風に舞いあがるビニールシート (文春文庫 も 20-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167741037

感想・レビュー・書評

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  • それぞれの「譲れないもの」の短編集。
    自分にとって譲れないものはなんだろう、
    と考えるよね。
    欲を言えば一作目のケーキ屋さんのお話、長編で読みたいなあ、、

    表題作は最後涙腺が崩壊した。
    そういえば森絵都は児童文学しか読んだことがなかったな。

  • あなたが、今、毎日を生きる中で「大切にしているもの」は何ですか?

    なんでしょうね
    みなさんはありますか?

    犬の散歩
    「自分には関係ない、と目を背ければすむ誰かや何かのために、私はこれまでなにかをしたことがあるだろう?」
    この一文を読んで自問したけど、ないよなあ。
    保健所犬の保護?難民支援?
    うーむうむ。
    みなさんはありますか?

    ジェネレーションX
    いちばんすき。
    10年後にみんなでホッケーしようぜ!
    って約束するかなあ、しないよなあ。
    酒飲もうぜ!とはなりそう。

    風に舞い上がるビニールシート
    「価値観の違い」がこれほどまでに顕著に描かれる恋愛の話ってあまり読んだことがなかった。「大切にしているもの」がお互いにあって、それを理解しているからこそ自分の主張を押し付けられないし、相手の主張を飲み込めない。
    恋愛って大変ですわねえ。

    めちゃめちゃ取材して、調べた上で書かれている作品だなと思って、それぞれに興味がわいた。
    不空羂索観音とかUNHCRとか

    • Okonomiechan24さん
      杉浦圭22歳 恋の難しさを本で改めて感じる。価値観の違いを感じるまで誰かと付き合ってみたかった大学生活。
      僕も最近恋の難しさを感じています。...
      杉浦圭22歳 恋の難しさを本で改めて感じる。価値観の違いを感じるまで誰かと付き合ってみたかった大学生活。
      僕も最近恋の難しさを感じています。心に決めていた女(ひと)がいたのに、どこからともなく風のように急に現れた大天使。葛藤→葛藤→諦め→希望→絶望→葛藤→いてもたってもいられなくなって、夜に駆ける。
      そんな淡くて切ない残りの大学生活を楽しみます。
      2020/10/10
  • 何で見たんだろうなぁ、ちょっと思い出せないのだけど、何かのきっかけでこの本を未読だったのに気がついた。

    美濃焼、捨て犬保護のボランティア、大学の二部の世界、仏像修復師、UNHCR。
    色んな題材について長編に出来るほど調べ上げ、そこから削ぎ落して短編に仕上げたような話が6つ。
    いずれの話もそれなりに読み応えはある話だったが、私はもうひとつ興に乗ることが出来ず、ラストがもうひとつ腑に落ちないあるいはそこまでの展開の割には平凡と感じる話が多かった。
    私に一番テンポも落ちも良く感じられた話が、特段深く調べることもなかったような「ジェネレーションX」というのが皮肉。

  • 11月から読書以外のことに時間を費やすようになって、スッカリご無沙汰でした。だいぶ前にBOOKOFFで買って積んであった中からこの本を取り出してきました。
    え!これ、ほんとに森絵都が書いた本か?
    というのが、はじめの感想。
    全く同じことが、文庫本のあとがきに書いてあって笑ってしまいましたが。
    「カラフル」しか読んだことがなかった私にとって、森絵都は少しファンタジーだけど、ヒトの奥底にある感情を気持ち悪いくらい表現する作家って感じでしたが、この本では、もっと硬派なイメージを持ちました。
    タイトルにある「風に舞い上がる…」を含めてに6つの短編が収められてます。どれも、何かにこだわって生きてきる人が出てきてれその転機となるような事柄が描かれてます。タイトル作がラスト何ですが、久々に読んでて泣いてしまいました。
    歳のせいですかね。
    第135回直木賞受賞作

