ミカ! (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 787
感想 : 136
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167679026

作品紹介・あらすじ

活発で男まさりのミカ。スカートなんてイヤ!おっぱいなんていらない!思春期の入口にたつ不安定なミカを、双子のユウスケがそばで見まもる。両親の別居、姉の家出、こっそり飼っていた「オトトイ」の死…。流した涙の数だけ幸せな未来が待っている。第49回小学館児童出版文化賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • みんなに「オトコオンナ」と言われ、
    活発で女の子扱いをされると怒ってしまう
    ミカちゃんと優しい双子のユウスケ。

    そんな二人が出逢うモグラによく似た、
    でも何者ともつかない動物。
    おととい出逢ったから名前は「オトトイ」。

    二人だけの秘密の場所でひっそりと
    子供の時間を共に過ごすオトトイ。
    悲しい涙を流した後にはなぜか大きくなるオトトイと
    吸い込まれるように不思議と消えている悲しみの感情。

    毎日の中で起きるうれしいこと、楽しいこと、悲しいこと。
    たくさんの感情を越え、自分でも知らずのうちに成長して
    少し遠くなり、1つから2つへと分かれていく双子たち。

    オトトイは、感情がこんがらがることから逃げた
    ミカちゃんの中で分離した悲しみのカタチで
    ぴったりと同じ世界に寄り添っていた
    ユウスケだけには共有できた世界なのかな。

    子供の心理描写も感覚も絶妙なバランスで書かれていて、
    懐かしさやあの頃のとまどいが読むごとに次々と蘇っては、
    一緒にわくわくしたり、悲しんだり。
    あの頃のあの気持ちはそういうことだったのかと気づいたり。

    過去の自分に教えられ、明日を迎える喜びで
    心がわくわくしてくる。私も元気に「おーい!」と
    未来の自分にエールを送り続けたい。

  • #ミカ
    #伊藤たかみ
    #文集文庫
    #読了

    これは児童書?YA?登場人物の子どもたちが生き生き子どもらしくて、思春期の心と体の成長がほほえましい。家庭内のごちゃごちゃもちゃんとあってホッとする。みんないろいろある。ユウスケとミカとオトトイとコウジ。そして解説文も面白かった。

  • 双子の小学生の可愛いお話。こんな子おったなーと思いながら読んだ。オトトイは結局何だったんだろう?

  • 子どもと秘密基地に連れていかれるような感じ。
    とても素敵な作品。

  • これはわたし的におすすめ。
    重松さんあたりの作品の主人公の男の子とはちょっと違って
    もうすこし鈍い男子であるところのゲーム大好きユウスケ。
    そしてオトコオンナでスポーツ万能のミカ。
    この二人は双子。
    二人の成長過程が素敵です。
    ネイティブ関西弁がなかなかいい。

    2012/06/30

  • 思春期の入口に立った子供たちの微妙な気持ちがとてもキュートに描かれています。本作品には心が暖かになる癒しがあるようです。児童文学なのですが、大人が読んでも、ちょっと疲れたときには、元気を取り戻すにはよいでしょう。ああ、癒されちゃう!

  • なぜ、女は女にならないといけないのだろう。

  • オトトイは結局何だったのだろう?
    ミカ×ミカを先に知ったので、小学生の話だと思わなかった。あとがきにも書いてあるけれど、大人が読んでも充分おもしろい。

  • 小学校6年の男女の双子、ミカとユウスケ。空手で鍛えて女になんかなりたくない男まさりのミカと、別居しているが離婚していない父、父親とケンカばかりする姉の間で、思春期のユウスケは揺れる。学校でも派手なミカに対してユウスケはパッとしない。そんなある日、ミカに連れられて団地のベランダの下に行くと、そこには謎の生き物が…。

    謎の生き物の存在感が強いので、そっち系の話かと思いきやそうでもないという、思春期の男女の好き嫌いや葛藤を描いた作品である。

    全体に小学6年生の視点であり、小学6年生が作文か何かで書きそうな話となっているため、わざと稚拙な文章にしているというところはあるのだろう。よく言えばズバズバと切れ味よいのだが、説明が足りていないため、序盤はかなり面食らってしまった。

    内容は小学生同士の葛藤の部分、煮え切らない父親と姉の確執、実の母親との関係など、普通のドラマとしても密度の高いものになっているため、小学生には読めるのかなあとも思うが(もともと児童文学である)、案外それくらいは普通な時代なのかもしれない。

    突っ走って、男子を叩きのめして、でも泣いてというミカの様子を、おとなしく冷静に、しかしうまく選択のできないユウスケが見守るスタイルで、ユウスケに感情移入できればわかりやすい内容だ。

    妙に関西弁だと思ったら、枚方から樟葉と、馴染みのある地名もでてきて、キャンプと言うと吊橋のあのへんかなあなんて思いながら読んでいた。

    続編もあるようで、そちらも読みたい。

  • 小学生の時、図書館で借りて何度も読んだ本。
    大学生になった今読んでも面白いし、小学校高学年の時のあの感じがすごく懐かしい。

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著者プロフィール

いとう・たかみ
1971年兵庫県生まれ。1995年、早稲田大学在学中に「助手席にて、グルグル・ダンスを踊って」で第32回文藝賞を受賞し作家デビュー。2000年『ミカ!』で、小学館児童出版文化賞、’06年『ぎぶそん』で坪田譲治文学賞受賞、「八月の路上に捨てる」で芥川賞受賞。主な作品に『ドライブイン蒲生』『誰かと暮らすということ』『 そのころ、白旗アパートでは』『秋田さんの卵』『ゆずこの形見』『あなたの空洞』など。

「2016年 『歌姫メイの秘密』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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