CIA秘録〈下〉-その誕生から今日まで (文春文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (604ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167651770

作品紹介・あらすじ

時の大統領の歓心を買うために秘密活動に狂奔し、成功は過大に報告、失敗は隠蔽する。こうして「CIAは万能」という虚像は生まれた。一方で、国際情勢の分析を軽視するあまり、米国は東西冷戦の処理を誤り、湾岸戦争の悪夢に沈み、「9・11」の大破局に至った。歴史の厚いベールの向こうに見え隠れする諜報という「大義」の内幕。全米図書賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 訳が今ひとつで、日本語になっていないところが多く、理解が難しい箇所がある。文春は、何回読み返したのだろう。
    内容は、すばらしい。現存する資料を基に説得力ある論述となっている。結局、人は戦争をやめられないと言うことだ。ナチスが滅亡すればソ連が台頭し、ソ連が崩壊すればアルカイダが出現する。アルカイダをたたいてもイスラエルが再び戦争をはじめている。覇権争いはなくならないし、虐殺、陰謀、貧困はなくならない。人の6000年に及ぶ歴史が物語っているし、人間だって動物の摂理に基づく行動しかできない。ライオンはシマウマと仲良くなれないのと同じだ。
    それにしても、日本の対諜報はオソマツ極まりない。厳しいスパイ防止法施行が求められる。

  • ジョージ・テネットが1997年CIA長官に就任した時、CIAは既に破産寸前で専門技能は衰え混乱状態だった。2001年、迫り来るテロを巡る確証のない情報にCIAの神経はすり減っていた。9.11の破局的な失敗の後、ブッシュの命令でCIAは地球規模の憲兵としての役割を始めた。なんと議会はCIAに米国国民を監視する法的権限を与えた。イラクが大量破壊兵器を保有しているとCIAが判断した根拠はなんとたった一人の囚人の自供からだった。そしてイラクへの先制攻撃。4年後に「あれは間違いだった」とテネットは証言した。

  •  CIAの無邪気さについて。情報収集の能力もなく、情報検証の能力もなく…。イラク戦争における大量破壊兵器の存在は、陰謀などではなく、単なるCIAの無邪気さによるものだという印象です。

  • CIAの誕生から現代までを追ったノンフィクション。個人的には日本における工作の部分が興味を惹いた。

    普通の「告発本」と違うところは末尾に筆者によるソースノートが書かれているところ。

    もしかしたら超大国は莫大な力を持つが故、わざわざ諜報能力を発達させずに「力による解決」をしたがるのでは、とも感じた。

  • 純粋なノンフィクションとして裏付けるソースノートには、脱帽。
    諜報機関がゆえに、謎めいた組織であるCIAの決して笑えない様な実態を理解させてくれる。
    次回作は、FBI、 国防総省とアメリカを知るには欠かせないテーマと必ず読みたい。文庫化の暁には。

  • ギャグ100連発。
    CIAは永遠に変わりそうに無いw
    あと、拷問は「拷問者が聞きたい自白」を生むってことを忘れすぎかな。

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著者プロフィール

1956年、ニューヨーク州で生まれ、コロンビア大学と大学院で歴史とジャーナリズムを専攻し、《ソーホー・ニュース》紙で記者としての第一歩を踏みだした。《フィラデルフィア・インクワイアラー》紙に移籍後の1988年、国防総省とCIAの秘密予算にかんする調査報道でピュリツァー賞を受賞する1993年から2009年までは《ニューヨーク・タイムズ》で記者をつとめ、1994年には、CIAが50~60年代に日本で自民党に数百万ドルの資金を提供していた事実を暴露した。2007年に刊行した『CIA秘録 その誕生から今日まで』は《ニューヨーク・タイムズ》のベストセラー・リストに名をつらね、全米図書賞を受賞した。2012年には姉妹篇の『FBI秘録 その誕生から今日まで』を上梓、《ウォールストリート・ジャーナル》から、「スパイ事件について書かれた最高の本」と称賛された。本書は6冊目の著書(共著もふくむ)で最新作にあたる。また、プリンストン大学とコロンビア大学で歴史と文章術を教えたこともある。本書は、辛口で知られる老舗書評専門誌《カーカス・レヴュー》の2020年度のベスト・ノンフィクションに選ばれた。

「2022年 『米露諜報秘録1945-2020』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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