本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167329013
作品紹介・あらすじ
肩の骨を折りながらも礼拝のオルガンを弾き通した八十歳の母を支えていたのは何か。その魂のありかをたどる芥川賞受賞作と、心温かに家族を描く四つの作品。(庄野潤三)
感想・レビュー・書評
-
1974年下半期芥川賞受賞作。タイトルからは、まったく内容の想像がつかないが、語り手の「私」(おそらくは、ほぼ等身大に作者自身に重なると思われるが)の母の終末期を克明に描いたもの。小説としての完成度は低くはないが、芥川賞に相応しかったかどうかは疑問。つまり、斬新さに欠けるのだ。それ以前にも候補になったらしいのだが、どちらかといえば直木賞向きではなかったか。描写は丁寧だし、病者(まして母)を前にしての煩悶もよくわかる。しかし、所詮は裕福な境遇の中での死と、その周縁の者との甘やかな葛藤の物語だ。
詳細をみるコメント0件をすべて表示
全1件中 1 - 1件を表示