約束の冬 下 (文春文庫 み 3-21)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167348212

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  • 色んな大人がいて、それぞれ意思があって約束がある。約束は守るという至極当たり前のことをできる大人になりたい。逆に言えば守れない約束はしない。律することもできれば破ることもできる。力を入れるより抜く方が難しい。

  • 矍鑠たる生き方、毅然とした生き方に憧れる

  • 32歳氷見留美子と偶然家の向かいに住む54歳上原桂二郎を通して約束とは何かを問う作品であった。
    人生を10年の節で考えていく中で人は色々な体験をしていくものであるが、約束とは、命懸けでやるものと留美子を通して語らせる。
    約束とは、決めごとではなく、そうありたいという希望である。芦原久美子との70歳でのネパール旅行は、死んではいけないというまさに「希望」である。また、「目標」といえよう。
    須藤潤介が遠い昔の子供がした約束に対して画竜点晴を欠くということで果たそうとする。
    それは、義務として受け取れる。(自分がしたくてする)おさえつけられたものでなく。約束には、権利と義務があるということであろうか。
    上原俊国の10年前にだした手紙という約束は、希望であり、それは、一念があったため果たされる決意である。

  • 15歳の少年が22歳の女性に恋をし、ラブレターを送る。
    その恋が実るのか、どうなのか。という話があくまでこの物語の主軸。

    その主軸の周りに様々な人間が登場し、そのなんでもない、時にはイレギュラーな交わりが展開されていく。

    「人は何を拠り所にして生きていくのかを問う、宮本文学の新しい傑作」という触れ込みではあるが、それにしては迫力不足。それは以下の理由からだろうか。

    ・登場人物が多すぎる。次から次から出てきて、「いいエピソード」を持ちすぎている。それゆえ、全体として何を言いたいのかのメッセージ性が薄れる。
    ・主軸であるはずの恋愛の、プレイヤーの感情がうまく描き切れていない。特に男側の俊国。彼が主語となることはないのだが、それにしてももっと彼の内心を描いてほしい。15歳から25歳までひとめぼれの7つ上の女性を好きでい続けるというのはすごく違和感がある。

    高校時代の恩師である国語教師が「宮本輝は最近好きじゃない」とよくおっしゃっていたのを覚えている。僕もまさに、この小説を読んでそう思った。

    すごくきれいな話じゃなくていいから、シンプルに、ストーリーを展開してほしいものだ。

  • 8月25日~29日
    壊されたパテックの懐中時計の持ち主を探す桂二郎の前に、妖艶な中国女性が現われる。そしてもう一人、桂二郎を訪ねてきた若い女性は、昔別れた恋人の娘だった。一方、留美子は謎の手紙の主について、次第に手がかりを得ていく―。人は何を拠り所にして生きていくのかを問う、宮本文学の新しい傑作。

  • 上と比べて登場人物が多かった。
    最後は‥えって思いましたが面白かった
    です。

  • 上巻のような先を読みたい感じはなく

    登場人物が多く
    中途半端な感もあり…

    作者らしい表現が好きなので、完読

  • 気持ちのいい話でした。

    そこそこ田舎に住んでいたのに、空飛ぶ蜘蛛見た事ないです。

    見た事があれば、この作品をもっと味わえただろうに、ちょっと残念。

    宮本さんのあとがきにハッとさせられたです。

  • この作品に登場する人物は、作者が「このような人が自分の近くにいてくれればと思える人物だけをばらまいて…」とあとがきで書いているように、大人で、優しく、人生に対して真摯だ。そう、作者の意図するように、大人が幼稚化した現代において、若い人たちの規範となりうる大人の姿なのだ。そのため、平成の作品であるにも関わらず、まるで古き良き昭和の小説を読んでいるかのような錯覚に陥る。
    留美子をはじめ、上原さん、須藤潤介、新川秀道、芦原小巻、料亭の女将鮎子…登場人物が皆いい!中でも上原氏は本当に魅力的で、私が留美子だったら、ラブレターをくれた息子より父親である上原氏の方に惹かれると思う。
    難をいえば、留美子と俊国の十年後の対面をもうちょっとロマンティックに書いてほしかったな~ということかな。まあ、書かないからこその美しく妄想できたのかもしれないけど…

  • どの登場人物をメーンにしてるかわからない。
    どの人物も中途半端な気がするが,宮本さんの解説でなんとなく納得しました。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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