- Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167904432
感想・レビュー・書評
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信長没後、世の中は、豊臣秀吉が天下統一に動き出していた。信長と対立していた等伯としては、ようやく絵師としてその場を広げようという時代。
一人の才能豊な画家は、おそらく絵を描く場所を得ることだけ望みだったと思う。
時代の流れは激しく、長谷川家の再興を目指す実兄や元藩主の姫の策略にも巻き込まれる。等伯命名にも関わり、懇意にしていた利休の切腹も助けられない。政治的な厳しさに加えて、長く日本の画壇の中心だった狩野派との対立が顕著になってくる。狩野派の嫌がらせは、なかなかのもの。それだけ、等伯の長谷川派を恐れていたのだけれど。
現存する作品を等伯が描いている様子が、書かれるのですが、絵と等伯のその時の背景と心情が素晴らしいと思います。
多大な資料と考察で、絵師等伯の一代記と、絵師が関わってしまった理不尽な武家社会が読めます。
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信長の時代が終わり、京都に居を構え、落ち着きを得たかと思われた等伯に、権勢を誇る狩野派がその前に立ちはだかる。
さらに、秀吉の忠臣石田三成が冷酷非情な権謀術数を駆使し、等伯を追いつめる。
絵師の存在が、これほどまでに時の政治と関わりあうとは、現代では考えられないことではないだろうか。
利休との関わりから、秀吉の怒りを買い、その絵が彼の目にかなわないときは、処刑されるという絶体絶命の状況で描いた「松林図屏風」。
読後、東京国立博物館に所蔵されているという、等伯「松林図屏風」を観ないではいられない。 -
連休を使って一気に読み切った。
もっと崇高なイメージを持っていた狩野永徳、石田三成の姑息な立ち回り、最後まで等伯を利用し続けた夕姫、千利休が亡くなる理由など、黒い要素がふんだんに盛り込まれているにも関わらず、読後感は爽やかです。
単にぼんやりとした水墨画にしか思えなかった松林図屏風がなぜ国宝なのかという理屈は理解できましたが、実物を見て自分はどう感じるのだろうか。次に公開されるときは見に行かなければ。 -
時代物‥‥。司馬遼太郎より自分に合ってるかもしれない。
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戦国時代の有名人がいっぱいでてくる。松林図屏風のいきさつは事前から知っていただけに、初めから久蔵のかわいさが痛かった。
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なんという波乱万丈な人生。
なぜこれを大河ドラマ化しないのか不思議。
東博で松林図を見たときは、まさかそれほどのものとは思わなかったんだけど、見る目ないなぁ。 -
安部龍太郎さんの代表作品になるのでは、というくらい面白かったです。等伯は狩野永徳という存在があったからこそ、あの素晴らしい絵が残せたのですね。
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先輩から借りて読んだ。
長谷川等伯の存在自体を知らなかったが、非常に面白かった。必要以上に主人公をヒーロー視せず、時の権力構造について冷静に分析されていて納得感が高い。美術については全然興味がなかったが、このようなストーリーを踏まえて鑑賞したくなった。 -
時代に翻弄されて生きた
主人公の等伯の人生を
読み人の私も
物語の魔法にかかった
かの様にまた
疾走するかの様に読破しました。
文句なしの星五つです。
この作品って、たぶん、かなりこれが事実小説だと思うの。信長も秀吉も三成も、
\\\٩(๑`^´๑)۶////
この作品って、たぶん、かなりこれが事実小説だと思うの。信長も秀吉も三成も、
\\\٩(๑`^´๑)۶////