれと似たような短編があったような…。

  • テンポの良さと展開の面白さに、一気に読んだ一冊。女の人生と運命と。皮肉なものだなぁと。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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