幕末キリシタン類族伝 青い空 上 (文春文庫 え 4-12)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167414122

感想・レビュー・書評

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  • レビューは下巻にて。

  •  島原の乱から71年後、1687年にキリシタン類族令が発布された。「一度、キリシタンになったことがある者は転んだ者でも監視する。彼らとその係累をキリシタン類族として一般市民の戸籍から除き、キリシタン類族帳という別戸籍に入れることを命ずる」という内容である。

     5代前の先祖にキリシタンを持つ主人公の過酷な旅がはじまる。上巻は親友のあだ討ちを果し、江戸に逃れるまでのお話しである。丁度、時は幕末を向かえ大きく時代が変わろうとしている。

  • 『切支丹はたとえ改宗しても許さず、本人の生前は勿論、死んでも五世代後の子孫まで監視するという切支丹類族令・・』切支丹類族をテーマとした珍しい作品。遠藤周作の「沈黙」のような陰鬱かつ悲痛な作品と思いきや山本周五郎の傑作「さぶ」を思わす乾いた筆致であった。時代は江戸末期で、維新宗教裏面史とも言える。明治維新と言えば司馬遼太郎であるが、本作にも余話としての作者語りが頻りに顔を出す。話の流れが切れると嫌う読者もいるが、司馬遼ファンの私にはそれも心地良い。〈倒幕〉ならぬ〈倒仏〉という言葉を初めて知った。快調に下巻へ

  • 恐らく海老沢泰久でなければ書けなかったであろう一冊。
    これだけ重く陰鬱なテーマを持ったお話を、スッキリとした文章に仕立てることが出来るのは、この作者を措いて他にはいないでしょう。
    独特の冷静で乾いた文体が、却って深い哀しみを呼び起こします。

  • 日本人と宗教。日ごろなじみのないテーマを、ずしんと重く感じてしまいました。前半のスリリングな展開も◎。

  • 2009年116冊目

  • 舞台は幕末。キリシタンを先祖に持つ「類族」の少年が主人公で、東北の寒村から江戸へ出て、様々な人と出会い成長していく。題名から、幕末のころのキリシタン弾圧の話だろうと単純に思ったのですが、当時の日本の宗教問題はさらに複雑だったようです。なかなか勉強になります。メインのストーリー以外の記述(史料の紹介や時代解説など)が多すぎ、読むのがちょっと疲れます・・・。海老沢氏は最近亡くなられていたのですね。知らんかった。海老沢氏のプロ野球モノの本はいくつか読んでいて、けっこう好きなのですが、こういう作品も出していたのですね。知らんかった。

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