火花 (文春文庫)

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著者 : 又吉直樹
  • 文藝春秋 (2017年2月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907822

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火花 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

  • 又吉直樹『火花』文春文庫。第153回芥川賞受賞作の文庫化。文庫化にあたり、受賞記念エッセイ『芥川龍之介への手紙』を収録。個人的には又吉直樹が書いた小説ということを頭から消し去って読んだ時、芥川賞に価する小説かと考えると、そこまでの小説ではないように思った。無論、読み手により価値の受け取り方は違うと思うが。

    自伝的私小説といった感じの青春小説。恐らく自身をモデルとしたと思われる売れない芸人の徳永は先輩芸人の神谷と出合い、迷いながらも、進むべきを道を模索する。

    若さ故の怖さ知らずで無謀な行動、焦燥と挫折、夢や希望といった忘れかけていた古い記憶を呼び覚ましてくれる小説だった。ストーリー、文書ともに、さすがに秀でたものを感じるが、歯切れの悪いラストが少し残念であり、せっかくの秀でたものを全て台無しにしているように思う。

  • 面白かった。

    純粋で粗いものと、世間との折り合い、と見えました。

    神谷さんはすごいのだけど、それでいいのだろうか、と思う自分はやっぱりもう子どもではないんだと思った。

    どうか、世間、というものをただ敵と見ないで、
    と思っていたので、
    ラストはほっとしました。
    網を細かくすると余計なものも掬うけど、それも抱えて生きていく。
    何者かに、神になる必要はないんだと思う。

    最後の漫才は素晴らしかった。
    ところどころ本気で笑える掛け合いも、さすがでした。

  • 又吉先生の芥川賞受賞作品

    純文学という類にカテゴライズされるらしいけど、そんなの知らないのでただ普通に読んでみたつもり。
    話題図書はそれなりに読む価値があると思っている。

    神谷の人生哲学が生涯芸人であり、主人公と先輩の神谷の約10年を書いた物語。
    20代の、人生とは?を妙に考え出して奔走するあたりが少しでも自分ないし同世代にも共通するものがあって、儚く何とも表現しにくい寂しさがあった。

    141ページの焦りと葛藤を表した文章がぐっとくる。
    コンビ解散のラスト漫才がぐっとくる。

  •  売れないコンビ芸人「スパークス」の徳永は、「アホンダラ」の神谷という先輩芸人を師匠と仰ぎ日々面倒を見てもらっていた。神谷の魅力、才能、笑いとの向き合い方、そして生き方に憧れ尊敬しつつも、同時にその純度に息苦しさも感じていた。神谷との出会いで漫才師として確実に成長していく徳永だったが、全身全霊で漫才師として生きる神谷の姿に「自分らしく生きる」ということの意味を教わり、新たな道を歩む決意が芽生える。世間と向き合う凡才と、笑いと向き合う異才の二人が、互いを励みに、互いを鏡に、笑いを追求し悶え葛藤する人間ドラマ。お笑い芸人ピース・又吉直樹のデビュー作にして第153回芥川賞受賞作。

     文庫化を待ち購入。予想以上に面白く、読みやすく、笑いの追求により心理の深みにはまっていく様子が興味深かった。徳永と神谷のエピソードを積み重ねることで二人の距離感や互いに抱く感情がおぼろげに見えてくるという書き方がとても良い。情景描写も巧みで、芸人を本職とした人間が書いた小説とは到底思えない。デビュー作でいきなり芥川賞受賞なのに著者の筆力を疑問視する声がほとんど挙がらなかった理由がほぼわかった。
     ラストで行方不明になった神谷と再会するシーンでは、徳永とともに言いようのない哀しみが胸に溢れてくる。さらにその後の悲哀を経た滑稽さには、愛おしさすら覚える。本文にある通り、「生きている限り、バッドエンドはない」のだ。
     タイトル「火花」は、文庫版巻末・芥川賞受賞記念エッセイ「芥川龍之介への手紙」にある、著者の昔のコンビ名「線香花火」に関係しているのだろう。このコンビ名は、線香花火のような小さな一瞬の輝きにこそ永遠が宿るのではないか、そしてそのような小さな輝きを連続で起こし続けることが最善ではないか、という考えから付けられたものらしい。とするならば、「火花」は線香花火よりもはるかに小さな一瞬の輝きである。徳永と神谷が散らす火花は、儚く、他者にとっては取るに足らないほど小さな光かもしれない。しかしどんなに小さくとも、確実に「輝き」ではある。その極小の輝きに全身で取り組んだ男達の物語なのであろう。花火はその儚さから美しいとされる。では花火よりも儚い火花は?無論、美しいのである。

