- Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167151034
感想・レビュー・書評
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昭和19年、ビルマの第55師団はインパール作戦の支作戦であるハ号作戦を行う。
この本の影の主人公は第55軍の花谷正師団長である。
パワハラということなのだが、その言葉でこれを表現するのが適切なのかどうか。
人間性どころか理性と合理性のかけらもない花谷師団長(満州事変の首謀者のひとりで陸軍大学卒)を見ると、戦争に勝つとか負けるとかいう以前に、組織が存在し得たほうが不思議だ。
そしてなのだが、ここには、陰鬱な顔をした自己保身屋の河村弁治参謀長が出てくる。私はどちらかというとこの人に興味を持った。この名前で検索すると、ずっと鉄道畑の人だったらしい。テクノクラートなんだろう。
私は、この、精神破綻者と冷たいテクノクラートの組み合わせを、他にも知っている。65年前の話ではなく、つい最近の身近な話で。
暴力を愛好する人間というのは、類型は変わらないらしい。
花谷正の葬儀は、葬儀委員長を国鉄総裁の十河信二が行い、岸信介が花輪を送った。花谷正は、ビルマというよりも、満州人脈だ。
ある種の国家社会主義であった満州のテクノクラート。その経験が戦後日本に還流された。その象徴が十河信二の東海道新幹線である。
私は日常的に東海道新幹線に乗る。その筆法でいうと、現代日本は満州帝国の遺産の上に築かれている。
しかし、満州がそうであったように、これは構造的に、花谷正や河村弁治のような人間を必要とする体制だったのではないか。
だから今も、私がたった数年前に、花谷と河村が現代に生まれ変わったとしか思えない人間に出会ったように、同じタイプの人間が再生産され、この社会の生態系の最底辺で、なんらかの役割をしているのではないか、そんなふうに思うようになった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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