海坂藩の侍たち: 藤沢周平と時代小説 (文春文庫 む 7-3)

著者 : 向井敏

• 文藝春秋 (1998年1月1日発売)

感想・レビュー・書評

[キじばと。。さんの感想 · 2016年8月30日]

『藤沢周平全集』全27巻（文藝春秋）の巻末解説をまとめた本です。

山本周五郎の時代小説との対照を通じて、藤沢の作品の中に登場する市井の人びとに対する作者の視線の独特のあり方を論じているところは、興味深く読みました。確かに山本の作品では、作者が無理やり登場人物をねじ伏せているような印象があります。藤沢の端整な文体と卓抜なユーモアに着目しているところも、さすが目利きと評された批評家だけのことはあり、鋭い分析が光っているように感じました。