  • いわゆる大人として折り合いをつけ成長していく「僕」と清々しいまでに純粋な人間性を貫く「神谷さん」との対比によって、人が大人になることを考えさせられると同時に、忘れかけていく大切な基本的なことを思い出させる作品。(と私は感じた)

    個人的に好きだった神谷さんの台詞をピックアップ。特にネットで書き込んだ経験のない(これが初)私にとって多分、この本で出てくるような批判はしてないけど、無意識のうちに心の中のどこかで人を批判しているんだなと。これを読んでドキッとした。
    「レヴェルってなに?土台、俺達は同じ人間だろ?/人が嫌がることは、やったらあかんって保育園やからな。/ありがとう。ごめんなさい。いただきます。ごちそうさまでした。/そういう俺らを馬鹿にするのは大概が保育園で習ったこともできないダサい奴等やねん」


    「他を落とすことによって、今の自分で安心するという、やり方やからな。その間、ずっと自分が成長する機会を失い続けてると思うねん。可哀想やと思わへん?あいつ等、被害者やで。」

  • 又吉さん 頑張った。1冊の本に仕上げるには才能が必要だろう。次の一冊に期待。

  • 芥川賞うんぬんに関してはよくわからないが作品として純粋に面白かった。楽しい時間でした。

  • 「火花/又吉直樹」
    純文学…読解力がないのか、想像力に欠けるのか、期待値が高過ぎたのか…。
    正直、私には良く分からないまま終わってしまった。
    ひとつのことに人生をかける生き方、先輩後輩と云う圧倒的な関係性、誰かをリスペクトし追いかけこだわり続ける日々。
    そのどれもが、私とは相対する登場人物に寄り添えるものがなく「面白いと思えることが一人ひとり違う」と文中で主人公が言ったとおり、私には面白さ、ワクワクさ、感動が湧いてこない作品だった。
    でも、賞をとってるのだから、私の方がマイノリティーなのだろうと思わざる得ない。笑

  • 芸人の頭の中をいっとき覗かせてくれる
    おもろ切ないお話。
    笑いを生み出すってこんなに屈折した作業なんだろうか。

    まー、芸人が芸人を描いているわけで、
    経験に基づいて自ずと獲得された深度が
    これを純文学たらしめているんじゃないかと思う。

    とかく今後、
    芸人を描いた小説はこの領域にしばらく出てこないだろうと思えるし
    その意味でも読んでおくべき良作。

    注意深く気取らないよう書かれた文章は読みやすいし、
    最後は美しく破滅的で、妙な後味を残さない。
    タイトルともうまく噛み合って気持ちが良かった。
    (いや、気持ちは悪いんだけど)

  • ピース又吉を知ってるだけに、登場人物の喋り口調が又吉にしか思えず、ちと感情移入しにくかった。

  • 以前読んだんだけど、文庫本が出たという事でまた読みたくなって、思わず購入。文庫本の方にはエッセイ「芥川龍之介への手紙」が入ってて、それがまた面白かった

    作中のギャグがやはり又吉さんらしくって、読んでて何だかニヤッとしてしまう。ドラマも観たいんだけどなぁ…

    やはり誰だって誰かに認められたいんだよね。それは例えば家族だったり、友達や恋人や、または先輩だったりとその人によって変わるけど、その人に認めてもらえなくちゃ終わら(れ)ないというか

    昔読んだ時は、神谷に対してちょっと残念というか、どっちかって言ったら「可哀想な奴」的な、それに何となく自分重なってみえて、神谷に同情しながら読んでたんだけど、今回また読み直したらば、認める方(神谷)もそれはそれで辛いんだなぁと思った。上手く言えないけど

