69 sixty nine (文春文庫 む 11-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167190071

作品紹介・あらすじ

1969年。安田講堂事件が起き、東大は入試中止。アポロが月に行き、ビートルズが「アビーロード」を、ローリング・ストーンズは「ホンキー・トンク・ウイメン」をリリースした。ベトナム反戦運動が高まり、基地の町・佐世保で、僕は高校をバリケード封鎖した-。明るく楽しく生きる青春のエネルギーに満ちた日々を描いた永遠の古典。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。
    高校生である主人公の、はちゃめちゃな行動がいきいきと描かれていてすごく楽しく読めた。
    自分も大学時代は、ここまではちゃめちゃではなかったけど、勉強もせず好きな事をしていた。あの時代に帰りたくなった。

  • はちゃめちゃな学生時代って憧れる

  • 死ぬほどおもろかった

  • これまで村上作品の読み方を履き違えていたのかもしれない。と思わざるを得ない程の傑作。

    社会がeuphoriaから醒めつつある時代、人間を家畜へと変える「退屈」の象徴である教師に、阿呆らしく反抗する矢崎がかわいい。

    「どんな時代でも若者は無力だ」。だからこそ、突出したエネルギーの源泉は、ただ「モテたい」というワガママで良いし、虚栄で良いし、自由で良いのだと思う。

    とある本の、仄かな短文に涙が止まらない。言葉というものがどれだけの威力を持ちうるか。人の心を救いうるか改めて感じる。文章を享受し続けられるだけで生きる価値があると思わせてくれる。



    •「校長から色々と言われる時、目を逸らしたり、下を向いたりするな、卑屈になるなよ。信じてやったんだから、堂々と、処分を受けてこい。」

    •「それで僕は、まあいいや、と思った、例えば、夏には、きれいなヒマワリやカンナが咲く、それをみるだけで、まあいいや、と思うんだ。」

    •高校生は家畜への第一歩なのだ

    •闘争は、具体的な要求があった方が広がりを得やすい、人民は具体的な闘争テーマを彼らの不満の拠り所とするのだ。

    •卒業式がいかに帝国主義国家の権威的行事であるか!

    •楽しく生きるためにはエネルギーがいる。戦いである。

    ————————————————————————


    ——-楽しんで生きないのは、罪なことである。

    変化のない成熟社会の権力に抗う唯一の方法は、「楽しみ続ける」ことでしかない。

  • 自分が高校ことが懐かしかった。私も筆者のように、突拍子もない思いつきで、あれこれただ面白そうとかハラハラドキドキしたいとか、ただやりたいという理由だけで、ものすごいエネルギーを出して一個一個を自分たちの頭で考えてやっていっていたなあ。そしてそこには何の迷いもなかったことに、今は羨ましく感じる。今はやること全てにこれをやって何意味があるのだろうか、将来役に立つだろうか、人と比較して生き残れるか、食べていけるだろうか、そんなことばっかり考えて何かをやるのも遅いし、高校生の時のような熱いエネルギーを今は出せていないことに少し残念な気持ちになる。本当は、高校生の時のように友達たちと思いついたことを、どんどん燃えるようなエネルギーで思いっきり楽しみながら突っ走っていきたいものだよ。あのときになぜが持っていた無敵感をまた持ちたいって思う。本来はもっと自由な世界なのに、社会に出てから、世間、社会、常識、恥、社会の役に立たないと、とかいろんなことを意識させられてしまう。そして、この高校生たちが政治や社会の関心を持って熱くなっているシーンも羨ましいと思った。それに比べて今の私たちは、、、、

  • やばい。面白すぎ。一気読みした。
    先が見えない不安。終わりゆく青春時代。
    そんな中で抱くやるせなさを何にも昇華せず過ごすなんて勿体ない。
    必ず終わる高校時代の一瞬にむくむくと湧き上がる刹那的な衝動を無理やり押さえつけるのではなく大事にしたい。
    高校生の時にしかない爆発寸前の若いエネルギーを限られた時間の中で何に使うか考えさせられた。
    アイハラが登場するシーンを読んで真っ先に思い出したのが学校で私の成績が悪いとか提出物を出していないとかで怒ってきた社会科の先生とテストの点が悪いことで嫌味を言ってくる数学科の先生。
    とりあえず、そんな大人達の言いなりになる学校生活は嫌だなあって思った。(提出物も出してなくて勉強もしてない私が悪いから文句言うのは全部ちゃんとやってからにするべきなのも分かってるけど、!)

    ラジオをつけたってビートルズの音楽は流れてこないし(スマホ一台で聴けちゃう)映画館に行ったってアラン・ドロンが主演の映画はやってないし(家に居て映画が見れる)そんなエンタメ超サブスク時代の今まさに高校生の私にも自分達の力で一から楽しい面白いを掴みにいくケン達が眩しく見えた。

    死ぬその瞬間まで楽しんで生きよう。


  • 弾丸の様な勢いに振り切った良作品。
    読後の寂しさに、作者が表現したかった事が見事に現れている気がした。
    嫌な表現になってしまうが、本作に限らず村上龍の主人公には根拠の無いモテ・頭の回転・人望があり、現代でいう“なろう系ラノベ”を感じる。当然こちらが走りだが、この辺りは若干好みが出る気はする。

  • スマートフォンやSNSのない時代の青春小説は凄く面白い。

    何より主人公のキャラが面白くスイスイ読むことができた。
    ただ、村上龍にしてはいい意味で気持ち悪さが少なくてそこに少しガッカリ。


    P194
    自分が嫌いになった、それは17歳の少年にとって、女高生を口説く時以外には、決して口に出してはいけない台詞である。誰だってそのくらいのことは思っているのだ。経済力もお嫁さんもない地方都市の無名の17歳だったら、誰だって同じ思いを持っている。選別されて、家畜になるかならないかの瀬戸際にいるのだから当然だ。言ってはいけないことを言うと、それ以後の人生が確実に暗くなる

  • 主人公が17歳だった1969年から、約30年後に17歳だった私。
    ビートルズは解散してるし、ストーンズは若作りのおじさんだし、学生運動どころか若者は政治に無関心、そんな世の中が青春時代でした。

    物語の舞台とは時代が全く違うのに、高校時代の無鉄砲さとか、根拠のない自信とか、下らない事で死ぬ程笑っていられたこととか。
    懐かしくて恥ずかしくて、切ない思い出が蘇ってきました。

  • 村上龍の自伝的小説。

    以下、背表紙のあらすじを備忘録的に引用させていただく。

    「1969年、東京大学は入試を中止した。人々はビートルズに熱狂し、世論はベトナム戦争に揺れていた。僕は長崎県佐世保市、基地のある町に暮らす高校三年生。なにか面白いことをしたい、みんあを驚かせたい、女の子にモテたい!ただそんな気持ちから、僕は仲間たちと一緒に学校をバリケード封鎖したーー」

    そんな1969年の鬱屈した地方都市の学生の姿が、実に活き活きと伝わってくる。

    当時の主観をどこまでも客観的に描いた文章。現在への批評を差しはさむことなく、ただ淡々と、当時のありのままを語ったように読める。

    主人公はもうどうしようもないクズだ(自伝的小説にこんな激しい言葉はよくないが)と冒頭から分かるのだが、開き直った自覚的なクズなので、いっそ清々しく嫌味がない。

    私は文庫版で読んだのだが、太田光さんの巻末の解説文もいい。

    「村上さんは常に現実にある問題とコミットしようとする作家だ」

    その時々の社会の中で等身大で生きる若者たちを描くのがとても上手な作家だと、私も思う。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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