父と母 悔恨の手記 「少年A」 この子を生んで…… (文春文庫 し 37-1)
- 文藝春秋 (2001年7月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167656096
感想・レビュー・書評
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こういう本も賛否両論あるだろうけど
他人事ではないので読んどいた方が良いですね
【まさか】は存在するし
【まさか】がおきない保証はないのと
子育てにも正解はないですからね…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
神戸連続児童殺傷事件の酒鬼薔薇聖斗、少年Aのご両親が綴った手記。この本ではご両親は、少年Aの育て方につき、間違っていたのか?と苦悩していると語っているが、読んでみて本当に普通の育てかたをしていたのではないかと感じた。親としては当たり前のしつけ、助言、全てが普通ではないかと私は思った。少年Aは性的サディズムが原因だったから、育て方に関しては間違っていなかったと私は解釈している。どうか苦悩のない日々を暮らしていることを願う。
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一週間前に、三年前出版された少年Aの『絶歌』を読んで、いろいろ気になったので、
ご両親が19年前に書いた手記であるこの本を読みました。
思ったことを二つ書きます。
・Aは本当に立ち直ったのか
・何がAのような人格をつくったのか
『絶歌』は悪評の的になっているようですが、
私の感想は「良い方向に向かっている。頑張ってほしい」というものでした。
でもこの本を読んで「彼は本当に立ち直ったのかしら?」と思い始めました。
というのは、事件前後、両親への騙し方が実に巧みだったから。
ここで半信半疑になってしまった私です。
もう一つ、「事件前、彼はたくさんサインを送っていたのではないか。両親は鈍感すぎないか」と思っていました。
この本を読んで、サインどころか、問題行動をたくさんおこし、両親が奔走していたのがよくわかりました。
もうすでに、両親には彼の暴走を止める力はなかったのです。
ではなぜ、彼はあんな風になってしまったのか?
お父さんもお母さんも普通で、愛情あふれる温かい家庭のように思えます。
私のまわりに男の子3人4人の家庭がありますが、
そこと比較しても特別厳しい非常識な親とは思えません。
でもその中でひっかかったことがあります。
お母さんは育児日記をつけていました。
それによるとAが生後一か月のとき
「今日初めてトイレでウンチさせた。なるべく早く、そういう習慣をつけよう」
え??なにそれ?!
「一歳九か月 おむつをすべて取る。昼のおむつはもっと早く取ったのですが、夜になるとなかなか取れなかった。でもそれ以降、お漏らしは大丈夫だった」
私のまわりの子育てしている人たちは2歳すぎても平気でおむつさせていました。
しかもAは7月生まれだから、寒い時にトイレトレーニングさせられていたのでしょう。
年子の弟がいるから、早く自立させたかったのかもしれません。
また、Aが二歳のとき、食べ終わった食器を流しにもっていくようにしつけています。
でも「これは無理だ」と三歳すぎてからにしました。
「長男のAをある程度キチンと躾けていれば、後に続く子も上を見て育つ。
そういう意識が私の中にあったことは確かです」
ブログ『保育士おとーちゃんの子育て日記』に次のような事が書かれています。
「(前略)一方で「トイレトレーニング」に一生懸命な人もいます。
これをされると子供はつらいね。
どうしてもその子の持っている能力では出来ないことを要求されるわけです。
(略)
それがさらに親が確立を望む年齢をすぎて、あせってきたりしてピリピリ・イライラした対応になってくると、子供はさまざまな問題を抱えることになりかねません。
自己肯定感の欠如、無気力、殻に閉じこもる、大人に対する不信、情緒不安定、イライラから暴力的になる、ストレスからくる指しゃぶり、チックなどなど・・・。」
「僕はトイレで排泄させようさせようと努力する代わりに、
普段の生活習慣や遊び、会話、スキンシップなどをしっかりとやります」
Aのお母さんは、長男であるAをしっかり躾けるため、まだ能力的に無理なことをさせようとし、その結果Aのような性格の少年がつくられていったのではないか。
昔はインターネットが無かったから、いまのように情報がなかったのかもしれません。
