狂言サイボーグ (文春文庫 の 17-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167838454

作品紹介・あらすじ

「のぼうの城」で大注目を集める著者の名著!狂言におけるカマエとは「隙なく立つこと」。「胸で見る」極意から演者のもつ「背中」の重要性まで、身体文化の深淵に光をあてた本。

感想・レビュー・書評

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  • 祝文庫化!

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    「「のぼうの城」で大注目を集める著者の名著!
    狂言におけるカマエとは「隙なく立つこと」。「胸で見る」極意から演者のもつ「背中」の重要性まで、身体文化の深淵に光をあてた本。 」

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    「著者にとっての教養とは、「生きていくために身につけるべき機能」のことである。狂言師が舞台をつとめるための教養は「型」である。その「型」を個性・経験でアレンジしながら使っていくことで表現になる。これが狂言の一つの道筋である。時空を超えて疾駆する狂言師「萬斎」はこうして造られた。 」

  • やはり尊敬、敬愛します、萬斎様。
    進化し続ける「狂言サイボーグ」とはカッコいい!

    文庫版あとがきが息子への思い、狂言の家に生まれた重責、泣けた。
    あと解説を読んで私のやっているヨーガにも狂言は少し通じるところがあるな、とうれしくなった。
    まず型があって、心にも通じること、常に丹田に力を入れるのが肝心なことetc

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「まず型があって」
      狂言と言う芸が培ってきた「極意」を披露してくださってる訳ですよね。まぁ読んだだけじゃ簡単に会得は出来ませんが、心得として...
      「まず型があって」
      狂言と言う芸が培ってきた「極意」を披露してくださってる訳ですよね。まぁ読んだだけじゃ簡単に会得は出来ませんが、心得として頭の隅に置いておけば役に立つ(と思う)。
      2013/02/05
  • 二世・野村萬斎(1966年~、本名:野村武司)氏は、狂言方和泉流の能楽師・俳優・演出家。二世・野村万作と詩人の阪本若葉子の長男。東京藝大音楽学部邦楽科能楽専攻卒。重要無形文化財総合指定者。
    萬斎氏は、1970年、3歳のときに初舞台を踏み、中学では自由さを求めて部活動や音楽活動に熱中したものの、1984年、高校3年生のときに演じた『三番叟』で狂言の面白さに目覚め、狂言師の道に進む決心をした。
    その後、1985年、黒澤明監督作品「乱」に出演、1987年、「ござる乃座」主宰(以後年2回)、1990年、「ハムレット」主演、1994年、曾祖父の五世・野村万造の隠居名「萬斎」を襲名、NHK大河ドラマ「花の乱」に細川勝元役で出演、文化庁芸術家在外研修制度で1年間英国留学、1997年、NHKの朝の連続テレビ小説「あぐり」に望月エイスケ役で出演、2001年、滝田洋二郎監督作品「陰陽師」で初主演、2002年、世田谷パブリックシアター芸術監督に就任。2003年、NHKの「にほんごであそぼ」出演開始、2004年、アテネで上演された蜷川幸雄演出の『オイディプス王』で主演、2008年、東大教養学部非常勤講師、2011年、文部科学省日本ユネスコ国内委員会委員に就任、2021年、公益社団法人全国公立文化施設協会会長に就任等、国内外で多数の狂言・能公演に参加するほかに、現代劇、映画、TVドラマ・番組に出演するなど、幅広く活躍している。日本アカデミー賞優秀主演男優賞、ブルーリボン賞主演男優賞等受賞。
    本書は、萬斎氏が、身体や感覚、伝統と装束等、様々な観点から狂言について綴った文章と、1987~2000年の「ござる乃座」のパンフレットの掲載文をまとめた、所謂エッセイ集である。2001年出版、2013年文庫化。
    私は、芸術でも科学技術でもビジネスでもスポーツでも、一芸に秀でた人の伝記・半生記やエッセイが好きで、本書も、新古書店で偶々見つけ手に取った。
    一読して、これまでほとんど知識のなかった狂言について、身近に感じられるようになったし、なぜ萬斎氏がこれほど各方面から引っ張りだこなのかが良くわかった。そして何より、解説で斎藤孝が「「型」とは先人達が残した最高の教育プログラムだ。反復練習で身体に埋め込むことにより、誰もがその達人になれる」、「この「身体が基盤としてあって、そのうえに感情や心がのってくる」という順番にこそ、型の威力がある」と書いている、「型」の大切さが理解できた。(その「型」の大切さ故、著者は自らを「サイボーグ」と称している) そして、この「型」というのは、映画にもなった森下典子の『日々是好日』で、樹木希林が演じた茶道の師匠がその重要性を繰り返し、内田樹が『日本辺境論』の中で、日本特有の「最も効率のいい学びの方法」であると書いているように、日本の古典芸能や、武道・茶道・華道などの所謂「○道」と呼ばれるものに共通するものなのだ。
    ただ一方で、残念ながら、狂言を是非見てみたいとまでは思わなかったのだが、それは、本書が狂言について幾分かの知識や関心を持っている人に読みやすく書かれているからである。(本書には、狂言の役には「シテ」、「ワキ」、「囃子方」があって・・・というような基本的な説明はない) 萬斎ファンにとっては、萬斎氏の様々な考えがわかって面白いのであろうが、私にはそこに至るベースが少し足りていなかったようだ。
    機会があれば、狂言に限らぬ日本の古典芸能について、もう少し深く知りたいと思った次第である。
    (2023年2月了)

