- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167665012
作品紹介・あらすじ
新宿でオカマの「閻魔」ちゃんと同棲して、時々はガールフレンドとも会いながら、気楽なモラトリアムの日々を過ごす「ぼく」のビデオ日記に残された映像とは…。第84回文学界新人賞を受賞した表題作の他に、長崎の高校水泳部員たちを爽やかに描いた「Water」、「破片」も収録。爽快感200%、とってもキュートな青春小説。
感想・レビュー・書評
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ゴールデンウィーク中、家の庭の草むしりをしながらオーディブルで読む。
吉田修一さんのデビュー作である「最後の息子」含め3遍の短編が収録。
少し屈折してなかなかスカッとしない、
だからと言って希望がないわけではない、
そんな青春小説だ。
3遍の中では「Water」が好きかな。
♪(I’m)The End of the Family Line/Morrissey詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
芥川賞受賞以前、初期の作品集。三篇どれも好きだ。
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面白かった。
3つの短編どれも読み終わるとスーッとした。
どの主人公もとても順風満帆とは言えない生活の中で、周りを思いやり思いやられながら言葉を選び、周りと共存していく。
ちょっと荒み気味のガサついた心が癒された気がする。
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最後の息子で掴まれ、破片で引き込まれ、Waterで号泣
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実家が酒屋さんだったり、同性愛が登場したり、三篇少しづつ重なるところがあって、かなりの部分は実話に基づいているんかなと思った。(作者の実家が酒屋さんなのはインタビューに載ってた。)
三篇中、『Water』が一番読後感が良い。
最後の方の、400メートルメドレーリレーのスタート直前のいざこざが、張り詰めた緊張感の一つの表現形として楽しい。(ずっと気遣いしてたのに「ホモはあっち行っとれ!」て、身も蓋もない。。圭一郎が、「凌雲!この前、藤森が別れようって言うてきた。お前のことが好きらしか。俺に隠れてこそこそ人の女にちょっかい出しやがって」と口火を切ったのがどう見ても間が悪いので、しょうがない。。) 言葉遣いが、自分の地元とほぼ同じなので、すごく懐かしい気がした。自分の高校生活とは全然違うけど。 -
waterが好きでした。
青春ものって、自分の高校時代を思い出してそのあまりの充実のしてなさに悲しみを抱くので好んでは読まないのですがこちらは短編集なので必然的に読むことに。
登場人物から感じるエネルギーがとてもよかった。こんなに動きゃお腹すくよなっていうくらいに躍動を感じた。
それを言うなら2こ目の破片からもそれを感じた。
長崎の子供はよく動くなあ。私は文化部だったしここまで田舎ではなかったからもっと今風の遊びをしてたしもっと省エネで過ごしていたから、こんなによく遊びよく働きよく動く彼らを感じると爽快です。
それにしても私の青春とは全然毛色が違う。
生まれた環境で本当に価値観とかが変わるよなあ。
仕事にも部活にも女にも手を抜かず、ザ肉食系男子をを感じ、周りにはいなかったなあとしみじみ。
本当に都会の方は草食系が多いですね。よく言えば品のある感じ。
私は割と都心ではないにしろ郊外で、都心に近いところに生まれたこと、恵まれてるんだなと思いました。
表題作は一番解釈に悩まされます。だからこそ表題作なのかなと、吉田修一さんらしさが感じられます。
主人公がシンプルにダメ人間過ぎる。早く何かになっていただきたい。閻魔ちゃんの有無以前の問題。がんばれ。
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waterが吉田先生デビュー作とのこと、でこっから小説どんどん良くなってったんやなあと思うと、感慨深い。
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色々なことが見えていながらも見えてていないふりを続けながら生きていく青年像がよく伝わってきました。人に愛されかまわれるために多少のことは気にしななかったり許せないものに歯向かう意志など持ちつつも、色々なことを隠し隠しやりくりしたりどこか全力でやりきれない逃げがちな生き方にリアルさを感じました。