    そんな神谷だからこそこんなに刺さる言葉があるというのも事実で、徳永が書いた神谷の伝記こそこの小説なんだろうかとか

    「生きている限り、バッドエンドはない。僕達はまだ途中だ。これから続きをやるのだ」

  • スパークスの最後の漫才のシーン。バンドやってて一応ステージにも立ったことがある身としては、シーンときて胸にこみ上げるものがありました。

  • おー、こういうストーリーだったのか…。

    思っていたのとちょっと違った。

    どうしようもなく『芸人』であり続ける不器用な1人の芸人を愛した芸人の話。

    文体も芥川龍之介が好きだという又吉のイメージからもっとドス暗く書くかもっと回りくどい感じで書くのかと思っていたけど割と素直というか、可愛いかった。

    又吉のことを全然知らないけれど彼が書きそうな話だなぁと何故か思った。

    きっと以前何かの番組で「自分は嘘の優しさと本当の優しさを見分けられる」的なことを言っていたことがあってへぇと思ったのだけど、
    この作品にはなんとなく、そういう感性を持って書かれたものだなという気がしたからなのかもしれない。

  • 特別な理由もなく、ただ流行ってるからと、読んでいなかった本でした。

    僕には、神谷さんみたいな先輩っているかなぁって羨ましくなる。と思って考えてみたら、思い当たる人がいたりして、それをそういうこととして捉えれてなかったことをとてももったいないことだったと恥じ入った。

    昔は、もっともっと純粋に「面白い」と思ったことに愚鈍になれた。直感で感じ取って、それを行動に移せた。それが今は、なんだか、色々な実体のないしがらみに囚われているような感覚。人生とは、面白がって、楽しむものなんだと再認識する。僕の人生には、まだまだまだユーモアが足りていない。

    「いないいないばあ」の意味を知らないままに、また、知っていたとして敢えて無視するような生き方をすることは、完全には難しいのかもしれない。けど、誰にとっても、みんなそれぞれに「これだけは」っていう大切にしたいものがあって。それを大切に大切に抱えて、貫こうとすることこそが、「いないいないばあ」を知らないってことなんだろう。

    僕は、自分のつくるもののために、それで幸せにしたい人のために、自分自身がそれを面白がってやり続けるために、最高な絵を描いたら、最高な額縁もつくりたい。

    つい最近額縁の話をして、そして神谷さんと渋谷の安くてボロい居酒屋と出会って、改めて感じ入るもののある作品でした。

  • 2017/3/9読了

    芥川賞を受賞してから、先生とか、天才とか、文化人としてよく見かけるようになった又吉直樹の作品。
    著者(こう呼称する)の圧倒的な言葉選びのセンス。
    読みながら、感想を書くのは長くなるなと思いつつ
    読了した際は、やっとこの本を読めたという達成感があった。
    一言で「面白かった」と述べてしまうのは、この作品に多く含まれている著者の「本心」と、言葉に対してとても失礼なことであるだろう。できるだけしっかりと、書評を書いていきたいと思う。

    漫才師の世界、もとい、お笑い芸人の厳しく甘くない世界。
    我々が見ないだけのマジョリティの中であがく主人公徳永は、多くの若手芸人の虚像。
    対して、才能と天才肌を持つ神谷は、「芸事をする人」「生きる人」をそのまま実像にしたような、相対する象徴のようだ。
    神谷の在り方が作中において尊敬の対象として君臨し続けるも、年月を経るにつれ、ゆっくりと変化していく。それが、芸人としての浮かばれない長さと、徳永の視野の広がり、芸人としての成長と、変わることのない(できない)神谷を表している。

    終盤の、徳永が神谷を追い越して、花のような美しさを持ちつつも、泥臭さをひたすらぶちまけたラストライブ(あのライブは見事でした!映像で見てみたいなあ)文字だけで衝撃をうけるのは久しぶりだったー
    からの、指針だったはずの師匠が、禁忌を犯してしまう怒涛の締め方だ。(終着点が温泉というのは、どうもぱっとしないが、二人の旅路の果てとすればここが唯一の落としどころだったのかな、とも思える。)

    話はまるでエッセイのようだ。
    それこそ、徳永の自分語りは神谷のそばにあることが常であり、本作『火花』は言ってしまえば神谷の伝記と言えなくもない。
    膨大な言葉の渦で、神谷という天才のあほんだらを記していくのだ。
    そして、自身を見つめるそこに、芸人の世界を織り交ぜていき、人生観を織り交ぜていき、ピースの又吉 の主観と、観客・世間に対する考えを述べていく。
    そう考えると、エッセイじみた伝記。そんな立ち位置になるのかもしれない。

