- Amazon.co.jp ・本 (607ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167549091
作品紹介・あらすじ
今多コンツェルン広報室に雇われたアルバイトの原田いずみは、質の悪いトラブルメーカーだった。解雇された彼女の連絡窓口となった杉村三郎は、経歴詐称とクレーマーぶりに振り回される。折しも街では無差別と思しき連続毒殺事件が注目を集めていた。人の心の陥穽を圧倒的な筆致で描く吉川英治文学賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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実家に帰省した時にたまたまあった本の中で、宮部みゆきさんの本、ということで読み始めたのですが、「あれ?この本なんか覚えがある…」ネットで調べるとやはり、小泉孝太郎主演でドラマ化されてました。お嬢様育ちの奥さんが国仲涼子さんだったのは覚えているのですが、その他は覚えてなくて…。トラブルメーカーでこの小説の中で大事な役割を果たす原田いずみさんを江口のり子さんが演じていたのも覚えてなくて…「これは経費で落ちません」以来、とても気になっている女優さんなので、覚えていないのが残念。ドラマ、Netflixとかで再放送されてないかなぁ〜
(余談ですが、宮部みゆきさんも小泉孝太郎さんは、杉村三郎にぴったりと言われていたそうです)
お話は、杉村三郎が務める広報室でのトラブルと、連続殺人事件が絡み合いながら進んでいきます。
「私は、我々の内にある毒の名前を知りたい。誰か私に教えてほしい。我々が内包する毒の名は何というのだ。」と、最後の方で杉村三郎は思うのですが、この本の中では人間の内と外にあるいろんな毒が使われていて、それは「名もなき毒」というタイトルにも表されています。
我々の日常に毒は存在していて、我々自身も毒なのだ、というお話は少し怖い気もしました。
このお話は、実は第2作で、「誰かsomeday」という1作目と「ペテロの葬列」という3作目があるそうなので、
それもこれからぜひ読んでみたいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『名もなき毒』―心の闇を描く、杉村三郎シリーズの衝撃作
『名もなき毒』を手に取ったとき、これまでの杉村三郎シリーズとはまた異なる一面を見ることになるとは思いませんでした。物語の中心には、今多コンツェルン広報室で働いていたアルバイト、原田いずみがいます。彼女は、質の悪いトラブルメーカーで、経歴詐称とクレーマーぶりで周囲を振り回します。杉村三郎が彼女の連絡窓口となったことで、物語は思わぬ方向に展開していきます。
同時に、街では連続毒殺事件が起こり、人々の注目を集めています。この物語は、ただ事件を追うだけではなく、人の心の奥底にある闇や脆さを浮かび上がらせます。原田いずみの行動を理解することは難しいですが、彼女を通じて描かれる人間性の複雑さは、読んでいて非常に考えさせられました。
この作品が映像化されていることを知り、どのようにこの緊迫感あふれる物語が画面上で再現されているのか、見るのが楽しみです。ドラマや映画でキャラクターたちがどのように生き生きと描かれるのか、その表現を見るのはいつも新鮮です。
次巻を手に取る今、この杉村三郎シリーズにどっぷりとハマっている自分がいます。『名もなき毒』は、ただのミステリー小説を超えて、人間の心理を深く掘り下げた作品として、強く印象に残っています。 -
宮部みゆきの作品は、ここ10年無駄に長くて辟易していたのだが、これは良かった。「火車」を初めて読んだときのような充実感を感じた。
ここには、犯罪になるかならないかぐらいの、性質(たち)の良く無い「悪意」が描かれる。一人は、原田いずみ。新人アルバイトでトラベルメーカーである。最初は「ミスを指摘すると、以前はすぐに謝って直していたのに、言い返すようになった。手の込んだ言い訳も並べるようになった。やがて、それを通りこして攻撃的になって来た。」というぐらいのモノだった(これでも大変な事だ)。私は似たような人を知っている。ある範囲を越えると、私には、理解不能に成る。
原田いずみは、やがてとんでもない行動も起こす。この作品では、他の人物の殺人などの犯罪も描かれるが、その犯罪と日常の悪意或いは「名もなき毒」との違いは何なのか、私たちに問われる。
そんな「名もなき毒」を相手にしていた「探偵」北見一郎の意思を継ぐかの様に杉村三郎は呟く。
あなたは、事件の後始末に疲れたと言った。もううんざりだと言った。もっと早く、後始末が必要になる前に何か出来ないかと思ったのだと言った。それはいわば、この世の毒を浄める仕事だ。