  • 足、背中、胸など体の各パーツに焦点を当て、狂言を構成する様々な要素と姿勢を綴ったエッセイ。

    ご本人の狂言を何度か拝見したことがある。舞台上には最低限の小道具のみ、化粧も一切せず袴をシンプルに着こなした役者の方々が、体の動作のみで見えない襖を開け、見えないご飯を食べつつ、舞台全体を演出する。小難しいと思っていた狂言に引き込まれ、気付けば笑いを必死に我慢するほど楽しませてもらったことを思い出した。
    観客を夢中にさせるためには日々鍛錬と研究。伝統を重んじながらも新しい狂言のかたちを模索する萬斎さんのストイックな姿勢が素直に綴られ、終始興味深く読み進められた。狂言を愛し、広く広め、沢山の人に楽しんでもらいたい。そんな想いが狂言の敷居を良い意味で下げてくれているのだと思う。芸に向ける姿勢は芸の世界だけでなく私たちの日常にも通ずる点が沢山あり、なるほどと唸るものがあった。
    掲載された写真も含めて、日本の伝統芸能の魅力に触れられる1冊です。

  • 法螺侍が気になるな 萬斎さんの顔が好み♡

  • ござるの座の新春講演を見に行って、ロビー販売で即座に購入。そのくらい、舞台に興奮した。流石に写真集は思いとどまったけれど、いつか買うと思う笑 子供の教育とプログラミングの話は至極納得。狂言にとどまらず、演者側から見た舞台のお話など、興味深かった。その中で一番好きなのは文庫版あとがきで書かれている息子さんとのやり取り。胸がすく思いがした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「舞台に興奮した。」
      良いなぁ~生では拝見したコトない。
      目の力も、声の響きも。勿論所作も素晴しいですよね。
      「舞台に興奮した。」
      良いなぁ~生では拝見したコトない。
      目の力も、声の響きも。勿論所作も素晴しいですよね。
      2013/01/23
  • 狂言の身体の使い方など
    興味深い所があった

    世襲の家に生まれて
    増長したり
    押し潰されたり
    する事もなく
    次のステージに向かえる人
    強いなぁと思う

    主人の本棚から拝借

  • タイトル買い!型といったデジタルな表現方法をアナログな人間がこなす。

  • 狂言の身体の使い方に興味があったので読んでみました。

    ただ骨盤を上向き、下向きにするという表現がどちらが骨盤前傾なのか後傾なのかわからない。

    あとでネットで調べたらどうやら骨盤を下向きというのは骨盤前傾のことらしい。

    狂言の姿勢等もう少し詳しく説明があったらよかったな。

  • 「野村萬斎」としての彼しか知らなかったので、目次を見てまず「あ、襲名前は『武司』さんだったのか」と思うなど。
    序盤の方の文章はちょっと読みにくいなと感じた部分もあったけれども、やっぱり自分とまったく異なる生い立ちで、視界も視線も異なる方から見た色々なものごとの話は面白い。

    10〜20年前くらいの話がほとんどだったんだけど、狂言についてはもちろん、野村萬斎についてもあまり知らなかったので、色々面白かった。
    面白そうな舞台の話が満載で、舞台行きたくなってしまった…。

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著者プロフィール

野村萬斎(のむら・まんさい):1966年東京生まれ。狂言師。祖父、故六世野村万蔵および父、野村万作に師事。重要無形文化財総合指定者。東京藝術大学音楽学部卒業。三歳で初舞台後、国内外で多数の狂言・能公演に参加、普及に貢献する。また、現代劇や映画、テレビドラマなど多数の作品に主演、古典の手法を駆使した作品の演出も多数手がける。1994年に文化庁芸術家在外研修制度により渡英。芸術祭優秀賞、紀伊國屋演劇賞など受賞多数。2002年から22年まで世田谷パブリックシアター芸術監督。現在、東京藝術大学客員教授、石川県立音楽堂邦楽監督、全国公立文化施設協会会長。主な著書に、『萬斎でござる』(朝日文庫)がある。

「2023年 『狂言サイボーグ 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

野村萬斎の作品

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