父と母 悔恨の手記 「少年A」 この子を生んで…… (文春文庫 し 37-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167656096

感想・レビュー・書評

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  • 以前読んだのだけど、再読。
    最近、佐木さんの本を読んでいるせいか、『勉強なんてできなくてもいい』というのが両親どちらも書いていて、印象にのこっている。

    気づくべきだし、気づけたはず、というのは、当人でないから言えることであって、たとえば病気でやつれたりすることだって一緒に暮らしていたら気づかないこともある。ましてや、自分の子、というフィルターのある目であれば、難しいことなのだと思う。

  • この本の印税が、被害者の方々への償いとなるということで購入。
    しばらくは読めずに本棚に在りました。

    いつも読了したあとは、清涼感や達成感があり、気分がよいものですが、そういったものは感じられませんでした。

    両親の育て方に問題があるようには感じませんでしたし、手記にはごく普通の家族の様子しか覗えない。
    だが、少年Aは殺人を犯してしまったのだから、何かが過ちに繋がってしまったのだろう。

    被害者のご冥福をお祈りいたします。

  • 何気なく手に取った本だったのに、予想以上に重くて頭にこびりついてしまった。
    テスト中も別の本を読んでいるときも、読み終わってからはずっと、気がついたら手記の内容や事件のことを考えている。
    自分に少年Aのような、殺人に興味のある子どもが産まれたら、少年の母と同じように見過ごしてしまうかもしれないと思ったけど、その一方で、家から凶器や猫の死体が出てきた時点で、どうしてもっと子どもを疑わなかったのだろうと不思議に思った。
    でも、やっぱりわたしがこの母親だったとしても見過ごしてしまうか、気がついたとしても止めるのは無理だろうな。まさか、自分の子どもがゲームのように殺人をするだなんて思わないから。
    殺害のきっかけとなった要因もなんだか腑に落ちないままです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「殺害のきっかけとなった要因」
      理由は一つじゃないでしょ、だから腑に落ちないのが正解だと思う。何故を突き詰めて、少しでも真実に近づくしかない...
      「殺害のきっかけとなった要因」
      理由は一つじゃないでしょ、だから腑に落ちないのが正解だと思う。何故を突き詰めて、少しでも真実に近づくしかないと思う。
      2012/07/24
    • りささん
      >nyancomaruさん
      レビューありがとうございます。
      遅くなってしまい、すみません!
      内容に書かれていた精神鑑定に「母親からの虐待」と...
      >nyancomaruさん
      レビューありがとうございます。
      遅くなってしまい、すみません!
      内容に書かれていた精神鑑定に「母親からの虐待」とかあったんですが、 理由の一つもしっくりこなかった のです。
      ですが、考えてみればそうですね。
      真相は本人しかわからないわけですし。
      母親の手記だというのも悪いのかもしれません。
      2012/08/16
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「真相は本人しかわからない」
      相反する二つの感情が湧いてきた。子どもを信じない親も、現実を見ない親も、どちらも情けない。。。この本を書いた親...
      「真相は本人しかわからない」
      相反する二つの感情が湧いてきた。子どもを信じない親も、現実を見ない親も、どちらも情けない。。。この本を書いた親は、どうなんだろう?(まぁわが子を擁護すると叩かれるでしょうけど)
      2013/03/18
  • 被害に遭われた子どもたちやご遺族には、お悔やみ申し上げます。

    その上で、本著を読了したときに感じたことは、

    「親ガチャ」があるのなら「子ガチャ」があってもいいのかもしれません。

    手記通りの親子関係が本当なら、この少年の異質性はもう先天的な要素のほうが大きいのではないでしょうか。

    たしかに多少は、この父母の子育てや接し方に疑問が無いわけではありませんが、この程度のエキセントリックさはどの家庭にもあると思います(もちろん我が家にもあるでしょう)。


    個人的な感覚であり憶測でしかありませんが、少年に大きな影響を与えた出来事は阪神大震災だったのではないでしょうか?村上春樹の「神の子供はみな踊る」を思い出しました。

  • 被害者のお父様が書かれた「淳」をセットで読むことを強くおすすめしたい本。この本だけだと評価は星1です。
    私はこちらの本を読んでから、淳を読みました。どちらも読むと、加害者両親は「自分たちはこんなにも精一杯育てた。にもかかわらず少年Aがあのように育った。なぜかまったく分からない」をひたすら書いている内容だったんだと理解しました。本当にわからなかったんだと思います、息子含む人間の心が。淳くん捜索中、加害者母が知人程度の被害者宅へ電話番をしに家へ行き、たまごっちを持参、自分の息子達について自慢話をしてきた、と「淳」に書いてありました。

