真夏の犬 (文春文庫 み 3-9)

著者 :
  • 文藝春秋
3.31
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本棚登録 : 579
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167348090

作品紹介・あらすじ

野良犬に囲まれた夏の日の恐怖、転校してきた混血の美少女をめぐる争い、アル中の母と住んだ古いアパート、奇妙な香具師が売っていた粉薬、同級生の女の子の危険なささやき…。歳月のへだたりを突き抜けてよみがえる記憶を鮮烈に刻みつけ、苦悩と慰めの交錯する人生への深い思いを浮かびあがらせた九つの短篇。

感想・レビュー・書評

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  • 作者の作品は長編も好きなんですが、個人的には短編の方が、より好きかもしれないです。昭和の大阪の湿気、少しのドブの臭い。なんとなく心が波立つ感じが、なんとも言えず心地よい。

  • 真夏の犬
    暑い夏

    ホット・コーラ
    階段
    力道山の弟
    チョコレートを盗め
    赤ん坊はいつ来るか
    香炉

  • 9作品からなる短編集。

    <目次>
    真夏の犬
    暑い道

    ホット・コーラ
    階段
    力道山の弟
    チョコレートを盗め
    赤ん坊はいつ来るか
    香炉

    2013.08.03 『痴人の愛』の書評を載せたら、薦めれた。「悪女は蜜の味」という表現が出てくるらしい。→???出てこなかった
    2014.01.30 読書開始
    2014.02.02 読了

  • いずれも貧窮の少年を主人公にする短編小説。
    特に感動的な話でも無いのだが、妙に印象に残る作品が多い。
    表題の「真夏の犬」酒乱の母親に手を焼く「階段」訳あって会えない親子の姿を描いた「ホット・コーラ」。そこにはノスタルジックな世界がある。
    私が育ったのは時代も少し後だし、小説の舞台となる都会の下町ではなく田舎、そしてそれほどに貧乏ではなかった。それでもこの小説の世界には何かノスタルジーを感じるものがあるのは何故だろうか

  • 「組んだ足場だけを見せて、その中に隠れた建物を読者の心で透視させるのが短編で、足場をとっぱらって、建造物の外観を披露し、内部の間取りを考えさせるのが長篇」と作者があとがきで言っているように、足場だけの短編が9つ。

    唐突な終わり方で、建物の外観は見て取れるが、足場を取っ払って、建物の中身もじっくり見たくなるような物語の数々。
    大阪の、兵庫の、石川の空気感を感じさせるような描写と、人生に倦んだような心の動き・・・
    思いのほか読了に時間がかかったのは、背景に思いを馳せすぎたからか。
    ん~やはり、輝さんは長篇がいいです。

  • この短編集は、いずれも人間の「生臭さ」と人生の裏側とを強く感じさせる作品が集まっている。
    それが、自分には合わなかった。ただ、合う合わないは別として、宮本作品らしい、シンプルでありながら匂い立つほど鮮やかに情景を浮びあがらせる、無駄のない的確な表現は、さすが。
    特に、子どもの視点から大人の世界の「蓋をしたい部分」を見つめた、「真夏の犬」「階段」「赤ん坊はいつ来るか」といった作品は、エネルギーを感じる。

    余談だが、本作を読んでいて、短篇と長篇の違いについて著者と解説者それぞれが語っていた内容が非常に印象的で、かつ個人的にとても腑に落ちた。

    レビュー全文
    http://preciousdays20xx.blog19.fc2.com/blog-entry-488.html

  • 貧しく不器用で、底辺を生きていた私たちの追憶。
    泥臭さく、どことなく現実にありそうな話。
    さえない人々がそれぞれの過去を振り返る。
    自分と重なるところを探しつつ読み進んだ。

  • 2016 5/11

  • ・3/28 読了.美香さんに借りて読んだから、殆どノルマを熟す的に読んだにも拘わらず、あっという間に読み切ってしまった.相変わらずこの人の小説は大阪の下町舞台でどうしようもない境遇を思わせて暗い.よくこれで絶望的にならないで済んでるもんだと思う.

  • 大ファンの友人に色々勧められ過ぎて少々食傷気味な宮本氏なのですが、この位の短編ならそれなりに味わって読めた!

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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