    私がこの作品で好きなところはやはり言葉の選び方と使い方。
    この組み合わせは、こんな言葉は、ふつう思いつかない。
    そんなハイセンスな文章や語りがふんだんに盛り込まれていて、非常に楽しい。
    芥川賞を獲った。と、納得を余儀なくされるのだ。

    ただ、ネームバリューのあるところも大きい。
    又吉さんだったから・でなければ
    どちらも今なお言われていることなのだが、こんなトゲトゲしくて美しい小説はなかなかないし、作家としてのレベルが高いだけ、今後の作品への期待値もとんでもないことだろう。

    本を読まない人も手に取るような小説。そしてその内容はすこぶる面白い。読書促進の種にもなっているであろう。
    何度も読み返したい本である。大切にしよう。

  • 面白かった.芥川賞の名に相応しい小説だと思う.あと,太宰の影響を大きく受けていると感じた.
    太宰の小説を読んだ時,“文学”って難しくてお固いイメージが強いが,本当はもっと世俗的で生々しいものではないかと思った.だって,登場人物飲んだくれだよ?現代で言えばアル中ニート.「作家」「電気ブラン」と聞くとお洒落に見えるけど,現代で例えたら「芸人」「発泡酒」.ほら,どこがオシャレなのよ!もっと低俗で汚らしい舞台で,その人間の葛藤を描くのが文学なのかと.

    現代を舞台に“文学”を表現するなら,まさにこんな感じなんじゃないだろうか.そういう意味で,やはり私はこの本を「文学」と呼びたい.
    言葉が難しいというレビューが多いけれど,私は寧ろライトで読みやすい文章だと思った.ライトなのに文学.そこがスゴイ.

  • ハードルが上がったり下がったり、ものすごくバイアスかかりそうで怖かったけど(又吉好きだからがっかりしたくなくて)、意外と平坦な心持ちで読めました。

    表現がややこしいとこ多いしこのノリに馴染むまでちょっと読みにくかったけど、込められた熱々の想いにやられました。濃すぎてもうちょい薄めて欲しいくらい。まさに彼にしか書けない小説なんだろうな。すごく好きです。
    芥川龍之介への手紙もよかった。
    次回作が楽しみ!

  • 先入観がどうしてもある中で読み始め、最初はなかなか乗れず。すぐボケ始める会話がなんだか面白く、この2人が徐々に好きになり。
    終盤直前の盛り上がりで涙した後、ラストの展開に唖然。え、終わった。と思ってがっかりしたけど、ラストの10頁ほどを何度か読み返す内、涙が溢れてきた。
    馬鹿だな。でも幸せになって欲しいな。
    思ってたよりもずっと、優しい話だった。

