柔らかな頬 上 (文春文庫 き 19-6)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167602062

感想・レビュー・書評

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  • 前半の不倫の箇所は正直むなくそだった。後半にかけておもしろくなってくる本

  • 20200129

  • 最近、似たニュースがあったから、読んでみたくなった本。
    こちらの本ではまだ事件の結果は分からず。
    行方不明の子の母親、探してくれる余命僅かの元刑事、昔の不倫相手、のお話。

  • 柔らかな頬(上)(文春文庫)
    著作者 :桐野夏生
    上巻では、故郷を捨てたカスミが、子供を失って4年後、元刑事の内海と訪れた北海道で、元不倫相手の石山と再会するまでが描かれている。
    タイムライン
    https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

  • ミステリーってあまり読んだことがなかった。
    これは読みやすいミステリーだと思う。

    展開や心の動きを追う面白さとしては
    おすすめ。

  • 読み終わってすぐに、この作品と同じような事が起こっている。行方不明になっている少女が1日でも早く無事に見つかりますように。

    北海道の海辺で育ったカスミは、高校卒業と同時に故郷を捨て東京で暮らしていた。専門学校を卒業後に製版会社に就職し、そこで社長である森脇に見初められ結婚。2人の娘にも恵まれていたが、夫と営む会社の取引先で、家族ぐるみで付き合いのある石山と不倫関係だった。
    石山が北海道に買った別荘に家族で招待され、人目を忍んで逢瀬をかさねるカスミと石山。そんな中、カスミの5歳になる娘、有香が忽然と姿を消してしまう。
    目撃者もなく、事件なのか事故なのか分からず、4年の月日が経っても有香は見つからず、1人行方を探し続けるカスミ。
    そんな時に、元刑事の内海が事件を調べたいと申し出る。
    30代半ばではあるが、癌に侵され余命宣告されている内海とカスミは行動を共にするようになる。

  • 『ピクニック・アット・ハンギングロック』を読みたいなーなんて思っていたら、「そういえば、『OUT』を読もうとした時、『柔らかな頬』とどっちを読むか迷ったんだけど、あれ、確か失踪モノだったっけ」と思い出したのがきっかけ。

    そんな“代わりに”読んだ本だったんですけど、これ(上巻)はよかった。
    何がいいって、主要登場人物のカスミ、石山、道弘、典子、どれにも共感できちゃったのがよかったんでしょうね。
    ホントそれぞれ、「あー、わかる…」って感じ。

    といっても実際のところ、カスミはわからないんだろうなぁー(ていうか、実際に会ったらお互い大っ嫌い!ってタイプだと思うw)。
    ただ、“ここ(今)ではないどこかへ”という思いや渇望が自分の中にもあるのは間違いないだろう(ていうか、ない人はいないかw)。
    でも、その渇望を衝動として時々抑えられなくなっちゃうとまでなっちゃうとどうなんだろ?
    もちろん、時にはそういう“衝動”がないと、人間、生きていてつまんないでしょうけどね(笑)
    ただ、あそこまで強い思い込みで自分や周囲を追い込んでいっちゃう人って、「破滅型」としか言いようないんじゃないかと。
    ていうか、カスミの場合は自分(や周囲)を破滅させることで新たな“ここ(今)ではないどこか”を得たい、みたいなところがあるのかもしれませんね。
    って、思い出してみると、 (周囲には異常に思えちゃう)思い込みの強さで人間関係や自分をおかしくしちゃう人って、結構普通にいましたね。
    ていうか、自分自身にもあてはまったりして!?w

