- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167396060
感想・レビュー・書評
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先の大戦での敗戦後、沖縄を占領した米軍は沖縄に住まう人々を
「ジャパニーズ」とは呼ばず「オキナワン」と呼ぶ。
その沖縄での米兵の傍若無人ぶりに人々は耐えに耐えた。交通事故は
日常茶飯事、街中で銃はぶっ放す、女性への暴行事件の多発。しかし、
基地内とそれに付属する施設に逃げ込んでしまえば、どんな犯罪を犯
そうとも沖縄側に身柄を引き渡されることもなく、軍事法廷にかけら
れたとしてもほとんどが無罪判決となる。
理不尽さに耐えて来た沖縄の人々の怒りは、ある夜に起きた交通事故を
きっかけに暴動へと発展する。本土復帰を目前とした事件に、日本政府
はアメリカの顔色を伺うのに懸命で、沖縄の人々の心情を理解しようと
もしない。
「沖縄住民の気持ちはわかるが、戦後二十五年ようやく国政参加も達成し、
あと一息で返還という大事な時期だから、相手に悪い印象を与えても困る。
それが一番心配だ」。
コザ事件を受けて当時、首相であった佐藤栄作の言葉が「アメリカ
第一」を端的に表わしている。
そして、在沖縄米軍幹部は米軍が沖縄に自由と福利厚生を沖縄に
もたらしているのだと主張する。
ベトナムで、イラクで、そしてアフガニスタンで、アメリカは沖縄で
したことを繰り返しているようだ。「自分たちは救世主である」。
そんな考えて他国をかき回し、アメリカ化して行くことにしか存在
理由がないのか。
現在でも基地の街では米軍関係者の引き起こす事件は絶えない。
とっとと出て行ってくれないだろうか、アメリカ軍。
尚、本書は◎な良書である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1970年12月、一つの交通事故に端を発し、いわゆる“コザ事件”が発生。本書はその事件を追ったルポ『炎上』の改訂版です。この本の中にこそ現在にまで至る「沖縄問題」の源流があります。
この本は現在でも続く沖縄問題。『沖縄の怒り』が最初に爆発したといわれる1970年12月に発生した、一つの交通事故に端を発し、かねてからの米兵の暴行、殺人事件などの相次ぐ不祥事に怒り心頭に達した沖縄県民が米軍の車を焼き打ちし、基地のゲートに突入したいわゆる『ゴザ事件』の顛末を追ったものです。
これを読もうとしたきっかけは当然、防衛官僚及び防衛大臣の発言問題がきっかけとなりますが、いまだに日本国内にある米軍基地の実に70%が沖縄に集中し、『その事実に関してはよくわからない』といっていた1995年の沖縄米兵少女暴行事件。四半世紀ごとに沖縄の怒りが爆発して、それが大きなうねりとなって、日米関係を揺さぶっていくのだ、ということを本書を一読すればよく理解できると思われます。
今はどうなのかはわかりませんが、ゴザ事件が起こった当時、米兵は犯罪を犯しても基地のゲートをくぐれば日本の警察が手を出せないことを利用してやりたい放題やって、ここの中にある米兵が帰宅途中の女子高生を強姦しようとして女子高生をナイフで刺すというとんでもない事件も、アメリカの司法で実に『軽い』刑罰しか処されていなかった、という話はさすがに怒りを覚え、こういうことがつもりに積もって、沖縄の基地問題があるのだ、ということがよくわかりました。
『ゴザ事件』の実際の映像はDVDにもなっておりますし、実際に僕も前に見て、すさまじい怒りが渦巻いているなと思ったものです。戦後といわれてもう長い月日が流れましたが、沖縄に基地がある限り、彼らにとっての『戦後』はいまだに続いているのだ、という思いを抱きました。 -
腹立たしいねえ。