- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167216016
作品紹介・あらすじ
二十年間に数多くの戦火をくぐり、戦争の残虐を憎みつづけ写しつづけた報道写真家が、第二次世界大戦の従軍を中心に、あるときは恋をも語った、人間味あふれる感動のドキュメント。
感想・レビュー・書評
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伝説的戦場カメラマンの自伝。
ラブロマンス~失恋のあたりは映画化を意識して書かれていたという話をきいた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦争という過酷な環境の中で活躍する写真家の本を読んだのはこれが初めて。キャパの写真は学生時代に教科書に載っていた写真「崩れ落ちる兵士」の1枚しか見た事がなかったし、彼がこの1枚によってピューリッツァ賞を受賞したという事しか彼の事を知らなかった。キャパを知るのに良い一冊だったと思う。
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借りたもの。
キャパの戦争写真を補完するエッセイ。
イタリア降伏、パリ解放までのエピソード。
戦場のただ中にも関わらず、あまり恐怖を感じさせない軽快さがある。あえて記さなかったのだろうか?
むしろ、死ぬ人々の事よりも、これから生きる人々、生きることを考えていたのかも知れない。
Dデイ(ノルマンディー上陸)作戦の有名な写真と「そのとき、キャパの手は震えていた――」この名句の裏話にブレがあるのは現像の失敗だったなど、時にユーモラス。
キャパの人柄が伺える。人懐っこく、人間を観察する彼の姿。それ故に撮れた写真なのかも知れない。
"ピンキィ"と呼ぶ女性についての言及は、戦地へ赴く己への弁明だろうか?-
「戦地へ赴く己への弁明だろうか?」
読んだのが随分前なので曖昧な記憶ですが(最近の本でもだけど)、とっても心和んだような、、、キャパのユー...「戦地へ赴く己への弁明だろうか?」
読んだのが随分前なので曖昧な記憶ですが(最近の本でもだけど)、とっても心和んだような、、、キャパのユーモア自体が、危険と背中合わせだからかも。。。
そして最近知った、ゲルダ・タローについて、もっと知りたくなっている(日本語版の評伝出ないかなぁ)2014/05/08 -
>猫丸さま
>とっても心和んだような
私もそう思います。悲惨な現場にいたはずなのに、それを感じさせない……
日本で読む戦争の話のほ...>猫丸さま
>とっても心和んだような
私もそう思います。悲惨な現場にいたはずなのに、それを感じさせない……
日本で読む戦争の話のほとんどが、当然、苦悩の中にあります。それと合わせて読むと、苦悩に負けず、前に進もうとする人間の姿を垣間見ました。
>ゲルダ・タロー
そうですね。《人民戦線兵士の死》 にゲルダが関わっているとも指摘されています。彼女の存在は興味深いです。2014/05/10 -
「前に進もうとする人間の姿を」
それがキャパの存在感を高めているのかも。比較するのは変かも知れませんが、サン=テグジュペリを思い浮かべてし...「前に進もうとする人間の姿を」
それがキャパの存在感を高めているのかも。比較するのは変かも知れませんが、サン=テグジュペリを思い浮かべてしまいました。2014/05/10
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『キャパの十字架』を読んだ後に購入。
1956年、キャパ自身が非業の死を遂げた後に邦訳が刊行されたようだが、訳文が古臭い上に愚直訳なのかストーリーがとりづらい。単に時代なのだろうか、それともキャパと親交があった川添氏、井上氏がプロの翻訳家ではなかったこともそのように感じる要因のひとつかもしれない。
訳者後記に「しかし、キャパの原文のもつ、英語の旧さを世界人の思想や感想の新しさに創造したような、あざやかなスタイルは、到底、そのまま日本文には写し得なかったことをお詫びする次第である」..とある。言い訳でもあろうし、また本人がもうこの世にいないため裏を取ることがなしえなかったことも大きいのではないかと思う。
『キャパの十字架』でもその真偽を疑われたスペイン内戦における「斃れゆく瞬間の民兵」の写真について、訳者の川添氏、井上氏ともに「不審気な顔をした」際にキャパが必死に反論をしたことが文庫版出版の際に付けられた後書きで付記されている。キャパの近くにいたこの二人はすでに疑問を感じていたということだろう。
それにしても、キャパが命懸けで撮った106枚の写真のうち、暗室でのミスで8枚、しかもピンボケ状態、しか残らなかったのはつくづく残念なことだ。その事実についてキャパ自身は本書の中では非常に淡泊な記述にとどめている。彼自身にとっては。その写真が公の目に届くよりも、自身がそこにいて実際にカメラに収めたという事実の方が重要であったのかもしれない。 -
<こんなに魅力的で格好良く、それでいて影のある男には誰でも惚れてしまう!>
鮮烈なロバート•キャパの生涯における、最も輝かしい時代の断片が、キャパ本人の肉声によって綴られていく。
まるで映画を見ているような戦闘描写と、戦場での兵士の日常生活が、自己を客観視出来るキャバの極上のユーモアを以て語られるのだ。
