中上健次の生涯 エレクトラ (文春文庫 た 79-1)

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  • 文藝春秋
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (463ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167773908

感想・レビュー・書評

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  • 本人を知っている関係者がまだ多く存命されているので、なかなか丹念に証言を拾ってあり、読み応えがありました。部落出身ということもあり、中上作品は私小説的な作品が多いので、実際の生い立ちを把握していると、作品に対する読み方もまた変わってきますね。「岬」なんかは、この本を読んでから読んだほうが理解が深まったかも。

  • 中上健次の評伝。

    力作だった。もっと早く読めばよかった。と、思うほどいいノンフィクションだった。
    なにより高山さんの文章が読ませる。

    中上健次の生まれた紀州。被差別部落での生活。生い立ち、上京して新宿での荒れた生活。編集者との出会いと小説をめぐるせめぎあい。どれも丹念に取材していることがわかる。でないとここまで書けない。構成も素晴らしい。冒頭から読者をストーリーのなかへ引きずり込む。だからグングンと読み進めてしまう。



    中上健次が生まれ抱えてきたもの。それを文学へと昇華する過程での苦しみや葛藤は読んでいて胸に迫る。
    とくに印象に残っているのが、河出書房の編集者・鈴木孝一と中上健次との小説をめぐる厳しいやりとりとせめぎあい。鈴木は何度も原稿の書き直しを健次に命じ、何度も没にした。「あんたの顔が鬼に見えたよ」と健次に言わしめるほどの厳しい編集者だ。彼がいなければ中上健次はどういう作家になっていただろう、と思えるほどだ。ものを創りだす者たちの火花散らす真剣勝負のその様に何度か目頭が熱くなった。


    もう一度中上文学を読み直そうかなぁ。

  • 2012/6/10購入
    2012/10/27読了

  •  冒頭における、未発表小説『エレクトラ』をめぐる編集者との緊張感あるやりとりから、文字通り引きずり込まれるようにして一気に読了。
     パッシング、新宿ジャズ喫茶での日々、永山則夫への想い、柄谷行人との出会い、路地…。非常に読み応えのある濃密な評伝だった。
     また、ここに描かれた中上健次の生涯を通して、自分の才能と向き合うとはどういうことかということを考えさせられた。

  • 家族とは、人間とは、生きるとは何か考えさせられました。
    何という壮絶な人生。中上作品をぜひ読んでみたいと思います。

  • 同時代人といっていい中上健次にこれまで意識を向けなかったことが悔やまれた。

  • 路地の兄がここにいる。新宮の兄がここにいる。

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著者プロフィール

1958年、宮崎県高千穂町生まれ。法政大学文学部中退。2000年、『火花―北条民雄の生涯』(飛鳥新社、2000年)で、第22回講談社ノンフィクション賞、第31回大宅壮一ノンフィクション賞を同時受賞。著書に『水平記―松本治一郎と部落解放運動の100年』(新潮社、2005年)、『父を葬(おく)る』(幻戯書房、2009年)、『どん底―部落差別自作自演事件』(小学館、2012年)、『宿命の子―笹川一族の神話』(小学館、2014年)、『ふたり―皇后美智子と石牟礼道子』(講談社、2015年)など。

「2016年 『生き抜け、その日のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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