  • 直木賞受賞作品だからという軽い気持ちで読み始めたが、短編の1つ目の「器を探して」から森絵都さんの世界観に引き込まれた。
    どの話も異様なまでに自分を引き寄せ、読み進めていくことがある種の快感とまでに至ったが、何がそこまで自分の心を動かしているのか、解説を読んで初めてそれを認識できた。附に落ちた。
    この本の柱となっているのは、物語の登場人物がそれぞれ抱いている、自分にとって大切なもの、なくせないもの、譲れないもの、である。その‘何か’を懸命に守り、時には捨て、時には思い出しながら、懸命に生きていく彼らの人間らしい姿。それに魅了され、刺激され、感情輸入しながら読み進めたため、このような痺れるような激しい高揚感と言ったらいいか、衝撃というか、なんというか不思議な感覚に囚われることができた。
    とにかく読んで欲しい、短編全てに力があり、魅了される。自分の惚れた本をぜひ他の人にも手にとって欲しいと感じた。レベチ。

  • 昔読んだ作品で、レビューが書けていないものを再読。
    恐らく10年振り。

    なのに覚えている話が多くてビックリ。

    「守護神」
    一番好きな話。
    パーフェクトなレポート代行スキルを所持するニシナミユキなる人物。
    彼女にレポートを書いてもらうべく、都市伝説に挑戦し、ようやく出会えたのだが。
    そう、ここからが面白い所で、祐介は単に面倒だからレポートを代わりに書いてもらいたかったわけではなく。
    彼に潜む、それこそニシナミユキを凌駕するほどの古典知識と視点に、逆にニシナミユキが引く、という展開に。
    ただ、『伊勢物語』やら『徒然草』に本気で挑みかかろうとする祐介から目が離せなくなる。


    『風に舞いあがるビニールシート』全体に通じるのだが、ギャップ萌え要素が甚だしい。

    「器を探して」でも、尊敬する女パティシエと、結婚を迫る彼氏の間でアタフタしているかと思いきや、器に出会ってからの主人公の様子が一転する。

    「犬の散歩」では義父が、「鐘の音」では仏にまつわる真実が、鮮やかに転換して話を面白くさせる。
    ラスト〜ページで世界は一気に、みたいなミステリーあるあるのオビを付けても、きっと違和感はない。
    それでいて、ギャップに笑えるところが素敵だと思う。

  • 他と比較するのも馬鹿らしくなるほど高い技術力で構築された作品
    読者の読みたい範囲とみたいと思う範囲の見極めと
    そこへの投げ込み方が上手過ぎる

  • 自分だけの価値観を守り、お金よりも大切な何かのために懸命に生きる人々を描いた短編集。

    直木賞受賞作品ということで読んでみました。読み終わった時は、小説全体の統一感があまり無いように感じました。解説を読んで納得はしましたが、そのテーマを前面に押し出すような内容ではなかったと思います。

    森絵都さんは児童向け文学を中心に書いている印象があったので、イメージが変わりました。もう少し自分が年をとって、登場人物たちと同じ境遇を経験してから読みたかったです。

  • 彼氏、会社、夫婦生活といったとても大切なものよりも、自分 ならでは のそれよりも大切なこと。他人は 何でそんなことを? と思うかもしれないが、その人にとって それは譲れないもの。損得でなく自分の信念を貫く彼らの生き様は素晴らしい。応援したい。それは自分が真似できないからだと思う。

  • アナ太郎と犬は私にとっての牛丼にツボりました。善良で誠実でありたいと願って暮らす日常で、どんなに話し合っても考えを巡らせても正誤が決められないことはある。いろんな出会いを経て、覚悟を決めて懸命に歩いてゆく美しい人々の物語。直木賞作品です。

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著者プロフィール

森 絵都(もり・えと):1968年生まれ。90年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞及び産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞、06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、17年『みかづき』で中央公論文芸賞等受賞。『この女』『クラスメイツ』『出会いなおし』『カザアナ』『あしたのことば』『生まれかわりのポオ』他著作多数。

「2023年 『できない相談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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