親が良かれと思ってやったことが大変な事態を招く。
子育てにはー子育てに限りませんがー正しい知識が必要なんだなあと思いました。 -
これを読んで得られるものは特にない。
ここに書いてあるAの行動も全てが本当かは分からない。
それでもこの事件に興味を持つ僕としては価値のある内容だった。
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子供を持つ親として、加害者、被害者どちらも地獄
親が一生懸命育てているつもりでも、受け取る側の子供の気持ちがそうでなければ愛情は届かないのでしょうか
本当に亡くなった方達のご冥福をお祈りいたします -
自分か生まれる前の事件なので、関東大震災とか阪神淡路大震災とかと同じくらい昔のことだと思っていたが、手記の内容が現代社会にも通じるほどリアル。
特定の要因がこの事件を起こしたのではなく、様々な複雑な要因か絡み合った結果、起こってしまった事件なのだろうなと思う。 -
「あなたの子どもを加害者にしないために」と言う本を以前
読みました。その本は「「少年A」この子を生んで・・・」を元に、少年Aはどのように育ったのか、どうして酒鬼薔薇聖斗が生まれたのかを分析した内容でした。
そこでやっぱり気になってこの本を買いました。
ちなみにこの本の印税は、被害者遺族の方々への賠償にあてられるそうです。
これを読んでみて思ったのは、この両親は案外普通だなと言う事。
もちろん全てをありのままに書いているのかどうかは分かりません。あくまでこの手記を読む限りですが。
時々「ん?」と引っかかる考え方や言動があるにはあるのですが、
明らかにおかしな考えって言う訳でもないように感じます。
被害者家族への謝罪の言葉も度々出てきますが、本当の意味で
謝罪の気持ちがあるのかな?と、文章を読む限り感じました。
我が子をかばうような書き方も気にはなります。
でも、実際我が子がこのようなひどい事件を起こしたとしたら
何を書けるのか、と思うとこういう文章なのも納得と言うか
しょうがないのかなと思ったり。。。
母親によると、事件の直前も後も、息子の様子に何も変わった
所はなかったと。何も気付かなかったと。
そんなことってあるか?と思いますが、でもまさか自分の息子が
殺人犯だなどとは考えないだろうなぁ。
でも少年Aは、事件の前から万引きしたり、同級生を殴ったり
家に斧を隠していたり、猫の死体が出て来たり、やっぱり
前兆のようなものはあったんじゃないでしょうか。
それでも母親は「男の子だからこんなもの」みたいな軽い感じで
やりすごしているのが、引っかかりました。
それなりに本人に聞いたり、謝罪に行ったり、叱ったりはして
いるのですが、どうも軽い印象。
子育てって本当に難しいし、本当に一人一人その子によって
愛情の受け止め方も違うんですよね。
そういう事を痛感しました。 -
この本の感想は、遺族の手記「淳」を読む前と後で分かれる。
【前】
とても普通の家庭であり、この手記を読む限りまるで少年Aと親のやり取りが私の家庭のやり取りかと思うほど普通であった。特に母親の正義感や子供に対する愛情のかけ方、たまにとんちんかんなことを言って思春期の子供の気持ちを汲み取れていないところ。その結果、子供は親を煙たがり非行に走る。私と少年Aの成長はほぼ同じで、私は少年Aとは違い、動物愛が強く、勉強を放棄することはできなかった、ということである。私が動物愛がなく虐待ができ、成績に無頓着だったら少年Aのように飛行がエスカレートしてとんでもない事件を犯してもおかしくなかった、そう思った。親の教育方針もこれを読む限り異常ではないし、しっかりと何が悪いかを教えていたと思う。親が少年Aの異常性に気付いていなかったのも、自分の親がそうだったように、少年Aが上手に親をだましていたからだなと思った。
特に夫のためには死ねないが子のためなら死ねる、子供を引きずってでも被害者遺族の前で謝罪をさせたいという思いは、自分の親でもそうだし自分でもそう思うなと思った。
【後】
「淳」で被害者の父が記載していたように、事件後の母親の奇妙な行動は、どう考えても不自然で、少年Aが罪を犯していたことを親は気づいていたと思った。本書では寝耳に水といった感じだが、被害者の父が指摘していたように不自然な行動が目立っていた。また、弁護士に相談しながら準備した手紙や、手紙を書くまでに時間を要したのは子の無実を信じていたからなど、よく考えると不自然な点に多く気づいた。その後の言動でもやはり両親に誠心誠意の謝罪の意があるとは思えない。
加害者両親もある種で被害者であるが、やはり何もかもが足りない。