日本の血脈 (文春文庫 い 88-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167838645

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  • 小泉進次郎、香川照之、中島みゆき、オノヨーコ、紀子妃、美智子妃などの有名人の祖先から繋がる血脈。
    今の彼らがどのように育ったか、あるものは親に従い、あるものは親に逆らい生きてきた。
    人に歴史あり、それぞれがドラマになりそうだった

  • 文藝春秋の連載「現代の家系」を加筆して文庫化、各編とも改題されているのだが連載中の題と比べるとよく錬られている。

    2011/2 女系家族「小泉進次郎と生き別れの母」
    2011/4 癒されぬ子供「香川照之 父を恋ふる半生」
    2011/10 哀しき父への鎮魂歌「中島みゆき 題は同じ)
    2011/8 土地の亡者と五人の女「堤一族を呪縛する五人の女」
    2012/4 ひとりぼっちの豪邸「小沢一郎 秘密の多すぎる家族」
    2011/12 影を背負って「谷垣貞一 陸軍謀略期間の祖父から届いた『千文字」」
    2011/6 流血が生んだアート「オノ・ヨーコ 安田財閥の血と芸術の血」
    2012/8 遅れてきた指揮者「小沢征爾『世界のオザワ』を育てた三人の父」
    2012/12 皇室で掴んだ幸せ「秋篠宮紀子さま研究 祖母譲りの適応力」
    2012/10 母が授けた改革精神「美智子さま 母から受け継いだ改革精神」
    そしてこの本に収録されなかったもう一遍が勝海舟の曾孫ではなかった財務事務次官、勝栄二郎2012/2月号にあたるのだろう。また連載順ではなく入れ替えているのも美智子妃でラストを飾るのがふさわしいと思えたからか。題名を見れば批判的かどうかが想像がつくように、おっさんたちには厳しい。

    伝記は面白い。ノンフィクションでも主人公にあたる人物が登場するとだいたいどのように育ったかから始まり、親の代から追いかける事もしばしば見られ伝記的な部分は必ずある。これが週刊誌の有名人の家系を追いかける企画になると下世話になりがちなのだ、例えば佐野眞一の橋下・朝日騒動が典型例だ。しかしNHKですらファミリーヒストリーで芸能人のルーツを追ってるのだからこれは人気の高いコンテンツで後はどういう切り口で処理するかだろう。堤康次郎のなんかはどうやってもきれいな話にはならないけど。

    それにしても2ヶ月おきにこれだけの取材をこなすのはなかなか大変そう。誰を取り上げるかというのも毎回思い悩んだと後書きに書いてあるが、話題の人であっても「現代の家系」としてはまるかどうかは記録が残ってるかどうかとか、それなりにドラマがあるかとか条件が当てはまるかどうか。例えばホリエモンだとゼロを読む限りはまりそうにない。さすがにどの章も「おそめ」と比べると濃密さにかけるが2ヶ月だもんねえ。

    面白かったのが谷垣貞一の母方の祖父、影佐貞昭陸軍中将の話。森川久美の「蘇州夜曲」「南京路に花吹雪」を思い出したが上海で国民党No.2の汪兆銘を口説き、2年以内に日本軍が撤退する事を条件に親日政権を樹立する事で合意した。しかし、近衛文麿の声明では撤退には全く触れられずその後汪兆銘は南京政府を作ったものの国民党からは裏切り者として扱われ死後に墓をあばかれている。影佐は中国に染まり過ぎとラバウルに左遷させられ、ここで初孫貞一の誕生の知らせを受け、そのまま終戦を迎えた。谷垣さんこの章では影が薄いのです・・・

    中島みゆきの章は読みながら歌を思いだす。育った町岩内のあたりは「海鳴り」「朝焼け」「断崖〜親愛なる者へ」全体のトーンとしては「根雪」。そして脳溢血で倒れた父親の病室で作りそこから向かったポプコンで歌ったのが「時代」

    また小泉進次郎、香川照之、堤一族、小沢一郎の各章では取り巻く女性たちのコントラストが興味深い。

  • 【著名人の家系をたどれば、この国のかたちが見えてくる】小泉進次郎、香川照之、中島みゆき、美智子妃――。政財界、芸能界から皇室まで、注目の人士の家系をたどった連作ノンフィクション。

  • 波乱万丈の中にタフな粘り強さが見える。

  • この本の隠れたテーマは血脈のなせるドラマなどではない。いうなれば「血脈への自意識」が生んだドラマだ。その観点では堤康次郎、小泉純一郎、小沢一郎、香川照之の章が抜群に面白い。評する対象への著者の突き放した視線がある。逆にオノ・ヨーコや秋篠宮紀子妃のパートは退屈だった。

  • ある知人が「人に歴史あり」を座右の銘にしていたがまさに、連綿とした歴史が人を作っていると実感。
    政治家の巻よりも、中島みゆきとオノ・ヨーコの巻がたいへん興味深く思う。

  • どんな人も、突然この世にやって来たわけではなく、流れている歴史の中の、一点なのだなぁ、と思う。どんな流れの中に生まれつくかは選べない。生まれついた流れの中で、どう生きるか、選べるように思っていたけれど、それは結構難しいのだなぁ、とも思った。そして、自分の一点が作る流れは、子どもの新たな一点につながっていくのだ。
    背景を知ると、その人が、今までとは違った見え方になるものだ。

  • なんとなく、噂で聞いたことのあるこの本。
    てっきり、取り上げられている人一人につき一冊本が出ており、その中のいいとこどりをして纏めたもの、と思っていた。そのくらいに各章の題名が有名だったんだな、と思う。

    実業家にも政治家にも疎いので、ましてやその家族に至っては知らない人だらけだったけれど、どの人を振り返る時にも大抵戦争が付きまとうというのが不思議な感じだった。確かに私の祖母も戦争経験者であるし、ちょっと振り返るとそこにあたるのだろうと思うけれど、生まれも育ちも平和な私の日々と、どこでそんな接点があったのかと感じてしまうのは危険なことなのかもしれない。

    この本を読んで、勝手なイメージと実際との違いや、舞台背景のようなものが分かって面白かったけれど、人間関係の複雑さがすごすぎて相関図があっても結局本人の部分以外は全然頭に入ってこなかった。

    歌舞伎好きの友人から香川さんの初舞台の話を聞き感慨深く思っていたけれど、違う見方もあったんだなーと思ったり、この本を読む前に読んでいた職業外伝の刺青の章でチラッと出てきた小泉さんの祖父の話などは読めて面白かった。

  • 2013年9月22購入

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著者プロフィール

太田・石井法律事務所。昭和61年4月弁護士登録(第一東京弁護士会)。平成30年経営法曹会議事務局長。専門分野は人事・労務管理の法律実務。

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