周防国五重塔縁起 見残しの塔 (文春文庫 ひ 25-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167801670

感想・レビュー・書評

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  • 作者はなんと齡84。きっかけは山口県の瑠璃光寺(香積寺)の五重塔から発見された巻斗。それに書かれた年月日と作者の花押に触発された作者が14年もの時を費やし調べ、4年の歳月をかけて書き上げた歴史小説。亡くなったご主人のお母様が若狭新田家の出とのこと。先祖への敬意を払ってか、若狭新田家の人々と想像上の人物達が五重塔建立に立ち会うことになる。
    主人公の若い二人をとりまく人たちもみな暖かく、本当の意味での悪人がでてこない。古きよき(とっても古いけど)日本へのノスタルジーともいえる。番匠たちの生き様も面白い。普請の工程を詳しく描いているわけではなく、そういった意味では火天の城のほうが秀逸であったが、これは若者の成長の話とそれを取り巻くさまざまな人々の思いを「見残し」として塔に象徴させた話。作者の、登場人物たちへの愛情が感じられた。

  • 解説者がな

  • 面白くて一気に読みました。まるで見てきたかのような語り部で、宮大工仕事の細やかな描写など唸るばかり。登場人物が活き活きとしていて、とても面白かったです。

  • 大内家に連なる友人から薦められて読み始めた。最初のうちは話が諸方に飛び、集中出来ずに2年以上放っておいたが、最近になって手許に読む本が無くなり、風邪のために本屋に行けず、仕方なくこの本を手に取った。相変わらず多くの場所が舞台となり、人物も多出して読むのに苦労したが、次第に展開が速くなり、物語に集中することができた。だが、相変わらず登場人物が多く、それこそそれぞれの家系図でも書かなければ、その人物像が浮かんでこない。それらの点を除くと、次第に展開が早まり、迫力さえ感じる様になる。話の筋立てをもう少し工夫すれば、もっと面白く読めるだろう。

  • 綺麗な日本語で構成された文学

  • 中世の番匠が五重塔造成に携わる姿を描いた題材は面白い。残念なのは文章のリズムが今ひとつな所。若干引っ掛かりを感じて読みづらい。

  • 実は単行本で途中まで読んでいた本です。昨年の山口行きまでには読み終えるつもりだったのですが、読書が文庫、新書中心であった僕は途中で挫折。
    昨年、山口県文書館で貴重な資料の大海の中に、羅針盤も無いどころか目隠しをして木っ端に捕まって漕ぎ出したあげく、あえなく沈没。毛利家に浅海という家臣が居たことだけを成果にトボトボと歩き出した僕は次の目的地、そう、瑠璃光寺まで歩きました。

    ああ、美しかった。四方から眺めました。行ったのは五月の連休中でしたが、四季折々美しい姿を魅せてくれるであろうことが容易に想像出来ました。荒天にあっても美しいでしょう。

    本書を読み終えてからこの塔を観ていればまた違った感想を持っていたでしょうね。読み終えたらまた山口を訪れる機会をもちましょう。今、JRの山口県をPRする駅貼りのポスターにこの五重塔が配されていますが、実物はもっと美しいですよ。

    二人の主要登場人物が交互に描かれていたり、時に過去に戻ったりする記述がちょっとばかり読みにくいところがあるかもしれませんが、文庫で読み直してみるとあまり気になりませんでした。今半分くらいでまだ二人の運命はすれ違っていませんが、先がたのしみです。実は同じ著者の次作も単行本で買ってあるのですが、勢いがつけば単行本でも読んでしまうかもしれません。
    読了。
    後半は少し駆け足のような気もしますが、著者のこの物語を伝えたいという熱気にあてられました。やはり好きです。何処かに埋もれている次作単行本も探し出さなくては。

  • うーん。89歳文壇デビュー作という事で期待値が高過ぎました。場面転換に付いていけない部分が何ヶ所か有った点、何人かの登場人物の行動に???な所が有ったなど、まだまだ稚拙に感じられました。題材は好きなんですけどね。

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