- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167415020
作品紹介・あらすじ
十二歳年上の妻子ある自分のもとへ、大映の専属女優の座まで捨てて、乙羽さんはまっすぐに飛び込んできた-幾多の葛藤と膨大な仕事を生んだ二人の壮絶な四十二年間。妻が余命一年と宣告された時、夫は妻との最後の映画製作を決意した。人生の真実、男女の性、夫婦の晩年。異様な迫力と哀切に満ちた万感の書。
感想・レビュー・書評
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映画監督・新藤兼人による、妻・乙羽信子を語る話。長いこと愛人状態で年がいってから籍を入れたそうで、今だったら芸能マスコミがうるさそう。もちろん当時もそれなりにうるさかったんだろうけど。現在と思い出話が混ざりながら進行していくのはいいけれど、唐突に昔の話になっていつの間にか戻るので、頭の中がごちゃごちゃになりそうでした。えっと脚本も書く人なんだよねぇ、話があっちこっち飛ぶんだけど?なんて思いながら。書いてる時が既に80歳代だからそんなものなのかしら。妻への愛が全面にあふれている本でした。
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切ないほどの男と女の物語です。それがたまたま、有名な映画監督の男と有名な女優だったということです。
もう一つは、映画「午後の遺言状」の製作日誌になっているということです。もう一度、この映画を見る機会があれば、もっと多様な視点で見ることができるでしょう。
最後の方に、乙羽信子さんの中国旅行日記(昭和31年)が収録されています。色々面白いエピソードが入っているのですが、一番驚いたのは、乙羽さんが北朝鮮にも行ってきたこと、そして崔承喜さんに会うことを強く希望した、という話でした。乙羽さんのような世代と経歴の人にとって、それ程までに崔承喜さんが憧れの存在だったということを初めて知ることができました。