足、背中、胸など体の各パーツに焦点を当て、狂言を構成する様々な要素と姿勢を綴ったエッセイ。
ご本人の狂言を何度か拝見したことがある。舞台上には最低限の小道具のみ、化粧も一切せず袴をシンプルに着こなした役者の方々が、体の動作のみで見えない襖を開け、見えないご飯を食べつつ、舞台全体を演出する。小難しいと思っていた狂言に引き込まれ、気付けば笑いを必死に我慢するほど楽しませてもらったことを思い出した。
観客を夢中にさせるためには日々鍛錬と研究。伝統を重んじながらも新しい狂言のかたちを模索する萬斎さんのストイックな姿勢が素直に綴られ、終始興味深く読み進められた。狂言を愛し、広く広め、沢山の人に楽しんでもらいたい。そんな想いが狂言の敷居を良い意味で下げてくれているのだと思う。芸に向ける姿勢は芸の世界だけでなく私たちの日常にも通ずる点が沢山あり、なるほどと唸るものがあった。
掲載された写真も含めて、日本の伝統芸能の魅力に触れられる1冊です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
芸能
- 感想投稿日 : 2014年2月9日
- 読了日 : 2013年12月29日
- 本棚登録日 : 2013年12月7日
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