    “ここ(今)ではないどこかへ”という思いという意味では石山もそうなんでしょう。
    ただ、石山の場合は、そもそも“ここ(今)”に少なくとも表面的には不満はないから。カスミや借金で追われる身になるという具体的な何かがないと、自分がその欲望を持っているということに気がつかなかったのかな?
    そういう意味で、カスミに出遭うことで、彼女(という新しい世界?)に魅かれていく流れなんかはホント見事に描かれていると思います。
    セーターを買って途方に暮れているカスミに出会うシーンとか、日常に疲れたカスミがエレベーターに飛び込んできたシーンとか。
    あぁー、そりゃ落ちるわーって感じ(笑)
    不倫って、要は“道ならぬ恋”じゃないですか(爆)
    恋っていうのは洋の東西を問わず“落ちるもの”なわけで、人間が飛べない以上、そこに恋があったら落ちることしか出来ないんじゃないかと…www
    これは、あくまで日々世の汚濁にまみれているオトナの論理として書きますけどw、例えば会社の同僚等日頃見知っていて、お互い好感をもっている男女(既婚者orどちらかが既婚)がいたとして。例えば、その女性その日常に疲れ切っていて、何かでそれが耐え切れなくなり、何かのハプニングでカスミのように男性に飛び込んできたとして、それを倫理を盾に拒否するのってどうなんだろうとも思うんです。
    確かに男女の関係でいったら不倫であり不義なんだろうけど、男と女ではなく人と人の関係として見たら、相手を拒否しちゃうのは「冷たい」とも言えるわけです。
    いや、別に不倫を肯定しているわけじゃなくってw
    ていうか、何より自らの欲望に安直にのっているだけでは幸せや平穏な暮らしをつかめないというのは、下巻でカスミのお母さんのエピソードとして描かれていますよね。
    とはいえ、現代は情報というやっかいなものがあるがゆえに、カスミのお母さんのようには生きるのは難しいという面もあるわけです。
    他の異性を好きになり、離婚して再婚というのは普通にあることだし。付き合っている異性がいるのに別の異性を好きになることは、もっと普通にあると。
    つまり、それはいつ誰の身にも起こっても不思議ではない事なわけです。
    そういう誰に身にも起こりうる事を杓子定規(小学校の学級委員会的に?)に正解/不正解にしちゃう傾向が現代の生きづらさの原因の一つになっているんじゃないかと思うんだけどなぁー。

    それはともかく、わかるという面で言うと、普通の人にとって一番理解できるのが典子と道弘なんじゃないでしょうか。
    いや、石山も本来は典子や道弘と同ように理解しやすいタイプ、つまり、漠然とだけど幸せの雛型を知っていて、かつその雛型がほぼ同じという意味でカスミよりは典子や道弘の側に属していると思うんです。
    そう考えると、“ケ(日常)”にウンザリして“ハレ(非日常)”を求めて故郷を捨てたカスミの危うさに石山や道弘が魅かれてしまうというのがわかるし。
    逆に、カスミが“ハレ”より“ケ”を好む道弘との生活に次第に疲れていくというのもわかる。
    さらに言えば、石山が安定しきった典子に“女”としての魅力(面白味)を感じなくなってしまうのもわかると。

    …って、桐野夏生が書いたフィクションにわかるもわからないもないんでしょうけどね(笑)
    ただ、この4人の性格や関係性というのは、つくづく「あー、わかる…」と思ってしまうところに迫力を感じちゃうんでしょうね。
    支笏湖のあの雰囲気とか、道弘の印刷会社のある神田界隈とか、典子が石山にお金と時計を渡す高田馬場駅のホーム等々、個人的に馴染み深い舞台が次々と出てくることも含めて、やけに情景がリアルに浮かぶ上巻でした。

  • あらすじも何も頭に入れないまま読んだので
    行間に漂う仄暗い感覚と不倫劇から始まり
    娘が行方不明になるという展開に目が離せなくなりました。

    両親や周りの人の取り乱し方や諦め方、諦められなさ、接し方
    テレビに出たときの世間の反応、善意の第三者や悪意の人の意見に
    振り回される様子など、どれもリアルに感じます。

    カスミは良いお母さんではないかもしれませんし、
    愛情なのか執着なのかもわからなくなりますが
    人間は一辺倒ではなく、一面だけで善悪を語れないという
    一例であるとも言えます。

    感情移入はできないものの、今いる場所から逃げたくて
    その道を相手に見つける気持ちはわかる気がします。
    その人といるときだけ息ができるというような感覚。

    元警察官の内海の存在も、単なる善人ではなく
    かと言って悪巧みをしているというのでもなさそうな
    人間らしい描き方がリアルです。

    どのような解決を見せるのか、そもそも解決できずに終わるのか
    下巻が楽しみです。

  • 個人的には下巻の方が好きかなと思いました。なんでしょう、物語の間延び感が否めない。。それも最初はミステリー性を期待して読み始めた自分がいけないのですがね。桐野さんの人間の内面に滾る欲望をリアルに描いているのが味わえる作品だと思います。

  • 救いのない結末・・

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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