蝉しぐれ (文春文庫 ふ 1-25)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167192259

感想・レビュー・書評

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  • 藤沢周平は長編より短編、などと書いたが、すぐその誤りを見せつけられた。

    解説の中で文芸評論家の秋山駿氏はスタンダールの「赤と黒」を例に出しながら、本作の出だしの部分は、西欧的近代文学の正当な嫡子といった趣であると述べているが、出だしだけでなく、全体のがっちりした構成は、たしかに日本の時代小説というよりも、19世紀のヨーロッパ文学を思わせる。とくにフランス文学で、私はスタンダールよりもバルザックを思い出した。それも抒情味あふれる清新で清潔なバルザックを。

    本格長編小説という言葉にふさわしい作品。

    表紙のイラスト。
    どの場面だったか、いま気がついた。
    感慨無量。

  • いろんな感情を引きだして心を動かしてくれる追体験をさせてくれるとても嬉しい作品でした。心の健康には感動が必要だとあらためて思います。ぼくは時々しか小説を読まないけれど、小説の力、素晴らしさはこういうところですね。小説を描く人、かける力ってほんとすごいと思います。

  • 初めての藤沢周平。あまり身分の高くない人物が主人公の時代物、はじめて読んだ。人の成長を上手に描くなと。

  • 最後にお福が文四郎に言った台詞だけ読む前から知っていたが、もっと穏やかな話だと想像していた。

  • 若い時、励ましてくれた青春小説。ただ、歳を重ねて再読したら初回の感激がなかった。やはり若い時に読むべき小説。

  • 静の中の動。美しい世界。

  • 2017年18冊目です。

    藤沢周平作品の代表作の一つといわれるものです。
    下級武士が、大きく成長していく一生を描いています。
    スケール感でいえば、地方の小藩の中での一人の若者の人生なので、
    物語の舞台としては、”大きい”とは表現できないのですが、
    人間としての成長とその描写に”深みがある”と表現することで、
    この作品の持つエネルギーを表わすことができる気がします。

    自分の身に降りかかる不遇を、誰かを恨んで生きるのではなく、
    目の前にある自分ができることを、一つ一つ誠実に取り組んでいく。
    その積み重ねの先に、自分の人生の光明を見出すことができる物語です。

    なんとなく、藤沢文学の代表作でもある「たそがれ清兵衛」の主人公の
    生き方と重なるものを感じます。

  • 爽やかな世界。よかった。

  • 著者初読み。思いのほか読みやすかった印象。時代小説であるが、住人らの日常がつつがなく流れていく長閑な流れの中に、剣の凄まじさ、迫力あるシーン、街の情景描写が時代劇を見ているかのような雰囲気だった。恋の場面では、思い描いていたこととの相違によってもどかしさ、理不尽を感じたり、弱音を出してしまったりと、心の弱さに重ね合わせてしまう。愛する家族との別れに悲しみや家族思いの心情に切なさが残り、婚姻からの新たな家庭を持つ場面で住人からの祝言に温かい気持ちになったりと人との繋がりの濃さ、人情味溢れた情景を感じる。

  • 友情、試練、恋・・・主人公・牧文四郎と共に、青春を駆け抜けたような、清々しい読後感です。
    これぞ秀作。

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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