- Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167838942
作品紹介・あらすじ
これ一冊で、あなたも立派な時代考証通!NHK番組の時代考証を手がける著者が、身内の恥をかえりみずに指摘する「間違いだらけの歴史常識」。目からウロコの薀蓄が満載。
感想・レビュー・書評
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NHK-TVのドラマ番組部チーフディレクターで時代考証担当でもある著者が10年間に渡って作成してきた「考証メモ」の中から何度も繰り返し指摘したものや役に立つこと等を纏めて制作現場に提供したものを一般向けに直して出版したもの。
元が現場用のマニュアルだからアカデミックに突き詰めたものというよりも「○○したほうが無難」とか「○○が適切」等の表現が面白い。
メンマの項目は特に受けた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大河ドラマや時代劇を見る際に、参考にしたい。
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所変われば品変わる、という。時が変わればもちろん、風習・風俗も変わる。
現代において、時代劇の舞台をそれらしく見せるためのお膳立てとして欠かせないのは「時代考証」である。
この時代、このような道具があり、このような言葉遣いをしていた、あるいは反対に、こんなものはなかった、こんなことは言わなかった、という点を押さえておかないと、飛んだ噴飯ものができあがってしまう。
極端な話、江戸の道に電柱が立っているのが見えたら、ストーリーがすばらしくても、俳優が熱演しても、鑑賞する側は興ざめするに違いない。
そんな違和感をなくそうと勤めるのが考証担当の仕事である。
本書の著者はNHKのドラマの考証を担当する人物である。大河ドラマなど、いわゆる時代劇はもちろんだが、戦前・戦中、さらには東京五輪のころまで考証の対象になるんだという。
平成生まれの我が子に「お母さんて昭和『時代』に生まれたんだよね」といわれてずっこけたことがあるが、なるほど、昭和も遠くなりにけり、というところか。言葉もファッションもころころ変わることを思えば、考証を要する時代もどんどんと下っていくわけだ。
タイトルは源信の『往生要集』に倣っているという。特に関連はないと思うが、著者の好きな本だというところか。
中身は用語集風である。五十音順で、項目ごとに豆知識をまとめている。
風俗・食べ物・言葉など、ジャンルは多岐に渡り、時代も平安から昭和までと幅広い。
トウモロコシがいつ日本に入ってきて何と呼ばれ、一般的に食されるようになったのはいつか。
花魁と太夫の違いは何か。
槍が発明されたのは南北朝時代であるので、清盛の時代に「横槍が入る」という台詞は使えない。
変わったところでは「姑の毒殺法」なんていう項目もある。ローマ時代からあるトリックらしい。
項目の羅列であるので、通読するというよりは、細切れ時間に読むのにちょうどよい本だろう。ぱっと開いた頁を数項目読み、へぇぇと思うといった読み方に向いている。
著者によれば、時代劇はファンタジーなんだそうである。史実を並べるだけはおもしろくもなんともない。史実を取り入れつつ、お話としておもしろいものにするのがドラマだ。そんな中での考証の極意は「へんなものを出さないこと」だという。
考証に当たるには、広く、雑学的な知識を仕入れることが大切であるようだ。重箱の隅も縁も真ん中も、全方向をカバーする考証。
ファンタジーを重厚にする陰の役者である。
*本書では取り上げられていないのだが、今やっているドラマで、「秀吉様」とか「信長様」とか盛んに言っている。あの時代、諱はむやみと呼ばないんじゃなかったっけ・・・? あれ、少し気持ち悪いなぁ・・・。中身は結構おもしろく見ているのだが。 -
言葉や物、慣習など、おかしなものを作らないために気をつけないといけないことは、山のようにあることがわかる。
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やや期待していたものとは違ったけどそこそこ楽しめた。
2024-013 -
NHKの大河ドラマや朝ドラ、歴史ドキュメンタリーなど番組制作時に欠かせない時代考証のノウハウを語句のアイウエオ順に事典形式でまとめたもので、時代劇ファンにはたまらない本。もともとはNHK職員向けに作成された内部資料なのでパッと引けて読みやすい。時代考証は大事だけれど、そのためにドラマがつまらなくなっては元も子もないという著者のスタンスに激しく同意。時代劇を見る時に「史実とは多少違っていても、その方が面白い場合もある」という寛容な考え方を持っていた方がドラマをより楽しめるのは必然だ。と同時に、「NHKにしたり顔で間違いを指摘してくる視聴者って相当多いのだろうなあ」とちょっと気の毒にもなり、そこら辺を匂わせる記述にニヤリとしてしまう。
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テレビの時代劇。
時代考証を担当する「先生」以外に、テレビ局のスタッフの側でも担当がいるらしい。
本書の著者は、NHKでそのような仕事にかかわってきた人。
「歴史の隙間産業」と自称する。
後輩たちの参考に供するための、これまでの資料を書籍化したそうだ。
まず、タイトルにやられた。
元は源信の『往生要集』だが、ここにあるようなことを抑えていないと、まさにそのドラマが「往生」する。
たしかに、一向一揆のの農民が掲げているのぼりに「南無阿弥陀仏」と新字体で書いてあったら、合戦シーンにセイタカアワダチソウやヒメジョオンが映り込んでいたら、と思うと笑える。
扱う範囲は幅広い。
服装、食べ物、葬儀などの習俗、立ち振る舞い、言葉遣いなど多岐にわたる。
それが、「戦国時代まではNG、それ以後OK」などなど時期により判断が変わる。
演出上時代と異なることを映すと、歴史マニアから批判される。
しかし、ガチガチの歴史第一主義でドラマ を作ると、一般的な人の共感を得にくくなる。
そんなジレンマもあるようだ。
こんなお仕事があるのね~、と感心する。
言葉の問題(漢語で明治以後にできたもの)の指摘が多いのが印象的だった。
あとは、赤青鉛筆が西洋兵学で、味方は赤、敵を青で書く必要から生まれたという話など、面白かった。
続編も出ているようだ。
機会があったら読んでみたい。 -
用語・言葉遣いの考証。
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時代考証というとセット的なモノを考えていたが、案外言葉の使い方でボロが出る事が分かる。