黒書院の六兵衛 下 (文春文庫 あ 39-17)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907679

作品紹介・あらすじ

天朝様が江戸城に玉体を運ばれる日が近づく。が、六兵衛は、いまだ無言で居座り続けている……。虎の間から、松の廊下の奥へ詰席を格上げしながら、居座るその姿は、実に威風堂々とし日の打ち所がない。それは、まさに武士道の権化──。だが、この先、どうなる、六兵衛!浅田調に笑いながら読んでいると、いつの間にか、連れてこられた場所には、人としての義が立ち現れ、思わず背筋がのび、清涼な風が流れ込んでくる。奇想天外な面白さの傑作です。解説・青山文平

感想・レビュー・書評

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  • 江戸城無血開城が決まっても居座る旗本がいた。彼の正体について様々な説が出る。全てを明らかにしない終わり方もありである。

  • 面白かった。しかし、ちょっと消化不良です。
    江戸城明け渡しが決まった中、一人だけ居座り続ける御書院番士、的矢六兵衛。
    彼をめぐるミステリー仕立て?の展開となっています。

    下巻では、六兵衛の正体がさまざまな憶測で語られていきます。
    誰も顔を見たことのない徳川慶喜説
    公家からの間者説
    イギリスからのスパイ説
    などなど。
    そんな中、六兵衛の居座る場所は宿直部屋からどんどん格上げして、ついには、最も高貴なお座敷の黒書院へ。
    果たして、天朝様のご到着までに、退城させることが出来るのか?
    六兵衛の正体は?
    といった展開です。

    六兵衛を通して武士の矜持が語られています。
    そんな中、ミステリーとしては、その正体含めて、ちょっと納得がいかない設定です。
    なので、ミステリー仕立てではありますが、ミステリーとして読んではいけません。

    しかし、江戸時代末期に忘れられつつあった武士のあるべき姿や矜持が、新しい時代に変わっていく姿という意味では、とても意味ある終わり方でした。

  • 武士道は言葉で表すものではないんだな。

  • 初めて読んだ歴史物
    慣れなくて読み進めるのに苦労したー
    武士の矜持、良心、わかるようなわからないような…

  • 的矢六兵衛とは何者だったのか?
    ただただ無言で座り続ける男の正体を推理してゆくうちに、武士の矜持のとてつもない大きさをすこし実感できた。
    徳川260年を最後に時代が大きく変わる様がよくわかるし、何より感動し、記憶に残る大好きな浅田先生の中でもとても大好きな二冊です。

  • 六兵衛が、とても真面目で無口で精神力が強く、「侍」なのだと言うことは伝わってきたが、
    『政の栄枯盛衰や一家の毀誉褒貶に惑わされて、その良心を見失うてはならぬ』と言う結論は、何だか分かったような分からないような、、、だった。
    消化不良と言うのか、、、結局、【いったい何者なのか】と言う帯のまま、うーん何者だったの?

    ただまあ、六兵衛を巡って、周りの人間たちが、変わり行く時代に翻弄されるように、六兵衛に振り回されている様子は、面白かった。実際に、幕末には、こんなドタバタがあったのかもしれないなあ、と思わせてくれた。
    さて、こんなに「侍らしい侍」の六兵衛が、明治になってからの世の中をどんな風に暮らしたのだろうか。

  • そうかー、って終わり方でいまいち消化不良気味

  • 登場人物がストーリテラーとなり一人称で語っていく手法が盛り込まれていて、テンポ良く読み進めました。

  • 居座り続ける六兵衛を巡って、周りの人々は彼の正体をあれこれと詮索する。
    あるいは前将軍家、あるいは公家衆の差し向けた間者、はたまた英国の密偵とまで。
    その彼らのドタバタは、著者の『プリズンホテル』を想起する。
    騒動の果て、六兵衛とは「流れゆく時と変節せる人心の中にあって、母なる国の花のごとく風のごとくに変わらぬ良心そのもの」と、視点人物を通じて、著者は明かす。
    いつの時代でも、目先の物事に惑わされることのない良心を見失ってはいけない、これがこの作品に込めた著者のメッセージか。

  • 武士の鏡の黒兵衛。
    最後の武士の黒兵衛。
    浅田文学の真骨頂のラストがさわさか。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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