愚者の連鎖 アナザーフェイス 7 (文春文庫 と 24-10)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167905644

作品紹介・あらすじ

完全黙秘の容疑者。その背景には何が?後山の指令で、長く完全黙秘を続ける男を取り調べることになった大友。沈黙の背後には驚くべき過去が……大人気シリーズ第7弾。

感想・レビュー・書評

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  • 単純かと思えた窃盗事件の、取り調べに駆り出された大友。
    家族に見放され、半ぐれ集団に居場所を見出した犯人。そんな愚者が完全黙秘するのは何故か。
    アナザーフェイス7は、シリーズの中でも上位にランクされる傑作といっていい。

    失踪課シリーズが一気読みに適しているのの対し、このシリーズは大友のリハビリに対応して、一冊づつゆっくり読む方があっているかも(個人的意見)。
    この巻では、長男優斗も中学生に成長し、大友の食事の手助けさえしている。優斗に手がかからなくなれば、大友も元の部署に・・・
    福原に続いて、大友の後ろ盾となっている後山の退職に、このシリーズも終わりに近いかも、との予感。

  • タイトルが全て
    愚者が集まって同情してしまう面もあったが、なんとも…。
    愚者と言わざるような集団だった。

    強盗の犯人として捕まったチンピラの末端。
    彼女を守るため黙秘を続けていたが、
    大友さんの手腕が発揮され仏に。
    強盗の他に死体遺棄を自供し、
    死体遺棄…殺したのは?
    と深掘りしていくうちに見えてくる周辺。

    普段と違う後山が気になりつつも、今回も同期3人で解決。
    後山さんが違った訳。
    彼の選んだ未来が大友さんと同じもので人間らしい一面で、明るいものであって欲しいと願う気持ちで終わった。

  • 完全黙秘の連続窃盗犯。主人公の大友が落としにかかる中で、隠された人間関係と事件が明るみになる。王道エンタメ展開。高畑刑事の結婚問題、息子の成長、後山監査官の進退など、シリーズの時間軸がしっかり動き出している感じがとても心地よい。このシリーズはどうなるのだろう。

  • アナザーフェイスシリーズ8作目。
    人は日々成長する。
    小さかった優斗もこの物語では中学生になっている。
    優斗のためにと捜査の第一線を退いた大友にも、本格的に復帰する時期が近づいている。
    そんな中で事件は起きた。

    愛する人のために自分が出来ること。
    どうにもならない状況の中で、どんなことをしてでも手助けをしたいと純粋に願うことは美しいのかもしれない。
    でも、人として踏み越えてはならない一線は守らなくてはならないと思う。
    もしもそのために罪を犯したとしたら、あまりにも哀しい。
    悪いことだと知っていて法を犯す者も、そのことを察していても頼らざるを得ない者も、結局のところ傷ついてしまうのがわかっているから。

    ずっとシリーズを読み続けてきた。
    もう少し優斗の成長が遅ければよかったのに・・・などと思ってしまった。
    順調に成長する優斗は、歳相応のよそよそしさはあるものの大友の手をわずらわせるほどのことはない。
    聖子さんとの関係も相変わらずだ。
    良き理解者でもあり後ろ盾でもあった後山の離職と、ちらりと見える敦美の恋の行方。
    大友自身を縛るものはなくなりつつあるが、同時に厳しい現実もすぐそこまで来ている。
    家庭での父親という顔、仕事場での警察官としての顔。
    その中で見せる大友の葛藤が好きだったので、手のかからなくなった優斗に少しだけ寂しさも感じている。
    本格的に復帰してしまったら、はたして大友に魅力を感じることが出来るだろうか。
    わずかな不安をかかえつつ、次のアナザーフェイスを待ちたい。

  • アナザーフェイスシリーズの第7弾でしたが、今回も主人公刑事の大友鉄が、まさにタイトル通りのとある窃盗事件から派生していく愚者の連鎖といった感じで、芋づる式にさまざまな事件が絡んでくるという展開で、抜けるに抜けれない半グレ集団の悲劇を描いた作品でした!
    今回もじわじわと事件の真相に近づいていく大友の姿が良かったですね!
    次回、後ろ盾を無くした大友が警察の中で、どう振る舞っていくことになるのか?楽しみです。

  • シリーズ第7弾。窃盗容疑で捕まった容疑者が完全黙秘をする中、大友はその容疑者の取り調べの特命を受ける。単なる窃盗の容疑者を取り調べるためだけに、なぜ自分が呼ばれたのか、分からない大友の気持ちはよく分かるが、取り調べをしているうちにタイトルの「愚者の連鎖」が明らかになっていく。取り調べが軸となっているので、いつもよりも派手さはないが、ラストは後山との別れが描かれており、少し寂しい気持ちになる。

  • 完全黙秘の容疑者。その背景には何が?

    後山の指令で、長く完全黙秘を続ける男を取り調べることになった大友。沈黙の背後には驚くべき過去が……大人気シリーズ第7弾。

  • スピード感もあって面白かった。シリーズを重ねるごとに面白くなってる。優斗の成長は頼もしいんだけど…大友はこれからどうなるんだろう?

  • 今回の作品のタイトルだが、『愚者の連鎖』とは「問題の容疑者」の境遇を深く暗示している…また、前作で小学6年生だった大友刑事の息子である優斗は中学生になった。
    人の人生には「些細な事」が切っ掛けで“嵌る”というような何かが横たわっているのかもしれない。そしてそういうモノが交錯し、何やら連鎖も生まれる…そんな事件に触れる大友刑事が、息子が話した小学校時代からの級友の様子に関して深く考える場面等も在るのだが…「普通な推理モノ、警察モノ」であると同時に「人生」を何となく考えさせる雰囲気が漂う作品だった…

  • シリーズ7作目。完全黙秘を続けた被疑者に口を開かせる過程が「北風と太陽」の太陽的アプローチ=大友流。ようやく、窃盗事件が明らかにされていくかと思いきや、隠された凶悪事件の影。事件も思春期を迎えた少年たちが10年以上も超えてもまだ支配関係の連鎖から逃れられない悲しさ。事件もさることながら、シリーズものとなると、登場人物もそれぞれ時間を重ね背負っていくものが変わり、人間関係にも変化が起こってきます。福原・後山と理解ある上司(?)が去って行ってこの先主人公はどういう立場で仕事を続けるのか・・・楽しみです。

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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