春から夏、やがて冬 (文春文庫 う 20-2)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901134

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  • 初めての歌野晶午作品

    「春から夏、やがて冬」
    題名も意味深で、読む順番としては合ってたのか?

    登場人物ー平田誠は自分の名前平田の「平」は平凡の「平」だと自負していた、
    スーパーの保安担当、ある日万引きした末永ますみを二度としないというところで許してしまった、
    彼女は同居人から酷いDVを受けている、そこから始まっていく〜

    末永ますみの語り口がいやだった。いかにも今時かもしれないが
    「サーセンシタ」ーすみませんでした
    「アリアタッシタ」ーありがとうございました。
    主人公平田は高校2年生の娘を交通事故でなくしている、犯人は不明のまま。
    そして妻も自死 

    とかく世の中は皮肉にできている
    平田と末永ますみが合うところがまさに因縁?会うべくして?皮肉?
    物語は進んでいくー
    自分は作者の意図を汲み取っているのか?
    この結論をわかっているのか

    たぶん読者が答えを出さないといけないのだと思った。

    本文よりーフランスの聖職者

      一瞬だけ幸福になりたいのなら、復讐しなさい。永遠に幸福になりたいのなら、赦しなさい。

    イングランドの文学者

      賢者はすぐに罪を赦す、時の価値を知っているから、無駄な苦しみで時が流れていくのに耐えられないのである。

    アメリカの法律家はいった。

       赦すことで過去を変えることはできない、しかし間違いなく、未来を変えることはできる

    他にも
       赦すはよし、忘れるはなおよし

       弱いものほど相手を赦すことができない。
    赦すということは、強さの証だ。

    主人公が安穏となるためには赦すことが必要だしまた、理解する相手が必要だが
    彼には何もない、失うものもない

    他人のことは何とでも言える、当事者が「自分が」
    その立場になった時、その時しかわからない。
    春を期待しながら読んでも冬?

    ここまでの苦しみを味わったものしか〜

    読書中、ずっと苦しかった
    このところ苦しい作品ばかりにあたる。

    人は人を捌けるか?
    自分はNoだ。

    願わくば許せる人間になりたいー所詮きれいごとかもしれないが。

    一つ一つ小さなわからないことを誰かに聞きたかった。〜義妹「姪」とのからみ
      〜ダウンの羽根はどこから来る。など

  • 久しぶりの歌野作品。

    最初から最後まで暗い世界の中で物語は展開していて鬱々としているのになぜか頁を繰る手がとまらない。

    果たしてますみは平田の心を救えたのか?という疑問は残したままだけど、個人的見解てはさらなる苦痛を与えてしまったのではないかと思う。きっと精一杯考えた末の行動だったのだろうけど。誰も幸せになれなかった途轍もなく悲しい人生を送って人たちのはなし。

  • さすが歌野晶午さん。
    一筋縄ではいかない展開に、後半ドキドキが止まりませんでした。
    暗くて重いですが、読みやすくてどんどん引き込まれます。
    ミステリーとも少し違うような印象で、深い余韻が残るような色々考えさせられる作品でした。
    やはり人の気持ちというのは、他人にはわからないし伝わらないものなのかなぁ…だから難しいんだよなぁ…と思いました。

  • 無理矢理な偶然だな…と思ったら、もう一捻りあったのね。
    まあ、バカかと思っていた登場人物が急に賢くなるのは違和感を感じたが… (^^;

  • 歌野晶午さんは本格ミステリの印象があったのですが、本作は直木賞候補としてノミネートされただけあって、ミステリの枠をこえた作品に仕上がっていると感じた。
    印象的なタイトル、ミステリとしての先の展開が気になり、また読みやすい文章ということもあってあっという間に読了。
    欠落を抱えた主人公平田とますみ。本作に“救い”はあったのか?切なさが残った一作でした。

  • 後半につれてテンポが上がっていき、裏切りの連続だった。最初の方は展開がゆっくりで状況を丁寧に説明してくれる文章だった。
     主人公の平田誠は、娘を轢き逃げで亡くし、妻に自殺で先立たれた独り身の男性。スーパーの万引き取締り係をやっている際、万引き犯で末永ますみの取り調べを行うが、娘と同じ歳ということでそのまま逃す。しかし、末永が後日も接触し、彼女がDVを受けているなど身の上事情を話したり、お金を借りたりする仲になっていく。平田が轢き逃げ事件で苦しんでいると知った末永は、平田の救いになると考え轢き逃げ犯を装うが、信じてしまった平田が末永を殺してしまうという物語。

  •  一人娘の春夏を轢き逃げで殺され、妻の英理子もそれがもとで自殺、本人も肺癌にかかり生きる希望が消えかかっている平田誠55歳、スーパーの保安責任者。スーパーで万引きし、(平田誠の娘と同年生まれということで)何も訊かれずに無罪放免された末永ますみ24歳。この2人が織りなす物語。平田の闇を聞かされ、平田に生き続けて欲しいと願ったますみが考えたことは。そして、平田のとった行動は。何とも切ないラストですが、後味如何に関わらず、記憶に残る小説です。歌野晶午「春から夏、やがて冬」、2011.10刊行、2014.6文庫。

  • サクサク読めた作品。
    解説も読んで納得、という感じ。

  • 何か考えさせる内容でした。
    どこに真実があったのだろうか。
    「葉桜の・・・」とは、また違う衝撃的な
    ラストでした。

  • 途中、これはちょっと無理のある話だなぁとおもっていたが、最後まで読めば納得の終わり方。

    最初から最後までずーっと切ない気持ちで読むことになるけど、どうなる?どうなる?と先が気になり飽きることなく、あっという間に読み終わった。

著者プロフィール

1988年『長い家の殺人』でデビュー。2004年『葉桜の季節に君を想うということ』で第57回推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞をダブル受賞。2010年『密室殺人ゲーム2.0』で第10回本格ミステリ大賞をふたたび受賞。

「2022年 『首切り島の一夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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