- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167905989
感想・レビュー・書評
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米原万里没後十年を迎えた、今年2016年、米原さんをしのぶ本や、エッセイの傑作選などが何冊か出版された。
これは、佐藤優氏の編による一冊。
私は、佐藤優氏に関する知識が無かったので、単に「米原万里のエッセイの傑作選」だと思って読み始めた。
読んだ事のある文を見つけて懐かしむのもいいな、読んだ事のないものが収録されていたら嬉しいな、そんな気持ちで。
目次は、コース料理に見立てられ、それにふさわしい、米原さんの文章が紹介される。
この、フルコースメニューに沿ってというのは、最近の流行だ。
しかし、そういうオシャレな流行スタイルをとっているにしては、何か政治思想のにおいがする。
作家の傑作選の編者は、普通、最初のご挨拶と、締めのご挨拶くらいしか書かないものだと思っていたが、コース料理の合間合間に、「シェフのご挨拶」が顔を見せる。
つまり、「米原万里」は料理の素材であって、出来上がった料理は、“シェフ”佐藤の作品。
この本は、そういう本だと私は思った。
それをどう捉えるかは、読む人次第だ。
正直に書きます。
私としては、「別に、あなた(佐藤氏)の事を読みたいわけではない」
純粋に米原万里を読みたいのであれば、今だっていくらでも手に入る。
ただ、大学の卒論などはなかなか読めないかもしれないが。
買ったまま、積ん読状態の米原作品が何冊かある。
まず、それらをきちんと読まなくては、と反省させられた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
佐藤優さんが編者となって色んな抜粋したもの。
卒論が載ってるのが一番の目玉かな。 -
図書館で。
佐藤優選米原アンソロとでも言うべきなのか。時々読んだ事がある気がする小作あり、こんなのも書いてたんだ~と思うモノもありで楽しく読みましたが… 卒論はちょっと読み切れなかった(笑)
宗教よりもアルコールを崇める方が良いってのはすごいなぁ。外国のユーモアセンスってさらりとしていてすごいと思う。確かにビール派とワイン派が殺し合ったりしないもんな~ -
エッセイ集。出色は「金色の目をした銀色の猫」。ロシアで偶然見かけた子猫を日本に持ち帰る話なのだが、チンチラの可愛さ、外国から生き物を迎え入れる際の面倒なドタバタ劇、周囲の手助けの暖かさがビジュアルで「見える」。
優れたエッセイは、人間の可笑しさ、弱さ、悲しさが、鮮烈な情景と共に立ち上がってくる。そして風景が、登場人物の感情の動きが、一瞬で心に刻まれる。魔法に近いものがある。そういうエッセイのお手本として真っ先に思い浮かぶのが、小林秀雄の「人形」。先のエッセイはこの名作に比肩すると思う。 -
佐藤優さんの編集が米原さんの良さをかなり消してしまっている印象。
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2016/4/17