偉くない「私」が一番自由 (文春文庫 よ 21-7)

著者 :
制作 : 佐藤 優 
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 311
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167905989

感想・レビュー・書評

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  • 米原万里没後十年を迎えた、今年2016年、米原さんをしのぶ本や、エッセイの傑作選などが何冊か出版された。
    これは、佐藤優氏の編による一冊。

    私は、佐藤優氏に関する知識が無かったので、単に「米原万里のエッセイの傑作選」だと思って読み始めた。
    読んだ事のある文を見つけて懐かしむのもいいな、読んだ事のないものが収録されていたら嬉しいな、そんな気持ちで。

    目次は、コース料理に見立てられ、それにふさわしい、米原さんの文章が紹介される。
    この、フルコースメニューに沿ってというのは、最近の流行だ。
    しかし、そういうオシャレな流行スタイルをとっているにしては、何か政治思想のにおいがする。

    作家の傑作選の編者は、普通、最初のご挨拶と、締めのご挨拶くらいしか書かないものだと思っていたが、コース料理の合間合間に、「シェフのご挨拶」が顔を見せる。

    つまり、「米原万里」は料理の素材であって、出来上がった料理は、“シェフ”佐藤の作品。
    この本は、そういう本だと私は思った。
    それをどう捉えるかは、読む人次第だ。
    正直に書きます。
    私としては、「別に、あなた(佐藤氏)の事を読みたいわけではない」

    純粋に米原万里を読みたいのであれば、今だっていくらでも手に入る。
    ただ、大学の卒論などはなかなか読めないかもしれないが。

    買ったまま、積ん読状態の米原作品が何冊かある。
    まず、それらをきちんと読まなくては、と反省させられた。

  • 佐藤優さんが編者となって色んな抜粋したもの。
    卒論が載ってるのが一番の目玉かな。

  • 図書館で。
    佐藤優選米原アンソロとでも言うべきなのか。時々読んだ事がある気がする小作あり、こんなのも書いてたんだ~と思うモノもありで楽しく読みましたが… 卒論はちょっと読み切れなかった(笑)

    宗教よりもアルコールを崇める方が良いってのはすごいなぁ。外国のユーモアセンスってさらりとしていてすごいと思う。確かにビール派とワイン派が殺し合ったりしないもんな~

  • エッセイ集。出色は「金色の目をした銀色の猫」。ロシアで偶然見かけた子猫を日本に持ち帰る話なのだが、チンチラの可愛さ、外国から生き物を迎え入れる際の面倒なドタバタ劇、周囲の手助けの暖かさがビジュアルで「見える」。

    優れたエッセイは、人間の可笑しさ、弱さ、悲しさが、鮮烈な情景と共に立ち上がってくる。そして風景が、登場人物の感情の動きが、一瞬で心に刻まれる。魔法に近いものがある。そういうエッセイのお手本として真っ先に思い浮かぶのが、小林秀雄の「人形」。先のエッセイはこの名作に比肩すると思う。

  • 佐藤優さんの編集が米原さんの良さをかなり消してしまっている印象。

  • イタリアのことなら、内田洋子さん
    ロシアのことなら米原万里さん。
    と言っては軽くまとめすぎ?と思うくらいの
    膨大な知識と経験から数多くの本を執筆。
    2006年5月死去。
    元ロシア会議通訳、作家、
    1959〜64年少女の頃プラハのソビエト学校に学び、
    日本に帰国後はロシア語で受験できるからと
    東京外語大ロシア語学科卒
    東京大学院ロシア文学修士課程修了
    豊富な知識と、持ち前の読書家で
    膨大な知識からの通訳はさぞ国にも大きく貢献したに違いない。

    そんな米原さんと、長年交流があり
    「上からの声」というほど、信頼していた米原さんの著作から
    佐藤優が責任編集。

    楽しいと軽く読み進めるばかりの内容ではないが、
    なかなか見えないロシアの内情がうっすら見えるような
    内容に。
    二人の交流にも、興味津々。

  • 2016/4/17

著者プロフィール

1950年東京生まれ。作家。在プラハ・ソビエト学校で学ぶ。東京外国語大学卒、東京大学大学院露語露文学専攻修士課程修了。ロシア語会議通訳、ロシア語通訳協会会長として活躍。『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(角川文庫)ほか著書多数。2006年5月、逝去。

「2016年 『米原万里ベストエッセイII』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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