  • この本の感想は、遺族の手記「淳」を読む前と後で分かれる。

    【前】
    とても普通の家庭であり、この手記を読む限りまるで少年Aと親のやり取りが私の家庭のやり取りかと思うほど普通であった。特に母親の正義感や子供に対する愛情のかけ方、たまにとんちんかんなことを言って思春期の子供の気持ちを汲み取れていないところ。その結果、子供は親を煙たがり非行に走る。私と少年Aの成長はほぼ同じで、私は少年Aとは違い、動物愛が強く、勉強を放棄することはできなかった、ということである。私が動物愛がなく虐待ができ、成績に無頓着だったら少年Aのように飛行がエスカレートしてとんでもない事件を犯してもおかしくなかった、そう思った。親の教育方針もこれを読む限り異常ではないし、しっかりと何が悪いかを教えていたと思う。親が少年Aの異常性に気付いていなかったのも、自分の親がそうだったように、少年Aが上手に親をだましていたからだなと思った。
    特に夫のためには死ねないが子のためなら死ねる、子供を引きずってでも被害者遺族の前で謝罪をさせたいという思いは、自分の親でもそうだし自分でもそう思うなと思った。

    【後】
    「淳」で被害者の父が記載していたように、事件後の母親の奇妙な行動は、どう考えても不自然で、少年Aが罪を犯していたことを親は気づいていたと思った。本書では寝耳に水といった感じだが、被害者の父が指摘していたように不自然な行動が目立っていた。また、弁護士に相談しながら準備した手紙や、手紙を書くまでに時間を要したのは子の無実を信じていたからなど、よく考えると不自然な点に多く気づいた。その後の言動でもやはり両親に誠心誠意の謝罪の意があるとは思えない。
    加害者両親もある種で被害者であるが、やはり何もかもが足りない。

  • 犯罪者に対し「そんな人物には見えなかった」という証言をよく聞く。それは本当なのか。犯罪を行うような人物がどのように出現するのか。親としては、我が子に危険な兆候が見られたとき、どのように対処するべきなのか。

    当然、ひとつの答えはない。ケースバイケースで真剣に対処するしかない。
    この一冊はひとつの特異な参考例として読める

    個人的な印象として、この両親は少年の特異性には気が付いてはいたと思う。施設に連れて行き専門家に相談した。だがそれ以上は、向き合おうとせず逃げ腰であったと感じた。もっと言うと、こんな子どもを育てなければならない私たちもある意味、被害者である、と言ってるようにも感じた。私から見ればあなたたちはある意味、加害者であると言いたい。他山の石として、我が子をよく見、ゆっくりと待ち、たくさん話をしたいと思う。

  • 読みやすかったが、単純に文章能力が無いんだなという印象。
    日記を元にしているから仕方ないのだろうが、
    「眠れない」「体調が悪い」など自分のことばかり。
    これを被害者家族や関係者も読めてしまう商業作品として売り出すのはどうだろう…。

    ただただ「申し訳ありません」を繰り返したり、
    言い訳めいた言葉や「躾はしっかりしていた」などの後から何とでも言える話にはがっかりした。

  • 酒鬼薔薇聖斗、14歳による連続殺傷事件として世間を騒がせた少年A。彼の両親による「その日」までのありのままを綴った手記。

    父親がふと思い出す日常の場面や、母親の育児日誌から振り返っていく日々は、どこにでもある家庭の姿を感じます。過干渉だったと振り返りながら、とても多くのことに気づかないままというのが疑問ではありますが、それでも直接事件に繋がるような異様な環境とはいえないと思いました。

    この手記は少年Aがまだ医療少年院に入院している段階で書かれており、矯正教育に関しては両親はほぼ関わりがなく、また面会も少年A側から拒絶されている状態です。少年Aは退院後には両親との暮らしを拒んでおり、親子関係の修復は失敗しているという書籍もあったため、このあたりの経緯もさらに知りたかったと思います。

    私は事件についての加害者家族側からの書籍ということで手に取り、一つの資料として読んで良かったと思っています。しかし何も気づかなかった今までの暮らしがただ書かれているだけとも言えるので、冒頭で書かれた被害者遺族に少しでも前向きななにかが生まれればという願いを込めて捧げるという趣旨からすれば、この状態で出版したことには疑問です。

  • この本は、一冊で読んでもそれ程の価値を見いだせるものではなく、被害者少年の父親が記したものと併せてはじめて真価が問われるものだと思います。
    真実は片口ではわからないです。

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