新装版 翔ぶが如く (9) (文春文庫) (文春文庫 し 1-102)
- 文藝春秋 (2002年6月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167663032
作品紹介・あらすじ
熊本をめざして進軍する政府軍を薩軍は田原坂で迎えた。ここで十数日間の激しい攻防戦が続くのである。薩軍は強かった。すさまじい士気に圧倒される政府軍は惨敗を続けた。しかし陸続と大軍を繰り出す政府軍に対し、篠原国幹以下多数の兵を失った薩軍は、銃弾の不足にも悩まされる。薩軍はついに田原坂から後退した…。
感想・レビュー・書評
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薩摩軍には上代の「隼人」のDNAが受け継がれているかもしれない。隼人も勇猛な戦士だったが、逃げるのも早く、そして逃げることに罪悪感はなかった。高瀬や吉次越の戦いで、薩摩軍があっけらかんと退却したのも、この隼人の血がそうしたのかもしれない63
西郷は私欲の無い立派な人だった。ただ「人望欲」とでも言うべきものがあり、それがために担がれて身を誤らせたby大山巌122
田原坂で銃をもたず、その場で買った太刀で薩摩の堡塁に奇襲をかけた抜刀隊。その多くは元会津藩士で、「戊辰の復讐、戊辰の復讐!」と叫んで斬り込んだ156
薩摩藩は百姓への搾取が他藩に比べ非常に多く、その差別も強い。それによって武士を多く抱え、したがって維新の中心部隊になれ、独立独裁も保てた。それは明治になってからも変わらず、木戸はそれを見抜き、熊本を引き払って人吉で未だに群居する薩摩軍と「休戦せよ」と政府に申し入れた久光(藩兵を維持し独立国の君主の座を守りたい)を批判した。300詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最後に纏めて記載。
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「尊王攘夷」のスローガンで始まった筈の倒幕運動から、明治維新が為ってみたら、幕末からの開国方針が何も変わっていないという、この歴史の流れが、長らく釈然としなかったのだが、これを読んで、漸く腑に落ちたというか――当時の士族達も釈然としなくて、だからあちこちで士族の反乱が起きて、最終的に西南戦争に至ったのね、と。しかし、旧支配層の武士は既得権益を取り上げられ、庶民は税金やら兵役やら負担が激増した、この明治維新という大改革が、よく破綻・瓦解しなかったものだという、新たな疑問が湧いてきた。
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まさか会津人まで出てくるとは。
しかもすごく魅力的な人物>佐川官兵衛、山川浩
現代から振り返れば、薩軍はその在りかたも訴えかたもすべてが時代遅れで時代錯誤。
彼らが歴史から退場するのはまったく自然なこととしかいえない。
でも変わり目にいるときが一番辛く苦しいのはわかるから、彼らには激しく同情もするし、共感もするし、その行いを善悪で単純に片づけたくはない。
◇
しかし主役不在の西南戦争史。
我ながら、よくここまで読んだ。
いま無性に一巻を読み返したくてたまらない。 -
※2008.3.21購入@Book Off調布
2008.11.3読書開始
2008.11.16読了
2017.5.6売却@Book Off -
いよいよラスト
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薩軍と政府軍の死闘。薩摩ほどの手練でも大きく戦局を覆せない。政府の弾薬、装備の差は大きかった。加えて、補給といったものが政府軍は潤沢であった。火力、兵力で常に上回るという近代兵法の勝利ともいえる。そんな激闘に次ぐ激闘の巻であった。
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レビューは第1巻に
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上巻に同じ
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次から次へと、人が死ぬ。日本人どうしがなんでこんなに殺し合わなければならないのかと考えれば考えるほど戦争はばかばかしい。