果たして、杉村三郎がそういう日常探偵を始めるかどうかは分からない。しかし、続編は書かれているという。
そこに「希望」はあると、宮部みゆきも思っているのだろう。 -
杉村三郎シリーズ第二弾。自分の中の見えない毒、がテーマなのかな。登場人物の人柄がわかりやすく伝わるのは宮部みゆき作品の凄いところ。少し長くて退屈な部分もあったけど、杉村さんいい人だから許す。
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シリーズものとは知らずに読了。でもじゅうぶん楽しめた。
人のいい登場人物が心底性格の悪い登場人物に振り回されるシーンは読んでいるだけでも胸糞悪くなってしまう。どうにか痛い目に合わせたいと思ってしまう。でもそんな心もまた名もなき毒なんだろうなと思う。
他人を殺そうとする人間の前にはどんな権力も無力だという現実がただただ悲しい。でも小説の中では望みのある展開になる。それが物語を読む上で救いになる。 -
「誰か」に続く主人公:杉村三郎シリーズの第2弾。
物語の途中に第1弾での出来事について軽く触れているところがあるので順を追って読むことをお勧めします。(私も第1弾から読めばよかった…)
分厚いですが、物語がテンポよく進むのでサクサク読めました。
広報室でアルバイトとして働いていた問題児:原田いずみの対応と、世間を騒がせている連続毒殺事件に首を突っ込んでいく杉村。2つがどのような結末を迎えるのか。
原田いずみの異常さが増していくのがヒヤヒヤするし、連続毒殺事件は切ない…
登場人物1人ひとりの表情の変化や性格、思いを細部まで描いていてイメージが浮かぶ。「人が良い」人の周りには良くも悪くも人が集まるんだなと思った。-
地球っこさん
こんにちは、初めまして♪
コメントありがとうございます(o^^o)
韓国ドラマ好きな人が周りに少ないので嬉しいです!
そう...地球っこさん
こんにちは、初めまして♪
コメントありがとうございます(o^^o)
韓国ドラマ好きな人が周りに少ないので嬉しいです!
そうなんです!
韓国ドラマ大好きで、地球っこさんの本棚拝見させていただきワクワクして思わず「いいね!」してしまいました(*´꒳`*)
たくさん観られてるんですね☆
まだ観たことないドラマもたくさんあるので、これからも参考にさせていただきます♪2022/04/08 -
2022/04/08
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2022/04/09
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すっかり毒気にやられて、先が気になり読み進めた。
杉村三郎シリーズ第2弾だったと後から知る。
世間をに賑わしている青酸カリ連続無差別殺人事件。今多コンツェルン広報室のアルバイト原田いずみの問題行動。異なる2つのトラブルが杉村に降りかかってくる。
青酸カリ、薬、シックハウス、土壌汚染と毒々しい。そして、最大の毒は人の心の悪意。名のある毒も人の心の悪意によって刃に変わるのだ。
久しぶりに読んだ宮部みゆき氏作品は面白く、10年以上積読していた本書は全く色褪せていなかった。昨今の社会問題、ヤングケアラーも触れていて感服。
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再読…のはずなのだが、心許ない。杉村三郎シリーズの2作目である。本作のテーマは、タイトルにもある「毒」。杉村は、連続毒殺事件のゴタゴタに、思いがけない方向から巻き込まれていく。
タイトルの「毒」は、文字通りの毒の意味でもあり、悪意の意味でもあり、さまざまな不安や理不尽さの意味でもあり、もしかしたらシックハウス症候群の原因でもあり…と、多くの意味が込められている。中でも印象的なのは、登場人物の一人である原田いずみに象徴される、人間の持つ得体の知れない悪意であろう。
本作では、自分では如何ともし難い不運や不幸、そして理解の範囲を越えたいびつな悪意が描かれる。その恐怖や不安に対し、普通の男、杉村が対峙する。杉村自身は一見すると毒とは無縁であり、妻子もおり、裕福ですらある。だからこそ今回の杉村は、前作以上に惑い、立ち止まり、ともすると主人公なのに影が薄い。しかし、最後に少し変化が訪れる。次作の『ペテロの葬列』に、毒というテーマは持ち越される。 -
シリーズ2作目とは知らずに読んでしまいました。
ドラマ化にもなった作品。
人間の中には必ず"毒"が存在し、
中にはそれをコントロール出来ない人間もいる。
誰でも良いってのは本当に怖いことですよね。
ゾッとしました。