  • いまさら説明無用、お笑いコンビ・ピースの又吉直樹が執筆し第153回芥川龍之介賞を受賞した大ベスト・セラー。わたしは意外とミーハーなのでw、このたび文庫化したと聞きすぐさま買い求め読んでみた。受賞当時からいろいろと論争はあったが、さすがに芯はシッカリとしていて、お笑い藝人が片手間に執筆したというような印象はみじんも感じさせず、受賞させたことも個人的には妥当ではないとも思わない。ただ、受賞を強く推したいかどうかはまた別問題。ほかの候補作を読んでいない以上なんともいえないが、もしわたしが銓衡委員を務めていたとしたら、すくなくとも受賞を強くプッシュすることはなかったのではないか。なぜなら、徳永の神谷に対する感情に最後まで馴染めず、違和感が拭い去れなかったからである。藝人の世界ではおもしろさと売れるかどうかがかならずしも一致しないということは、幾度かのお笑いブームを経てわれわれ一般人のなかにおいても広く共有されていると思うが、作中の神谷(あるいは「あほんだら」)なんかもおそらくこの例にもれず、「売れないけどおもしろい」存在の筆頭なのであろう。すくなくとも徳永にとっては。そこはべつに良い。神谷のおもしろエピソードがあまり登場しない――すくなくともわたしは読んでいてたいしておもしろいと感じなかった、徳永との掛け合いのなかでは登場したがそれは神谷だけの力ではない――が、テレビでおもしろかったお笑いのネタを家族や友人に口頭で説明して、ぜんぜん伝わらなかったという、これもまたおそらくある程度広く共有されている経験に象徴されるように、漫才のネタを小説として文字化してもどうせうまく伝わらないのであれば、あえて書かないという手法もあると思うので、そのことを問題視するつもりもない。ただ、個人的に違和感を覚えた最大の理由は、徳永が自分を卑下していることである。なにも自信満満でいろというわけではないし、もともと若手藝人という設定なのだから、過剰にプライドなりなんなりを発露しているほうがよっぽど違和感を生むであろう。しかし、だからといってやたら神谷と自身を比較するというのはどうなのか。所詮他人は他人などという正論を大真面目に言うつもりもないが、相手を尊敬することと自身を卑下することもまた違っていて、いつなんどきももっと是是非非であるべきだと思う。「尊敬」という感情は大雑把にいえば「自分○他人○」と「自分×他人○」の2種類があって、さらに尊敬ゆえに相手に否定的なニュアンスを述べることなどもあるから、より多くの象限に分割することができるし、それが微妙なバランスで揺れ動くのが人間という生物のおもしろいところではないか。ところがこの作品では、つねに1種類の尊敬しか登場しないような気がする。尊敬を上手に描写できていないのである。本作は冒頭から末尾まで神谷と徳永の人間関係を中心に物語が展開してゆくから、これは致命傷である。一見うまくまとまっているので、芥川賞受賞もある程度納得はできるものの、細かく見てみるとやはりとくに尊敬の描写は「まがい物」で、まだ受賞には早いのではないかという気にもさせられる。

  • ★★★★☆ 羅針盤の針が回転する方角は、息苦しいほど眩しい情熱の炎。燃え盛る花びらが複雑に弾け、美しく互いに補い折り重なる。絶望の闇を照らす月の幻影が、自分の存在価値を証明する。新鮮な空気を求め森を彷徨う美学は、やがて閉塞感から蠅が集る腐敗臭へと変わる。敗北感で切ない哀愁が漂うとき、救いようのない自尊心は発火する。序盤の笑いについて語る文章、言葉が理解し難い。しかし逃亡生活から再び現れた神谷が画策した阿呆すぎる行動に声をあげて笑う♪人間は誰かの優しさに支えられて生きている。僕等はきっと一人じゃない。

  • 純文学とは何か?なんて難しい事は分からないけど、とても小説らしい小説でした。

    馬鹿と天才が紙一重の中、生きにくさを全身にまといながら、振り切り具合が半端ではなく一直線で生きる人の話。
    主人公はその人を尊敬しながら羨望し目標としている。けれど、自分にはどう頑張ってもたどり着けない決定的に違う隔たりがあることに気づく。常にぎりぎりの所で一点に集中して命がけで生きることの息苦しさとばかばかしさと真面目さは、ある意味本当の馬鹿でなければなし得ないのかもしれない。人は社会性とバランス感覚を持って「常識的」に生きているのだから。
    主人公の思い、葛藤と諦め、その濃い濃い密度の先に、自身の人生について穏やかな「納得と受け容れ」が出来た自分がいた。そして必死に駆け抜けたからこそ客観視できた事があった。

    又吉さん、すごいなぁ・・・と思いました。

  • 純文学がどういうものか。
    芥川賞がどういうものか。
    又吉さんらしさがどういうものか。
    よくわからないけれど…

    単純に、
    面白く楽しめた。
    読んでよかったと思った。
    著者の他の作品も読みたくなった。

    そう思えるような物語を
    そう思えるように表現できるのは
    やっぱりすごいんだろうなー。

  • よかった。ぜひもう一度読み返したい。
    創造するということについて、そのなかで生きる目的について。フィールドは違えど芸を志すものとして日頃抱えていたもやもやが少し晴れた気がした。うまく言えないから、もう一度読みたい。でも、やっぱ、又吉ってすごい。

  • 結構おもしろかった。
    火花ってスパークやけど、神谷さんの方がよっぽどスパークやなと思った。
    徳永みたいな芸人さんて山ほどいるんやろうなあ。

  • 神谷さんのようになりたいとは思わないけど、周りに流されなさは少し見習いたい。
    ところどころ又吉先生の喋りで脳内再生されるのは作者にとって良いことなのか悪いことなのか。

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