局地戦闘機「雷電」 (文春文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167249137

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  • 零戦の設計者、堀越二郎が零戦の次に取り組んだ戦闘機が、局地戦闘機・雷電でした。
    局地戦闘機とは、敵の爆撃機を迎撃するための戦闘機で、速度と上昇力にウエイトを置いた機体のことを言う。制空戦闘機である零戦とは逆のタイプの機体で、堀越技師は基本設計を行った後、次期制空戦闘機の烈風の設計に携わったため、雷電は改良が進まず、多くの故障や墜落事故に見舞われる。零戦よりも大きなエンジンを積んだ為、視界が悪く離発着時が難しかったり、翼面荷重が大きすぎて小回りが利かず、かなり操縦が難しかったらしい。また、大型機の迎撃機としても高空性能不足で、B-29の迎撃には力不足だったようだ。この本では、前半が雷電の開発から生産まで、後半が雷電運用部隊の活躍を描いている。
    零戦の設計で(宮崎駿の映画の主人公としても)有名な堀越技師が雷電や烈風を設計したことは、軍用機マニア以外にはあまり知られていないと思う。雷電の開発は中途半端のままで、烈風も実戦に間に合わず、もう少し時間があればどちらも良い機体に仕立てたと思うが、戦況がそれを許さなかったのだろう。この難しい機体の開発、運用に関わった人達は、何とか使えるものにしようと努力していたが、同じ失敗を繰り返したり、製造の単純ミス等ノウハウの蓄積や伝達のところで多くの問題を抱えてようだ。そういう基本的なところで、アメリカとは決定的な差があった。雷電の開発経緯を読んでみると、そういう印象を強く感じた。

  • (「MARC」データベースより)
    操縦がしやすく万人向けであった「零戦」に対し、強力なかわりにクセも強い、プロのための戦闘機「雷電」。敵機撃退のために作られた「雷電」と戦士たちの奮戦を描く。

  • 大型爆撃機迎撃を主任務とし、本土防衛を目的たした戦闘機である
    雷電でも青木義博中尉 搭乗機であった稲妻マークが入った雷電は有名である。プラモデルのパッケージでも使われている。
    この雷電は、零戦の生みの親、堀越二郎技師が開発した戦闘機だが、機体が大きく発着陸の際、視界が悪く零戦に乗りなれたパイロットからは不評だった。
    最大出力発揮時に激しい振動が発生したり扱いずらい戦闘機。
    その後、タービンを搭載した雷電などが登場するが、タービンの精度が悪く実用には程遠かった。
    この様事から、紫電に主力を譲る事となる。
    こんな雷電だが、戦後アメリカ軍のテスト飛行では問題なく、米軍には好評だったらしい。エンジンの激しい振動はおそらく燃料の質が日本とアメリカの差があり過ぎたのが原因ではないかと思う。

  • 松本零二のマンガでこの時代の戦闘機に興味を持った人間には少々意外、というか拍子抜け。
    Made in JAPANの機械=高性能かつ故障しない、ってのはあくまでも戦後の話なんですなぁ。

  • なんだかんだ言ってあまり活躍しなかった飛行機なのです。作ったは良いが、改良改良で結局決定版が出ないまま終戦になったんです。敗戦色の濃い「臥薪嘗胆」と言うような内容になっています。
    でも局地戦闘機という響きが大好きです。

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著者プロフィール

昭和25年(1950年)、名古屋に生まれる。立教大学文学部卒業後、航空雑誌の編集勤務。53年、第2次大戦の軍航空に関する執筆に専念。平成22年(2010年)、職業としての軍航空の著述を終了。以後、余暇を航空史研究にあてる。主著に「回想の横空夜戦隊」(編者)「首都防衛三〇二空」「彗星夜襲隊」「空の技術」「異なる爆音」「戦雲の果てで」「航空戦士のこころ」「銀翼、南へ北へ」「太平洋戦争 日本の海軍機」「非情の操縦席」「敵機に照準」「倒す空、傷つく空」「兵器たる翼」「必死攻撃の残像」「海鷲戦闘機」「陸鷲戦闘機」「急降下!」「審査部戦闘隊」(潮書房光人新社)、「決戦の蒼空へ」「液冷戦闘機『飛燕』」(文藝春秋)、「日本海軍夜間邀撃戦」(大日本絵画)、「零戦戦史 進撃篇」(グリーンアロー出版)、「写真史三〇二空」(文林堂)、「写真集本土防空戦」(徳間書店)など。訳書に「ドイツ夜間防空戦」(潮書房光人新社)、「第二次大戦のドイツ夜間戦闘機エース」(大日本絵画)、「超・空の要塞B-29」(朝日ソノラマ)など。

「2020年 『局地戦闘機「雷電」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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