戦場を訪れたパパ•ヘミングウェイから息子のように可愛がられ、兵士たちからは仲間のように扱われ、日本の友人たちから人種を超えて慕われ、女性たちから恋人として熱烈に愛された訳が、本書を読むと良く分かる。
驚くべき勇気を示し、どんな危機的なときにもユーモアとウエットを忘れず、人を惹きつける人間味に溢れたハンサム•ガイ。
そして、その明るさの中には、戦場で多くの死を目撃し、自らの死を常に担保していることから来る影がちらつく。
こんな男がいたら、性別を問わず人は思わず惹きつけられるしかあるまい。
キャパはそんな魅力に溢れた男なのだ。
キャパは、日常生活の平穏に耐えることが苦痛だと訴える。
戦場カメラマンは戦場でしか充実した生を感ずることが出来ないのだ。
そして、この本では<崩れ落ちる兵士>についても、恋人ゲルダ•タローについても、スペイン戦争についても、一言も触れられていない。
<崩れ落ちる兵士>と並びに称される<波の中の兵士>については、これでもかと饒舌に語っていると言うのに。
それは、本書がキャパの前史とも言うべき、スペイン戦争の時代、彼の出世作<崩れ落ちる兵士>の時代、つまり、ゲルダ•タローの死で終わる青春の終焉から8年後に焦点を当てているからだ、と言える。
<崩れ落ちる兵士>によって、戦場カメラマンのトップに躍り出て、ロバート•キャパという名が、アイコンとなって以降に限定して、キャパは語っているのだ。
そして、キャパの後期の栄光である、死を賭して<波の中の兵士>に、たどり着くまでの歴史を語ったものなのだ。
沢木耕太郎はじめ、キャパの友人たちが不審に思った事実、それはキャパが自分でセレクトした<キャパの傑作作品集>に、<崩れ落ちる兵士>が、載せられていないことだ。
尤も、出版社は、その、アンソロジーの表紙に<崩れ落ちる兵士>を採用してみせたが、本文では、その作品については何も触れられていないのだ。
そんなことがあるのだろうか?
何故、饒舌なキャパが、表紙に使用された<傑作写真>について頑なな沈黙を守るのか?
図らずもその謎を解いてしまった沢木の<キャパの十字架>を読んでから、このキャパによる滅茶苦茶面白い自伝を読むと、問わず語りに語られる華麗でドラマチックで映画のような人生には、ピッタリと黒い十字架が張り付いていたこと、そして、その後十字架の途轍もない重さを感じて、黯然とせざるを得ない。
キャパは日本を飛び立ってベトナムの地で地雷を踏んで、ようやく十字架を降ろした。
ゲルダの死後17年経って、ようやくゲルダ•タローの元に至ることが出来たのだ。
17年間背負い続けた十字架の重さを思う。
そのことを初めて発見したのが沢木耕太郎だった。
キャパは天国で沢木に感謝していることだろう。
と、感想を書いたのが、<キャパの十字架>を読んで、続いてこの<ちょっとピンぼけ>を読んだ2013年。場所はフランス、リヨン。
その後、沢木の見出した十字架は誤解に基づくものであったことに思い至るのは、7年後の2020年。
キャパことフリードマン•エンデレの出身地ハンガリー、ブダペスト。
沢木の論証は正しいが、十字架認識は誤っていることを<キャパの十字架>の感想に記載した。 -
コーヒーを飲みながら、10年以上前に読んだロバート・キャパの著書「ちょっとピンぼけ」を再読。
ふらふらと放浪するように旅をしたり、写真を撮ることが大好きだった若い頃、偶然知った一枚の写真”崩れ落ちる兵士”からキャパを知り、キャパの他の写真を見れば見るほど、どんどん彼の写真に惹きつけられて、、、そんな時、この本を読みました。
なんか当事を思い出したなあ。
また写真を始めてみようかな。 -
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ロバート・キャパが、第二次世界大戦に従軍写真家として参加した時の思い出をまとめた手記です。
戦場が主な舞台なのに、どこか牧歌的な雰囲気が感じられる内容でした。写真の撮影をしているよりも、兵士たちと賭け事をしたりお酒を飲んでいることの方が多かった気がしなくも・・・。(^^; -
第二次世界大戦、イタリア、アルジェ、ロンドン、
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キャパの『ちょっとピンぼけ』、長年読みたいと思っていたのだけど、読書会で戦争・従軍記についてまとめて紹介したら面白いかなと思い、ようやく手に取った。
まず巻頭の最初の写真、タミヤの新しい方のチャーチルについてるフィギュアの元ネタはこれなのかな?と驚く。
内容についても、予想と全然違ってびっくりした……面白すぎる。これ、事実なんだろうかとつい思ってしまう。キャパ(そもそも偽名、ペンネーム)が常にギリギリで難題をクリアして、戦場写真を撮り食いつなぐ様。
その後調べたら、どうも話を盛っているそう。パラシュートの話なんかはそうらしいけど、ひとつそういう点があれば他のとこもアヤシイ。
しかし、『ゆきゆきて、神軍』の原一男、その師匠の田原総一朗の考え方「ドキュメンタリーには『やらせ』が付きものであり、『やらせ』を乗り越えることにより、真実が見えてくる」というのをほぼ同時期にたまたま知ったので全然アリかなと。
故に、どちらかというと冒険小説に近い。
同時に青春小説でもあり、キャパの恋愛のゆくえとその結末も最高によかった。なので☆5つ。