受城異聞記 (文春文庫 い 42-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167632014

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  • 「受城異聞記」「絶塵の将」「おれも、おまえも」「割を食う」「けだもの」
    5編の小説からなる。

     一番最初と最後がが一番小説らしい。
    ①江戸中期加賀前田藩の支藩大聖寺藩に幕命として郡上藩が起こした宝暦郡上事件の後始末のため高山陣屋を接収しなければならなかった。それは地理的にまるで無謀に等しい行為であったが生駒弥八郎以下二十四名は藩の命運を担って冬季北アルプスを越えようとする。冒険的要素と現代でも難しい登攀を行ったのだ。
    ②町奉行所の捜査の手違いにより下手人がわかっていながら無罪の多賀作之進は打ち首となってしまう。法というものが幕府の威信のためにねじ曲げられた。三刀谷孝吉(隠密廻り同心)は本当の下手人をあげるため、自らの正義のため役目を捨てる。そして法の裏をかき本当の下手人を牢に入れたのだ。

    どちらも読み応えがある。①は感動、②は感心した。

  • 読みやすい短編集なのだけど、最後に入っている一番長い「けだもの」が問題ありだった。
    面白い話なのだけど、後半から暴走していた。ドラマとして盛り上げるべく内部の設定で暴走してしまって読者が置いて行かれた感がある。
    「前半はぐいぐい引っ張られるのに、後半で置いてきぼりを食らった。ついていけなくなったというよりも作者の背伸びになんか白けた。」というあたりで、湊かなえの「告白」や韓国映画の「シルミド」に似ていた。池宮彰一郎も映画シナリオ出身だから、そのころの癖が出たのかな。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    加賀前田の支藩、大聖寺七万石に下された非情の幕命。厳冬の北アルプスを越えて高山陣屋と故城の接収に向かった生駒弥八郎以下二十四名の運命は…。表題作ほか、勇将福島正則の一代記「絶塵の将」、お役目も家も捨て狡猾きわまる悪党を追う同心の執念を描く「けだもの」など全五篇を収録した珠玉の短篇集。

  • 表題作他全5話短編集。

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